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感染性胃腸炎

胃腸炎とは

医師が「胃腸炎」というとき、基本的にはウイルスが原因の感染性胃腸炎を意味します。
ウイルス性の感染性胃腸炎では、原因となるウイルスの病原性によって症状の強さが左右されます(例えばノロウイルスの症状の方がロタウイルスの場合よりも重い)。
しかし、胃腸炎の原因は細菌の場合もありますし、食中毒の場合や有害物質の場合もあります。

要するに「胃腸炎」という言葉は「胃~小腸~大腸における炎症」を意味する言葉ですので、原因はいろいろあるということです。

なんとなくいつまでたっても胃の調子が悪かったり、下痢しやすかったり、食欲が無かったり、お腹が痛くなりやすいなどの状態が続くと「慢性胃腸炎」という診断になることがあります。実は漢方診療をしていると非常に都合のいい診断名なのですが、医療としてはいい加減につけられている病名であることが多々あります。

胃腸炎を疑う症状

発熱」「腹痛」「下痢」「嘔吐
これらの症状がある場合には胃腸炎を第一に考えます。そして胃腸炎以外の疾患の可能性と、胃腸炎の原因について考えながら診察や検査を進めます。ウイルス性胃腸炎の場合には原因があまりはっきりしなかったり、鑑別のための特徴に乏しかったりします。
一方、細菌性胃腸炎や食中毒の場合には鑑別に役立つ特徴があります。

血便が出ている場合にはすぐに病院を受診してください。腸管出血性大腸菌や溶血性尿毒症症候群などの危険な状態である可能性があります。

「発熱・腹痛・下痢・嘔吐」は胃腸炎や食中毒以外のさまざまな疾患でも生じうる症状です。

胃腸炎とよく似た症状を呈する疾患

・過敏性腸症候群 ・クローン病 ・潰瘍性大腸炎 ・機能性ディスペプシア
・大腸憩室炎   ・腸閉塞   ・虚血性腸炎  ・腸間膜リンパ節炎
・自律神経失調症 ・心身症   ・進行大腸がん ・カルチノイド症候群

これらの疾患は胃腸炎とよく似た症状を認めるものの(実際に胃腸でなんらかの炎症は起きていたとしても)、いわゆる「胃腸炎」という言葉の範疇には入らずに区別されています。

腹痛や嘔気・嘔吐、下痢といった症状は非常にありふれた症状のため、感染性胃腸炎以外の疾患を安易に除外することはできません。

食中毒のリスクとなる食品

「卵」「数日間寝かせたりしているカレーやシチューのような料理」「調理して冷凍保存した料理」「牛肉・豚肉・鶏肉などの精肉類」などの食品は食中毒や感染性胃腸炎の可能性が常にあるため注意が必要です。また、これらの食品の摂取時間と発症の時間関係からも食中毒が推測しやすくなります。

胃腸炎の治療

胃腸炎の治療でもっとも重要なことは「悪いものはさっさと体外に捨ててしまう」ことです。
下痢や嘔吐は人体の防御反応として生じている症状ですので、下痢止めや吐き気止めは使用しないで済むならその方が結果としては早く体調が回復することになります。
そして次に重要なことは「脱水症にならない」ことです。輸液という手段がなかった時代には感染性胃腸炎による脱水症で多くの人が命を落としました。現代では輸液という簡単な方法だけでノロウイルスやロタウイルスがそれほど脅威ではなくなっているのです。

胃腸で炎症が起きているときは、食欲もなくなるはずです。炎症が小康状態になるまでは無理に食事を摂る必要はありません。その代わり、最低限の糖分や塩分と、必要十分な水分を摂取しましょう。いわゆるスポーツドリンクや経口輸液製品が役に立ちます。

もしも重篤な胃腸炎によって全身状態が悪い場合には、そこそこ大きい病院での入院治療が必要になります。

胃腸炎患者さんのご家族や近しい人も注意が必要です。
患者さんが下痢や嘔吐のためトイレや洗面台を使用した場合には、その都度アルコールクロスなどで清拭し、感染のバトンレースを防ぐことが重要です。

ここまでは西洋医学の話でしたが、古来から人類を脅かす疾患と対峙してきた漢方には、胃腸炎の際に非常に有効な漢方薬がいくつかあります。

感染性胃腸炎でも活躍する漢方薬

「点滴」などという手段がなかった時代、感染性胃腸炎に対しても漢方薬が活用されてきました。一部の状況においては西洋医学的対応よりも漢方薬の方が有効です。

●みぞおちのむかつき、吐き気、下痢
 …半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)が有効と思われる症状です。半夏瀉心湯は胃腸炎治療の基本ともいえる漢方薬です。

●水を飲むとすぐに吐き戻してしまう
 …「水逆」と言われる症状で、五苓散(ごれいさん)という漢方薬が非常に有効です。エキス剤の五苓散を少量ずつ舐めることで摂取します。即効性があり、水分を経口摂取できるようになります。

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