当院では更年期障害/閉経後症候群に対して漢方薬による治療をおこなっております。
更年期障害とは、加齢によって卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)が減少し、心身にさまざまな症状が出現することです。
更年期は閉経の前後45歳から55歳のあいだが目安とされますが、閉経の年齢には個人差があるため更年期にも個人差があります。
<更年期障害のおもな症状>
・ホットフラッシュ(顔やからだのほてり、のぼせ)
・異常発汗 ・動悸
・冷え ・肩こり
・便秘 ・不眠
・イライラ ・抑うつ
などなど「これも更年期障害なの!?」と思うような症状まで多岐にわたります。
<検査>
・FSH(卵胞刺激ホルモン)、E2(エストラジオール)
…更年期障害には女性ホルモンの変動が関与していると考えられていますが、必ずしも血液検査
によって診断されるものではなく、参考にする程度とされています。
<治療>更年期障害の治療は大きく分けて①ホルモン補充療法(HRT)、②漢方薬、③対症療法の3種類があります。これら単独で治療する場合も、組み合わせて治療する場合もどちらもあります。
①
ホルモン補充療法(HRT) …エストロゲン(卵胞ホルモン)を内服して補充する治療方法です。子宮がある場合にはプロゲス
テロン(黄体ホルモン)も補充します。おもに婦人科での治療となります。
② 漢方治療
…女性の悩みには昔から漢方薬が活用されてきました。ホットフラッシュに対する加味逍遙散(か
みしょうようさん)が有名ですが、実際には症状と診察所見から漢方薬を選定します。
③ 対症療法
…不安や抑うつ、不眠などの精神的な症状はホルモン補充療法でも改善しない場合があります。症
状にあわせて対症療法的に内服治療を併用します。
閉経後も更年期障害と同じような症状がつづく場合があり、閉経後症候群と呼ばれます。
やはり女性ホルモンの減少による心身の不調であり、漢方治療が有効です。
漢方による更年期障害の治療ではホットフラッシュやイライラに対して加味逍遙散(かみしょうようさん)が代表的な漢方薬ですが、その他の症状に応じて皆様に最適な漢方薬を選択することを心がけています。
漢方薬には比較的効果が安定していて万人受けするものと、オーダーメイドの薬のように特定の体質に絞ったものがあります。時間はかかってしまうかもしれませんが、ベストな配合を見つけられるよう頑張ります!
更年期障害にたいして漢方治療を受けるかたは、必ず婦人科を受診し、ほかの疾患が隠れていないか確認していただくようお願いいたします。
なお、プラセンタ製剤(メルスモン)は45歳から59歳までの更年期障害に保険適応となりますが当院では採用しておりませんのでご了承ください(当院で採用しているラエンネックは更年期障害の保険適応がございませんので、自由診療でのご提供となります)。