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汗をかくと失われるのは水分だけではありません

2026/7/15
~夏の「ミネラル不足」と漢方医学から考える体調管理~

夏になると、「こまめに水分補給をしましょう」という言葉をよく耳にします。

もちろん、水分補給は熱中症予防の基本です。しかし、汗をかくことで失われるのは水分だけではありません。

汗には、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどの電解質(ミネラル)が含まれています。大量に汗をかいた後に水だけを大量に飲み続けると、体液のバランスが崩れ、かえって体調不良につながることがあります。

近年の猛暑では、屋外で仕事をする方だけでなく、室内で生活している方でも知らないうちに汗をかき、多くの水分やミネラルを失っています。

☀️ミネラル不足になると、どんな症状が出るのでしょう?

発汗によってミネラルが不足すると、

足がつる
筋肉がけいれんする
疲れが取れない
めまいがする
頭がぼんやりする
動悸を感じる
食欲が落ちる

などの症状が現れることがあります。

特に高齢者は、喉の渇きを感じにくく、気付かないうちに脱水やミネラル不足が進んでいることも少なくありません。

また、利尿薬や降圧薬を服用されている方は、水分や電解質のバランスが崩れやすいため、より注意が必要です。

🥗ミネラルは毎日の食事から

汗で失われるミネラルは、通常の食事で十分補うことができます。

例えば、

味噌汁
納豆
豆腐
海藻類
小魚
野菜
果物

などは、ミネラルを豊富に含む食品です。

また、極端な減塩や偏ったダイエットは、夏場には体調を崩す原因になることもあります。

もちろん、高血圧や心臓病、腎臓病などで塩分制限が必要な方は、自己判断で塩分を増やすことは避け、主治医の指示に従ってください。

🌿漢方医学では「汗のかきすぎ」をどう考える?

漢方医学では、「汗」は単なる水分ではなく、「気(生命エネルギー)」とともに外へ出るものと考えます。

古典には「汗は心の液(汗為心液)」という言葉があり、汗をかき過ぎると体液だけでなく、気や血も消耗するとされています。

そのため、

夏になると極端に疲れる
少し動いただけで大量に汗をかく
夏の終わりにはぐったりしてしまう

という方は、単なる水分不足だけではなく、「気虚(ききょ)」という体質が背景にある場合があります。

💊夏場によく用いられる漢方薬

症状や体質によって処方は異なりますが、

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
疲れやすく、汗をかきやすい方の体力低下に。

清暑益気湯(せいしょえっきとう)
夏の暑さによる疲労、食欲低下、倦怠感などに。

生脈散(しょうみゃくさん)※構成生薬として
人参・麦門冬・五味子からなり、発汗による気陰両虚の治療として古くから知られています。この考え方は、現在使用されている関連処方にも受け継がれています。

五苓散(ごれいさん)
水分の偏りによる頭痛やめまい、むくみなどに。

漢方では、「汗を止める」のではなく、「汗をかいても疲れにくい体をつくる」という考え方を大切にします。

🌞夏を元気に乗り切るために

夏は、「暑さに耐える」のではなく、「暑さに適応できる体づくり」が重要です。

十分な睡眠、栄養バランスの良い食事、適切な水分・ミネラル補給、そして胃腸をいたわる生活は、夏バテ予防の基本となります。

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夏バテはもう始まっています

2026/6/30
~本格的な暑さに負けない体づくりを漢方の視点から~

梅雨が明けると、いよいよ本格的な夏が始まります。

「まだ夏バテには早い」と思われるかもしれませんが、実は7月は、体力を大きく消耗し始める時期です。

近年は気温35℃を超える猛暑日も珍しくなく、室内外の温度差や冷房の影響などにより、自律神経は想像以上に酷使されています。

その結果、

「朝から体が重い」
「食欲が落ちてきた」
「夜ぐっすり眠れない」
「めまいや立ちくらみがある」
「胃腸の調子がすぐれない」

といった症状が現れることがあります。
こうした不調は、単なる疲れではなく、「夏を乗り切る準備が十分にできていない」という体からのサインかもしれません。

☀️現代医学から見た夏バテ

夏は大量の汗をかくことで、水分や電解質が失われます。また、暑さに対応するため心臓や血管、自律神経は休みなく働き続けます。
さらに、冷房による冷え、冷たい飲食の摂りすぎ、睡眠不足、紫外線による疲労などが重なることで、全身の回復力が低下してしまいます。
熱中症になるほどではなくても、「何となく調子が悪い」という状態が続く方は少なくありません。

🌿漢方では「暑邪」と「気虚」に注目します

漢方医学では、夏の暑さは「暑邪(しょじゃ)」という季節特有の外邪と考えます。
暑邪は汗を多くかかせるため、体の水分だけでなく、「気(生命エネルギー)」も消耗させるとされています。

