新前橋すこやか内科・漢方内科クリニック|内科・漢方内科、外科、補完・代替医療(自由診療)

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肥満症

肥満は先進国を中心に深刻な社会的健康問題となっています。肥満の原因は何と言っても「運動しない」「食欲のおもむくままに食べたいものばかり食べる」「砂糖などの単純糖類や加工糖類の過剰摂取」による現代的な生活習慣です。

身長と体重から計算されたBMIという数値によって肥満や痩せの判定をおこないます。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m) 
体重(kg)を身長(m)の2乗で割り算した数値です

日本ではBMI>25を肥満と定義していますが、スポーツで体を鍛えている人の場合にもBMIが25を超える場合があり、「肥満」と表現することに違和感を覚えるかたも多いのではないでしょうか。
「肥満」という表現には病的なイメージ、不健康なイメージが含まれています。また、BMIが25未満であっても肥満と表現するべき状態のかたもいらっしゃいます。
BMIはあくまで体格のひとつの目安であることをご理解ください。

<分類>
肥満は太り方によって主に①内臓脂肪型肥満、②皮下脂肪型肥満、③二次性肥満の3つに分類することができます。
内臓脂肪型肥満 … いわゆるメタボ体型です。中年男性に多く、固太りした太鼓腹のイメージ
           です。
皮下脂肪型肥満 … 女性の肥満に多いパターンで、お腹周り(内臓脂肪)よりも下半身を中心
           に皮下脂肪が増えています。スイーツや果物を食べすぎかもしれません。
二次性肥満 … なんらかの疾患のせいで生じている肥満です。クッシング症候群というホルモ
         ン異常疾患では体の中心が丸く太る特徴的な太り方をします。

二次性肥満の原因となる疾患はたくさんあります。
クッシング症候群や甲状腺機能低下症、多嚢胞性卵巣症候群などのホルモン(内分泌)疾患、遺伝性肥満症、脳腫瘍や脳疾患による肥満、薬剤性肥満など多種多様です。太ることや痩せることは、人体のさまざまな要因が関係していることなのです。カロリーの多い少ないで説明できるような単純な話ではありません。

<検査>
・腹部CT … 脂肪の量を評価することができ、上記①②の分類に有効です
・血液検査 … 肥満症に合併した疾患や内臓の異常を評価するためにおこないます
・ホルモン検査 … 二次性肥満の場合には原因疾患を疑って検査をおこないます

BMIが30を超えるような病的な肥満の場合には、なんらかの二次性肥満の可能性を常に意識しておくことが必要です。内分泌疾患は血液検査で見つけることができるため、最低でも一度は確認しておくことをオススメします。

★外来でも検査できるホルモン異常
 …コルチゾール、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)、TSH(甲状腺刺激ホルモン)、遊離T3・
  遊離T4(甲状腺ホルモン)など。
  成長ホルモンの場合には分泌刺激試験をおこないます。IGF-1の値は成長ホルモン分泌不全の
  参考となります。

<治療>
内蔵脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満の治療はなんと言っても生活習慣の改善です。
食事療法 … ご自身の生活に悪影響のない食事療法を実行してください。
        短期間(数日や一、ニ週間)で10kgも20kgも体重が減ることを謳うダイエット
        方法がたくさんありますが、人体の仕組みから考えると非常に不自然です。極端
        な食事療法(制限)はかえってリバウンドによる肥満を招き、健康を損ねる可能
        性があります。健康的な生活習慣として長くつづけていけることが大切です。

運動 … 適度な運動は新陳代謝を高めるため肥満解消に有効ですが、運動によって痩せるため
      には日常的に負荷の大きい運動をする必要があります。運動によって健康を損なわな
      いよう気をつけながら実行してください。

内服薬 … 食欲を低下させるお薬があります。生活習慣改善の補助として利用します。
       病的肥満症の方にはサノレックスを使用する場合がありますが、有害事象を避ける
       ため低用量からの使用となります。

ダイエット手術 … あまりに高度な肥満の場合には胃切除術やバイパス手術などをおこなう場
           合があります。どのような手術でも合併症や後遺症の可能性があります。

漢方薬 … 漢方薬だけで何十kgも痩せることは困難です。しかし、内臓脂肪型肥満に対する
       防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)大柴胡湯(だいさいことう)、皮下脂肪
       型肥満に対する防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)などは一定の効果があると認識さ
       れています。あくまでもダイエット活動のお供としてご利用ください。

昨今、漢方薬のの原料である生薬の入手が困難になりつつあり、コロナによる漢方薬の過剰消費のため、漢方薬の供給が不安定となっています。このような事態に対して漢方薬の適正使用をすべき医療機関として、漢方薬による肥満治療はBMIが25以上の患者様に限定しております。

<漢方薬の適応・効能効果>
● 防風通聖散
[適応疾患]常習便秘、胃酸過多少、腎臓病、心臓衰弱、動脈硬化、高血圧、脳溢血
(解説)体格が良くてなんでもかんでも体にため込んでしまう体質の人であり、暑がりで、便秘がちでお腹が硬くパンパンになっているような人に適した漢方薬です。

● 大柴胡湯
[適応]高血圧、高血圧に伴う頭痛・肩こり、動脈硬化、常習便秘、胃酸過多症、黄疸、胆石症、胆嚢炎、肝機能障害、胃腸炎、気管支喘息、不眠症、神経衰弱、陰痿、半身不随、悪心、嘔吐、食欲不振、糖尿病、ノイローゼ、不眠症
(解説)体力がありストレスが過大な状況にあり、上記のような症状・疾病を抱えている人に適した漢方薬です。

● 防己黄耆湯
[適応]腎炎、糖尿病、陰痿、坐骨神経痛、腰痛、脚気、膀胱炎、前立腺肥大、高血圧、関節炎、関節リウマチ、多汗症
(解説)やや虚弱で疲れやすく、汗かきで水太りをする体質の人に適した漢方薬です。

※漢方薬をご利用の際は、これらの適応や適証を十分に理解したうえでご利用ください。

保険適応外の漢方薬をご希望のかた、医学上肥満症の定義に当てはまらないかたの診療は、自費漢方外来のダイエット漢方相談でのご対応となります。
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