6種複合免疫療法は、自分自身の免疫系細胞6種類を増幅・再投与する治療方法です。
「自分自身の血液中の免疫細胞の数が増えれば、それだけ免疫力が高まる」
6種複合免疫療法はこのようなシンプルな発想に基づいて誕生した治療方法です。
免疫療法の分野では、特定の種類の免疫細胞(例えばTリンパ球や樹状細胞)をどうやって強化、再教育することでガンのような重大な疾患に治療効果があるか研究が続けられてきました。
しかし、これまでの手法では特定の免疫細胞の増幅や再教育に時間と手間暇がかかりすぎてしまう一方、期待されるほどの効果を発揮することができませんでした。
治療概要
6種複合免疫療法では、自分自身の血液中の免疫細胞を増幅させ、体内に戻します。
単一種類の免疫細胞によるはたらきもすばらしいですが、関連のある免疫細胞の一団が大幅に増員されて協調してはたらくことで高い相乗効果を期待しています。
【方法】
① 献血の要領で自分の血液を一定量(30ml)採取します。
② 専門施設にて6種類の免疫細胞を増幅させます。
一定数以上になるまで十分に時間をかけて増幅させます。
③ 増幅された免疫細胞を血液中に戻します。輸血のようなイメージです。
1回だけで十分な効果が発揮されるとは考えにくいため、通常は以上の①~③の工程を6コース行います。
他の免疫細胞療法との大きな違いはなんでしょう?
他の免疫細胞療法では一つまたは二つの免疫細胞を培養する事が多いですが、この療法では6つの免疫細胞を同時に培養する技術を用いています。
一つ、二つの細胞を活性化する免疫細胞療法には限界があります。免疫細胞同士の相互作用を考え、免疫力を高めるにはヘルパーT細胞、NK細胞、NKT細胞、キラーT細胞、γδT細胞、樹状細胞の6種類の免疫細胞を同時に活性化することが重要です。複数の免疫細胞を一緒に培養することで、それぞれの免疫細胞が相互に作用しながら活性化・増殖することが可能になります。
複数の免疫細胞をそれぞれ個別に培養する方法も考えられますが、それぞれの作業の負担と治療費が増えてしまう可能性があり、細胞同士の相互作用・連携という点からも個別に培養するよりも一緒に培養することが有利であると考えられます。
免疫細胞は細胞間でコミュニケーションをとるためにサイトカインという物質を放出しています。6種複合免疫療法ではサイトカインを出し合って相互に協調している免疫細胞を投与することで、体内での免疫細胞の連係が生まれることを狙っています。
例えば、樹状細胞は抗原提示細胞ともよばれ、抗原をいち早く見つけ出し、その情報を免疫の司令塔と言われるヘルパーT細胞へ伝達します。ヘルパーT細胞は樹状細胞から異物(抗原)の情報を受け取ると、免疫活性化物質(サイトカイン)を放出してキラーT細胞やNK細胞などの各実行部隊に攻撃の指令を出します。NKT細胞に至っては、樹状細胞から抗原の情報を受け取ってがん細胞を攻撃するのみならず、IFN-γ(インターフェロンガンマ)というサイトカインを放出し、未成熟な樹状細胞の成熟化、NK細胞やキラーT細胞の活性化、一部の免疫細胞に長期免疫記憶を獲得させたり、がん細胞が免疫細胞にかけている免疫のブレーキを解除して免疫細胞の攻撃力を回復させるなど、免疫のネットワークを同時に活性化させる重要な役割を担っています。このことからも、複数の免疫細胞を1つのチームとして一緒に培養するメリットは非常に大きいと考えられます。
臨床実績データ
6種複合免疫療法をおこなっている代表的な施設の臨床実績によれば、これまでのところ3分の2がStageⅣの悪性腫瘍の患者様でした。
StageⅣのガン患者様に対する放射線治療や抗がん剤などの化学療法は、一定の生存期間延長効果はあるものの身体的負担も大きく、治療の代償としてQOL(生活の質)を大きく損なうケースが多くみられます。
医療情報にアクセスしやすくなった現代では、患者様お一人お一人の価値観や生き方にマッチする治療戦略が提供されるべきであると考えるかたが増えてきています。
残念ながら、日本のがん医療においてはStageⅣで標準的治療方法の選択肢がなくなった患者様に対する心理的・社会的側面のケアがまったく提供されてきませんでした。あるいは度重なるがん治療のなかで、心身共に消耗しきってしまっているにも関わらずガンの進行を食い止めることができずに苦しまれている方と真摯に向き合ってきた医師もごくわずかでした。臨床データや医学的エビデンスのために、人としてではなく数値データとして医療を施されてきたような方も多くいらっしゃいます。
このような日本のがん医療において、がん患者様の自由意志や人間としての尊厳を中心に据える医療が求められています。
6種複合免疫療法は身体的負荷の少ない治療方法です。手術により切除することができない方でも、全身状態が安定していれば治療をおこなっていただくことができます。スケジュールが上手く調整できれば、化学療法と並行しておこなうことも可能です。
6種複合免疫療法では、進行がんを一定程度食い止める効果が臨床実績によって確認されています(治療有効率)。
末期がんから一発逆転でがんを消滅させるような魔法ではありませんが、標準的治療のようにガンとの生存競争をかけた殺し合いをするのではなく、免疫力を高めてガンの進行を足止めし、ガンと共存・共生しながら患者様が内面とゆっくりと向き合うことができる時間を確保することができれば、当院としてはこの治療方法をご提供した意義があると考えます。