そのため夏には、

「疲れやすい」
「息切れする」
「食欲がない」
「集中力が続かない」

といった「気虚(ききょ)」の症状が現れやすくなります。

また、冷たい飲食が増えることで胃腸の働きが弱くなり、余分な水分が体内に停滞して、むくみや頭重感、下痢などを引き起こすこともあります。

💊夏によく用いられる漢方薬

症状や体質によって処方は異なりますが、夏場には次のような漢方薬が用いられることがあります。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
…疲れやすい、食欲がない、夏になると体力が落ちる方に。微熱や寝汗が処方のポイントです。

清暑益気湯(せいしょえっきとう)
…暑さによる疲労や発汗後の倦怠感、食欲低下に用いられる代表的な処方です。脱水気味になっている点、朝に下痢を生じやすい点がポイントです。

五苓散(ごれいさん)
…水分代謝の乱れによる頭痛、めまい、むくみ、気象病などに。暑気あたりや熱中症による脱水対策としても薬に立ちます。

六君子湯(りっくんしとう)
…胃腸が弱く、夏になると食欲が低下する方に用いられます。食事をし始めるとすぐにお腹いっぱいになってしまう、胃もたれ、消化不良などの症状がポイントです。

漢方薬は「夏だからこの薬」というものではなく、その方の体質や症状に合わせて選択することが大切です。

🍉今日からできる夏の養生

夏を元気に過ごすためには、日々の生活も大切です。

✅のどが渇く前にこまめに水分を補給する
✅冷たい飲み物の飲み過ぎに注意する
✅良質なたんぱく質を毎食摂る
✅朝食を抜かない
✅軽い運動で汗をかく習慣をつくる
✅夜更かしを避け、睡眠時間を確保する

暑い季節だからこそ、「胃腸をいたわること」が体力維持の第一歩になります。

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「日本東洋医学会学術総会」参加報告

2026/6/25
6月12日~14日に、富山県富山市で「第76回日本東洋医学会学術総会」が開催されました。
当院は12日・13日と臨時休診をさせていただき、院長が学会に現地参加して来ました。

学術総会では日本各地の漢方専門医(および専攻医)の先生方から、基礎・臨床を問わずさまざまな研究成果が報告されます。自院で診療しているだけでは伺い知ることのできない、広い世界のさまざまな次元の話を聞くことができるので、聴講しているだけで大変勉強になるのです。

学術成果の報告ばかりではなく、さまざまなお楽しみ企画があるのも学術総会の特徴です。
たとえば漢方医学のレジェンドの先生方から直々に講義を受けることができる企画や、腹診・舌診の実習、学生対象の漢方クイズ大会などなど。市民公開講座などもあります。

富山市がまた美しい街で、ちょうど快晴でしたので学会以外のお楽しみも満喫することができました。

尚、今回は院長の学会発表は14日㈰のポスターセッションでした。
次回は一般演題での講演採択を目指して日々精進いたします。

学会に参加できるのも当院をご愛顧くださっている皆様のおかげです。
いつもありがとうございます

梅雨入りの準備はお済ですか?

2026/6/5
~だるさ・頭痛・むくみは「湿気」が原因かもしれません~

6月が近づくと、雨の日が増え、湿度の高い季節がやってきます。

この時期になると、

朝から体が重い
頭がすっきりしない
むくみやすい
めまいがする
胃腸の調子が悪い
やる気が出ない

といった不調を訴える方が増えてきます。

病院で検査をしても異常が見つからないことも多く、「年齢のせいでしょう」「疲れでしょう」と言われてしまうこともあります。しかし漢方医学では、このような梅雨時期の不調には明確な理由があると考えています。

梅雨は「湿邪(しつじゃ)」の季節

漢方医学では、梅雨のように湿度が高い環境は「湿邪(しつじゃ)」という外邪を生み出すと考えます。

湿邪の特徴は、「重い」「停滞する」「下にたまる」「巡りを悪くする」ことです。

たとえば雨の日に洗濯物が乾きにくいように、体の中でも余分な水分が滞りやすくなります。
その結果、頭重感、むくみ、胃もたれ、下痢、関節痛、強い倦怠感などが現れるのです。
漢方ではこれを「水滞(すいたい)」や「水毒(すいどく)」と呼びます。

梅雨の不調は単なる疲れではなく、水分代謝の乱れが関係していることがあります。
特に次のような方は注意が必要です。

✓ 雨の日に頭痛が起きる

✓ 天気が悪いと体調が悪化する

✓ 足や顔がむくみやすい

✓ めまいやふらつきがある

✓ 胃腸が弱い

✓ 水分をよく飲むのに尿量が少ない

✓ 舌に歯型がつきやすい

このような方は、漢方的には「水」の処理能力が低下している可能性があります。

梅雨によく用いられる漢方薬
🌿五苓散(ごれいさん)

