ドキドキする(動悸)という自覚症状は、心臓の鼓動をつよく感じることであり、不整脈がおもな原因です。心理的な要因によって心臓の鼓動を強く感じることもあります。
心臓は一定のリズムで拍動していますが、リズムからはずれた拍動(不整脈)が生じると、動悸を自覚したり脈がとんだと感じることがあります(心臓のリズムそのものが狂ってしまっている不整脈もあります)。
おもな原因としては
慢性心房細動、
慢性期外収縮、
上室性期外収縮、
心室性期外収縮などの不整脈があります。
そのなかでも期外収縮は頻度が高く、健康診断などでも指摘されやすい不整脈です。
「期外収縮」とは「リズムをはずれた拍動」を意味します。脈がとぶ感覚の主な原因です。
心臓は上下・左右の4つの部屋に分かれています。左右の心房に原因があるものが上室性の不整脈です。
<検査>
不整脈や心臓の異常をしらべるために心電図検査をおこないます。
検査中に不整脈がおこらない場合もあり、24時間装着・記録するホルター心電図検査をおこなう場合もあります。当院ではTシャツ型のホルター心電計を採用しておりますので、日常生活に支障を来すことなく検査を受けていただくことができます。
また、不整脈の原因が心臓だけにあるとは限らないため、不整脈を起こしうる疾患の検査も同時におこないます。
※不整脈の原因になりうる疾患
発熱性疾患、甲状腺機能亢進症、貧血、心不全、脱水症 など
薬剤(シロスタゾール、テオフィリン、β刺激薬)、アルコール、カフェイン など
<治療>
なんらかの不整脈が原因であればその治療をおこないます。
対症療法的に心拍数をやや減らすお薬を使用する場合もありますし、心理的な側面が目立つ場合には抗不安薬を使用する場合もあります。
「胸がドキドキする感じ」や「脈がとぶ感じ」は漢方では気逆の症状と考えられます。桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)や炙甘草湯(しゃかんぞうとう)が代表的な治療薬です。
炙甘草湯は肉体的な疲労を背景とした期外収縮や心房細動などの不整脈に対して効果的です。漢方医学的には陰虚といって体の潤い不足の状態を目標に処方されます。
動悸のほかに目眩や頭痛などの症状を伴う場合には苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)という漢方薬もよく使用されます。漢方医学的には気逆と水滞の状態を目標に処方されます。
桂枝加竜骨牡蛎湯はストレスにより心身消耗したときの動悸に対して処方されます。漢方医学的には腎虚が背景にあることが多く、男性のEDなどを伴う場合に選択されます。