もちろん、早期ガンや手術による完全切除後の再発予防としてのご利用も可能であり、その場合の方が高い効果が期待されます。
治療プラン・治療費
6種複合免疫療法では、初めての治療にさいして初期培養が必要となります。
【初期培養費用】
16,500円(税込)
つづいて「血液の回収・増幅・投与」を1コースとしています。
【1コース費用】
予防的投与 275,500円(税込)
治療的投与 324,500円(税込)
十分な治療効果を発揮するために、通常は6コースを1セットとしています。
【治療1サイクル(6コース分)】
予防的投与プラン 合計1,650,000円(税込)
治療的投与プラン 合計1,947,000円(税込)
6種複合免疫療法は、治療適応基準に達していれば何サイクルでも繰り返しご利用いただくことが可能です。
治療費は1治療(1コース)ごとのお支払いです。
6回の治療を1サイクルとしておりますが、治療費は1治療毎になります。
治療費の他に自費診療初診料や自費血液検査料、手技料・施術費用など、別途必要となります。
6種複合免疫療法の費用は免疫細胞の培養が始まった時点で発生します。したがって、体調の悪化や患者様の都合により治療が中断された場合でも、培養したぶんの費用は請求されますのでご注意ください。
なお、6種複合免疫療法は自費診療であるため社会保険などの公的医療保険の対象とはなりませんが、確定申告による医療費控除の対象となります。領収書は確定申告時まで大切に保管下さい。
有害事象
患者様によっては一過性の軽度の発熱(37~38℃)といった副作用がみられることがあります。発熱等の症状は2〜3日続くことがあります。
よくあるご質問
Q.どんながんに有効ですか?再発や転移がんには?
ほとんどのがんに適用でき、他のがん治療とも併用できます。
一部の白血病を除く、ほぼ全てのがんに適用します。難治性のがんや進行したがんにも対応します。手術や抗がん剤・放射線治療が難しい転移・再発したがんでも、6種複合免疫療法でがんが縮小したり、進行が抑えられたり、なかには完全に消失したケースもあります。がんの再発や転移の予防にも効果的です。
Q.治療の際は、入院や毎日の通院が必要ですか?
必要ありません。基本的に3週間ごとに6回、通院による治療を行います
治療が決定したら、まずは患者様の免疫細胞を確保するために、採血を行います。
3週間後、培養により活性化・増殖した免疫細胞を、患者様の体に点滴で戻します。 基本的には、これを3週間ごとに6回くり返して治療しますので、入院や毎日のように通院する必要はありません。患者様の現在の生活リズムを崩すことなく治療することが可能です。
Q.保険適応ではない免疫療法は効果がない、免疫細胞療法には科学的根拠がなく、治療効果が証明されていないという話を聞きました。
免疫細胞療法によるがん治療の臨床研究は世界中で広く行われており、科学的根拠を示した論文も出されています。
免疫療法といっても様々なものが存在し、免疫療法でがんを治すことは困難、免疫療法は効果がないという医師や研究者も確かにいます。しかしながら、「免疫チェックポイント阻害薬」の登場で、免疫でがんを治すことができるということが明確になりました。
がん細胞は免疫細胞の攻撃にブレーキをかけることで自分の身を守っていますが、免疫チェックポイント阻害薬を用いた免疫療法では、このブレーキを解除させることで、免疫細胞の攻撃にアクセルをかけて治療します。
「免疫細胞療法」は、患者様ご自身の免疫細胞を取り出して活性化・増殖し、体内に戻す治療法です。免疫システムへのアプローチは異なりますが、「免疫チェックポイント阻害薬」と同様、ご自身の免疫細胞、免疫システムを活用します。
保険適応でなくても、免疫細胞療法は海外のみならず国内からも科学的根拠を示した論文が発表されています。
Q.免疫細胞を投与すると、どのくらいの期間効いているのでしょうか。
治療効果には個人差が見られますが、これは持続期間についてもあてはまります。免疫の効果を維持させるため、基本的に3週間に1回の投与を6回(1クール)実施します。引き続き2クール目を希望される場合で、結果が良好な場合は3~6ヵ月に1回の間隔で投与することがあります(維持療法)。
これはワクチンの効果と同様の考え方です。ワクチンの種類にもよりますが、十分な免疫を得るためには3~4週間間隔で数回投与することがベストで、効果が期待されるのは投与後2週間から3~6ヵ月と考えられています。
体内で作られた免疫機能が、再度抗原に接触することでさらに免疫機能が高まる現象はブースター効果(追加免疫効果)と呼ばれており、免疫細胞療法でもこのブースター効果による追加免疫の獲得を狙っています。また、活性化NKT細胞により他の免疫細胞も活性化されますが、その一部は長期免疫記憶を獲得することが明らかにされています。
なお、免疫チェックポイント阻害薬の使用により、2~3割程度の確率でがんの縮小が見られますが、この薬が効いた例では効果が長く持続しています。活性化したNKT細胞を用いた進行性非小細胞がんの臨床試験において、免疫チェックポイント阻害薬と同等の生存期間中央値が示されていることから、活性化NKT細胞が含まれる6種複合免疫療法でも同様の効果が期待されます。