気管支喘息(きかんしぜんそく)はアレルギー素因のあるひとがアレルギーの原因物質(アレルゲン)を吸い込んだりした際に、過剰な免疫反応とともに気道の炎症が生じる疾患です。
気管支喘息では気道が過敏になっており、アレルゲンへの暴露によって炎症が生じやすくなります。
気道で炎症が生じると、気道がむくみ空気の通り道が狭くなるため呼吸が苦しくなるとともにゼーゼーあるいはヒューヒューという気道狭窄音が生じます(喘鳴)。重篤な発作が生じた場合、適切な処置をしないと生命に危険がおよぶことがあります。
気道における炎症が慢性化して繰り返されると、火傷のあとのひきつれのように気道が硬く・狭くなってしまいます。
喘息のなかにはアレルギー素因以外の誘因によって生じるものもあります。
・アスピリン喘息 …解熱鎮痛剤が原因で生じる喘息発作です。
・運動誘発性喘息 …運動が引き金となって生じる喘息発作です。
・咳喘息 …かぜが治った後も2か月以上咳が続く場合には咳喘息の可能性があります。
<検査・診断>
・血液検査 …アレルギー素因を調べるために利用します。白血球のうちの好酸球数や非特異的
IgE抗体を測定します。
・呼吸機能検査 …非発作時でも呼吸機能の低下を確認することができます。
<治療>
気管支喘息の治療では発作時の治療と、寛解時の治療があります。症状が治まっている寛解期にも治療を続けることが重要とされています。
・吸入ステロイド薬 …炎症とアレルギー反応を抑えるために使用します。
・気管支拡張薬 …狭くなった気道を広げて呼吸を楽にするために使用します。交感神経に作用す
るβ2刺激薬やテオフィリン製剤などがあります。吸入ステロイドとの合剤も作
られています。
・抗アレルギー薬 …補助的に使用されます。
・抗IgEモノクローナル抗体 …気管支喘息でも分子標的薬が開発されました。アレルギー反応に
関連するIgEというたんぱく質に結合することでアレルギー反応
・炎症反応を阻止します。
気管支喘息に有効な漢方薬も存在します。
もっとも良く知られているのは柴朴湯(さいぼくとう)という漢方薬で、漢方専門医でなくとも呼吸器内科の医師であれば使用しています。
麻黄を含有する漢方薬はエフェドリンによって気道を広げる効果があるため発作時に使用します。
非発作時にも咳や痰などの症状に対して麦門冬湯(はんげこうぼくとう)や苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)などの漢方薬を使用します。
漢方では全身的に弱っている部分の治療や体質改善も行います。胃腸がよわい体質のかたには六君子湯(りっくんしとう)や小建中湯(しょうけんちゅうとう)、小児であれば五苓散(ごれいさん)、高齢者であれば八味地黄丸(はちみじおうがん)などを使用することがあります。
漢方薬と一般薬をうまく使い症状軽減をめざしましょう。