大雨の梅雨だった7月から、8月になったとたんに真夏日となりました。
気候の急激な変化のせいか、頭痛を主訴に来院される方が増えて参りました。
あちこちの病院で検査・治療を受けてもいっこうに良くならないという方がたくさんいらっしゃいます。
「鎮痛剤をいくら飲んでも痛みが変わらない…」
これでは生活の質(QOL)が大きく損なわれてしまいます。
東洋医学では、西洋医学とは異なる考え方に基づいて体のシステム全体の連動を考えながら診断・治療をおこないます。
時にはそれが西洋医学しか知らない医師からも胡散臭いと思われてしまいます。
今回のお話もそんなケース。
漢方診療をされているお医者さんに
「片頭痛に対する代表的な漢方薬は?」
と尋ねれば、答えは十中八九
「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」ではないかと思います。
では、呉茱萸湯は片頭痛のための漢方薬なのでしょうか?
答えは「No」。
呉茱萸湯はどちらかと言えば「胃を温める薬」です。
実は、頭痛に対して鎮痛剤を内服ばかりしていると、漢方的には「内臓の冷え」を起こします。
「内臓が冷えて頭痛が生じる」漢方ではそのような病態を想定するのです。
したがって「内臓の冷えから生じる頭痛」に対しては「内臓を温める」という治療が正解となるのです。
西洋医学だけの診療では、この発想と治療をすることはできません。
実際の症例をご紹介します。
子育て世代の女性。以前からの「痛み止めを飲んでも効かない頭痛」を主訴に受診されました。
漢方医学的な問診、診察をいたしまして、「六君子湯(りっくんしとう)」を処方いたしました。
ふつうは「胃がもたれる」「食欲不振」などの症状に対して処方される漢方薬です。
こちらの方は「飲み始めて3日目から頭痛がなくなった。」とのことで奏功いたしまして、
その後も頭痛は生じていないとのことです。
「胃腸の不調 → 気や水の巡りの悪化 → 頭痛」という病態でした。
漢方診療をしていると、人体の深遠さに驚かされることばかりです。
頭痛でお悩みの方、ぜひ漢方もお試しください。
いつの日も こころ楽しく すこやかに