「ほてり」や「のぼせ」は熱がこもって上半身に集まっていることで感じるからだの暑さ、不快な症状です。
更年期障害や自律神経失調症などさまざまな疾患の症状として現れることもあります。
漢方ではほてり・のぼせの原因として気逆(きぎゃく)や瘀血(おけつ)を中心に考えます。
◎気逆
気(生命エネルギー)が本来のめぐり方とは異なるめぐり方をする状態です。本来、気は体の中心を上から下に向かって降りていくのですが、何らかの原因で気が熱とともに下から上にのぼってしまうことでほてりやのぼせを自覚します。
気逆では「下半身は冷えている」「顔が赤い」「動悸が生じる」「発作的な頭痛」などの所見を伴います。
◎瘀血
瘀血は毛細血管などの微細なレベルでの血流が滞っている状態です。瘀血によって気逆が生じる場合もあります。
瘀血では「目のクマが濃い」「クモの巣のような血管拡張がある」などの所見を伴います。
<代表的な漢方薬>
・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
…自律神経失調症の治療薬として頻用されます。頭部にだけ発汗し、動悸や息切れ、神経過敏、
不眠症などの症状があります。
・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
…強力な駆瘀血剤であり、頑固な便秘の薬でもあります。月経に関連した精神不安定や高血圧、
頭痛・肩こりなどの症状もあります。顔色はやや赤黒く、ニキビなどの皮膚症状も伴います。
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
…更年期のホットフラッシュ用の漢方薬として有名です。更年期症状や月経困難、冷え症や肩
こりなどの症状に対して使用します。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
…炎症を鎮め、籠った熱を冷ます薬です。のぼせ気味でイライラしやすく、目の充血、鼻血、
皮膚のかゆみ、高血圧などの症状に使用します。
・女神散(にょしんさん)
…のぼせとめまいの頑固な症状に対して使用する薬です。頭痛、肩こり、睡眠障害、目のかす
み、月経困難などの症状も伴います。