台風が発生したとき・近づいてきたとき、雨が降っているとき、季節の変わり目、気圧の変動が大きいとき…
このようなタイミングで体調を崩しやすい方が世の中にはいらっしゃいます。
最近でこそ「気象病」という名称が広まりましたが、これは病気というよりもまさしく「体質」と表現するしかない状態であり、他の人からはなかなか理解されにくい悩みです。
西洋医学的に精査をしても異常が見つかることがなく、医者から「気合の問題」などというふうに片づけられてしまうことさえあります。
漢方医学的には天候による影響で体調が悪化する原因として「水滞(すいたい)」という病態を中心に考えます。体の中の水のめぐりの異常を意味する病態であり、文字通り「よぶんな水がたまってしまっている」状態です。
<水滞のおもな症状>
・顔や足のむくみ ・頭痛 ・立ちくらみ
・耳鳴り ・めまい ・動悸
・下痢 ・尿量の減少 ・水疱性疾患(水疱瘡など)
このように、全身的な水のバランスの不調や局所的な水のバランスの不調により水滞症状があらわれます。
体内に余分にたまっている水が、季節や天気など気圧の変化によって膨張したり縮んだり、移動したりすることによって生じる症状が気象病です。
<水滞の治療に使用する主な漢方薬>
◎五苓散(ごれいさん)
◎半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
◎苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
◎防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)
水滞の治療の王道は「五苓散」です。気象病でお困りの方は、何はともあれまず五苓散をご利用ください。
体の中の水分の偏りを是正する漢方薬であり、余っているところからは水を捨てますが不足しているところからは水を奪わないので、内服していても脱水になることがない不思議な利尿剤です。
一般的な薬の利尿剤では内服すればするほど脱水症になってしまいますが、漢方薬はバランスを整えるように設計されているため利尿剤でありながら脱水の予防にもなります。先人達がいかに優れていたかがよくわかりますね。
五苓散以外の漢方薬もおひとりおひとりの体質や症状に合わせて選択します。
気象病もまたひとそれぞれ症状が異なりますし、梅雨に不調のかたもいれば秋に不調のかたもいます。
体質改善なら漢方です。