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春うつは紫蘇パワーでスッキリ

2022/4/24
春はあけぼの。

朝のまどろみが心地よい時期です。
許されることならいつまでもいつまでも眠っていたい…
そんな気持ちになる季節ですね。

でも油断してはいけません。
春の陽気に誘われてぐうたら寝ていると生活のリズムを乱してしまいます。
新生活早々に生活リズムが崩れてしまうと、そのままやる気もなくなってしまいがちです。

しかも、春は周期的に晴れ☀と雨☂の天気がやってきますので、自律神経が不安定になりやすい季節です。
出会いと別れ、新生活のストレス、ホームシック…
冬から春へと季節が変わり、緊張がゆるんできたところに意外とメンタルにもダメージがあるのが春の特徴です。
油断していると春なのにちょっとブルーになってしまいます。
春うつというやつですね。

天気は晴れだし気温も温かい、心地よい風が吹いてくるというのになぜか気持ちはスッキリしない…
学校も仕事もなんかやる気にならない…
なんかもういっそのこと休んでしまおうかな?

そんな春うつはハーブの力でスッキリさせましょう。
香蘇散(こうそさん)」という漢方薬があります。
紫蘇の葉が使用されている漢方薬です。紫蘇の葉は理気薬とされ、気の巡りを改善させます。

香蘇散は、一般的には風邪薬として説明されています。
しかし、漢方薬ですからただの風邪薬などではありません。

香蘇散は「気うつの風邪」に対する漢方薬です。
気うつ状態を簡単に言ってしまうと「なんかテンション低い」状態です。

なんかテンション低いので、なんとなくやる気が出ないし、うつうつとして食欲もわきません。
そんな状態に使用するのが香蘇散なのです。

香蘇散は理気薬の一つであり、気のめぐりが停滞しているところを開通させます。
気が順調に巡るようになると心身ともに順調に機能するようになります。
気分もスッキリするのです。
「カゼっぽいな~」と思っていたのもどこへやら、春の陽気につられて元気が出てきてウキウキするのです。

この香蘇散の効果を応用して、気鬱状態による気分の落ち込み、うつうつ感の治療に使用することがあります。
漢方薬はいくつかのメーカーが保険製剤を製造しているのですが、実はメーカーによって同じ漢方薬でも保険適応病名が異なる場合があるのです。

香蘇散の場合、某メーカーでは「神経衰弱」が保険適応病名になっています。
この適応病名をうまく利用して、抑うつ気分や適応障害などに処方するのです。

ただ、内因性のうつ病や双極性障害を香蘇散だけで治療するというのはちょっと無理があるようです。
抗うつ薬は増やしたくない…という場合などに併用してみてはいかがでしょうか?


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春は「肝」の季節

2022/4/5
漢方診療をしていると、異なる症状・病状でいらっしゃる患者さんたちに次から次へと同じ漢方薬を処方してしまうことがあります。

もしかしたら私の思考回路が固定されてしまっている状況なのかもしれませんが、実はそうでもないのです。

「春の色は青」というお話は以前に記事にしたように記憶していますが、「春は肝の季節」という表現も漢方にはあります。

陰陽五行説ではこの世界を5つに分類しており、人間の生体機能も5つに分けています。
肝・心・脾・肺・腎の5つです。そして季節も5つに分類するため、各季節1つ1つと5つの臓が対応しているのです。

そして春に対応する臓器は「肝」というわけです。
東洋医学における「肝」は医学的な意味での肝臓ということではなく、肝臓機能の一部と中枢神経機能、自律神経機能が包含されています。

春は「肝」に影響が大きい季節のため、もともと「肝」の不調があるかた、体調を崩しやすいかたは「肝」の症状が現れやすくなります。

今までよりも神経過敏でイライラしやすくなったり、めまいや耳鳴りが生じたり、女性であればPMSの症状が重くなったり、肩こりが悪化したり…などなど。

このような不調が現れたらもしかしたら肝の不調が原因かもしれないですね。

「肝」の治療に使用される漢方薬の代表は「抑肝散(よくかんさん)」です。
名前の通り「肝」のたかぶりを抑えるわけです。
ここでの肝とは肝臓の機能のことではなく自律神経(特に交感神経)であると考えています。

抑肝散はもともと子供の疳(かん)の虫の治療薬でした。癇癪持ちですね。
まだ自律神経が不安定な小さい子供は感情を十分に制御できなかったりするため怒り爆発しやすかったりするわけです。

「疳の虫」「癇癪」いずれも「肝」であり「かん」という呼び方であるのはなんとなく不思議であり面白いですね。

ちなみに現在の医学で使用されている「肝臓」「心臓」「腎臓」などの臓器名は、もともと東洋医学で使用されていた「肝」「心」「腎」という五臓の名称に対応している内臓であろうと考えられた解剖名でした。

どこまでも細かく細分化する西洋医学と陰陽五行説とではさすがに乖離が大きいように感じてしまいますね。


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