新前橋すこやか内科・漢方内科クリニック|内科・漢方内科、外科、補完・代替医療(自由診療)

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難病サポート漢方🙋

「難病」とは現代の医学では病態や原因、根本的な治療方法が確立されていない疾患(症候群)であり、国によって研究対象として指定されているものです。

難病を漢方薬で完治させることはできませんが、難病による症状に対してそれぞれの証に応じた漢方薬が使用されています。ここでは臨床研究により一定の効果を確認されているものをご紹介します(ただし、漢方薬を使用した二重盲検比較試験は困難であり、医学的なエビデンスレベルとしては高くありません)。

シェーグレン症候群
 主として中年女性に好発する涙腺と唾液腺を標的とする 臓器特異的自己免疫疾患です。主な症状はドライアイと唾液の分泌量低下による口腔乾燥症状です。漢方薬では体に潤いをもたらす作用のある漢方薬によって症状の軽減を期待できます。麦門冬湯(ばくもんどうとう)人参養栄湯(にんじんようえいとう)を使った臨床試験があります。

再生不良性貧血
 再生不良性貧血は血液中の白血球、赤血球、血小板のすべてが減少する疾患です。特発性再生不良性貧血の大多数は、自己免疫的な機序によって発症すると考えられています。免疫というのは、外からの細菌やウイルスの感染を防ぐための体のしくみですが、このしくみが何らかの原因で変化してしまい自分自身の細胞を傷害するようになることを指します。特発性再生不良性貧血においては、造血幹細胞が自分自身のリンパ球によって傷害されると考えられています。人参養栄湯(にんじんようえいとう)による造血能力の改善が確認されています。

クローン病
 大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)といいます。クローン病も炎症性腸疾患のひとつで、主として若年者の全消化管(口腔から肛門にいたるまで)に炎症や潰瘍が生じます。病変が飛び飛びに出現する点が特徴的で、それらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じます。炎症と寛解をくりかえすうちに消化管の瘢痕化と狭窄を生じ、腸閉塞に至ってしまいます。クローン病による腸閉塞に対して大建中湯(だいけんちゅうとう)を使用し、症状の軽減が認められています。

・ベーチェット病
 ベーチェット病は全身的に発作と寛解を繰り返す炎症性疾患です。主な症状として口腔粘膜潰瘍、眼症状(ぶどう膜炎)、外陰部潰瘍、皮膚症状が生じます。ベーチェット病に対して温清飲(うんせいいん)による口腔潰瘍と皮膚症状の改善が認められています。

・MTCD
 MTCDは混合性結合組織病の英語名の略称です。全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎それぞれとよく似た症状が現れ、血液検査にて血清抗U1-RNP抗体が高値となる全身性自己免疫疾患です。MTCDではレイノー現象という手指の色調変化症状が出現します。MTCDのレイノー現象に対して人参養栄湯(にんじんようえいとう)を投与することで症状改善が認められています。

・サルコイドーシス
 サルコイドーシスは原因不明の全身的な肉芽腫形成疾患であり、多彩な臨床症状を呈します。目に病変が現れた場合(眼サルコイドーシス)には肉芽腫性ぶどう膜炎という特徴的な症状が現れます。柴苓湯(さいれいとう)による前眼部・眼底部の炎症所見の改善、硝子体混濁の改善などの効果が確認されています。

・パーキンソン病
 神経変性疾患の一つであり、自律神経の傷害や運動機能障害、認知機能障害が現れます。パーキンソン病の諸症状に対して、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)六君子湯(りっくんしとう)などの漢方薬による自覚的・他覚的な治療効果が認められています。


漢方薬を使用した臨床試験が困難なこともありエビデンスとしては限られてはいるものの、一部の難病による諸症状に対して漢方薬が有効であることが確認されています。症例報告のレベルであればさらに多くの文献を見つけることができます。
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