梅雨の代表的な漢方薬です。体内の余分な水分の偏りを調整し、頭痛、めまい、むくみ、二日酔い、気象病などに用いられます。

「水を抜く」のではなく、「水の流れを整える」というのが特徴です。

🌿苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

五苓散とよく似た生薬構成の漢方薬です。気の巡りを整えつつ水の巡りを調整するため、立ちくらみ、めまい、動悸、ふわふわする感じがある方によく用いられます。雨の日になると調子が悪いという方に適することがあります。

🌿半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

胃腸虚弱の方の水滞症状に使用される漢方薬です。めまい、頭重感、耳鳴り、慢性的な疲労感を伴うタイプに用いられます。高齢者の梅雨時の不調にもよくみられるパターンです。

🌿補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

梅雨時になると極端に疲れやすい方には、「気虚(エネルギー不足)」が背景にあることがあります。そのような場合には補中益気湯が役立つことがあります。


梅雨を元気に過ごすための養生法

漢方では薬だけでなく、日々の養生も重要です。

①冷たい飲食を控える:冷たい飲み物やアイスは胃腸を弱らせ、水分代謝を悪化させます。

②軽く汗をかく:散歩やストレッチなどの軽い運動は、水分代謝を助けます。

③湿気をためない:除湿や換気を心がけ、室内環境を整えましょう。

④十分な睡眠をとる:自律神経を整えることが、梅雨時の体調管理につながります。


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「年を取ったから」痩せにくくなったのではありません

2026/5/24
「最近むくみやすい」
「疲れが抜けにくい」
「昔より太りやすくなった」

こうしたときによく耳にするのが、「新陳代謝が落ちた」という言葉です。
では実際に、“新陳代謝を高める”ことはできるのでしょうか?

現代医学では、新陳代謝とは主に
・エネルギー消費
・細胞の入れ替わり
・血流や水分循環
・自律神経やホルモン調節

など、体を維持するための総合的な働きを指します。

漢方医学ではこれを、「気・血・水の巡り」に変換して理解します。

つまり、新陳代謝を整えるとは、単に「汗をかく」ことではなく、
全身がスムーズに巡る状態を作ることなのです。

では、代謝が落ちる原因とは?

新陳代謝の低下は、年齢だけが原因ではありません。
実は現代人は、日常生活の中で“代謝を下げる習慣”を繰り返していることが少なくありません。

例えば、

✅運動不足
✅睡眠不足
✅冷たい物の常習的な飲食
✅さまざまなストレス
✅長時間の座位
✅過度な糖質摂取
✅慢性的な疲労

など、現代社会で暮らしていたら誰もが直面する問題ばかりです。
これらは、自律神経や血流、水分代謝を乱し、「巡りの悪い体」を作っていきます。

まず重要なのは“筋肉”💪

基礎代謝の大部分は筋肉で消費されます。
そのため、ダイエットで無理に食事制限をして筋肉を減らしてしまうと、かえって代謝は低下します。
間違った方法では、ダイエットを頑張れば頑張るほど痩せにくくなっていってしまうのです。

おすすめは、

✅軽いスクワット
✅階段を使う
✅少し早歩きする
✅朝に体を動かす

など、“続けられる運動”です。
特に下半身の筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれ、血流改善にも関わります。

🍵胃腸を冷やさないことも大切

漢方では、胃腸(脾胃)は“気を作る工場”と考えます。
冷たい飲み物や食べすぎは、この働きを弱めてしまいます。

そのため、夏でもオススメの食材は

✅常温〜温かい飲み物
✅発酵食品
✅味噌汁

そして、よく噛むことと、夜遅い食事を避けることが大切です。
特に朝の温かい汁物は、体を内側から起こしてくれます。

🌙「睡眠」が代謝を左右する

睡眠不足になると、食欲ホルモンの乱れ、血糖調節異常、自律神経の乱れが起こりやすくなります。
「夜更かしすると太りやすい」のは、単なる気のせいではありません。
筋肉を維持するための成長ホルモンの分泌も低下してしまいます。

漢方でも、夜は“陰を養う時間”とされ、睡眠不足は巡りを乱す原因と考えられています。
漢方では基礎代謝の低下として、気虚=エネルギー不足、水滞=水分代謝低下、瘀血=血流障害などの病態が背景にあることが少なくありません。

新陳代謝の低下に対して漢方薬を使用する場合には、患者様毎に漢方医学的な分析をして体質のバランスを整える漢方薬を使用します。

しかし、「新陳代謝の低下」という保険適応を有する漢方薬はありませんので、該当する疾病に対して漢方薬を処方し、ついでに新陳代謝の改善を試みるということになります。

⚠“代謝低下”の背景に病気が隠れていることも
基礎代謝の低下を感じたら、器質的疾病を鑑別することが必要です。例えば

・甲状腺機能低下症
・貧血
・睡眠障害
・更年期障害
・糖代謝異常

などが関与している場合もあります。
「年齢だから」で済ませず、一度体を見直してみることも大切です。

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