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眉毛が生えた!

2023/11/23
薄毛の悩みは男性も女性も同じ…
男性よりも女性の方が悩みは深刻かもしれませんね。

実は漢方薬は女性の薄毛治療に有効なものがいくつかあります。もちろんエキス剤では「確実に生えます」とは保証できないものの、時に目覚ましい効果を発揮することがあります。

今回は女性の患者様から、ある漢方薬を使用したところ「眉毛が生えた!」とのご報告をいただきました。
偶然にも患者様のご友人のかたも同じ漢方薬で眉毛が生えたんだそうです!

「眉毛が栄えた!」ではありません。「生えた」のです。実際に。

その漢方薬とは、当帰芍薬散という漢方薬。
女性の三大漢方薬の1つです。

血虚と水滞の体質のかたに向いている処方薬であり、冷え症でめまいや立ちくらみをしやすく、貧血気味で、生理痛や月経不順にお悩みであるような人に向いているとされます。流産体質の女性にも妊娠安胎薬として使用されます。

この当帰芍薬散で眉毛が生えたというのですから面白いものです。
この漢方薬に巷で話題の発毛成分が入っているなどではありません。
体質が改善されて、いろいろなバランスが整ったことで身体のほうが必要だと判断して眉毛を生やしたのでしょう。

当帰芍薬散は研究が進められている漢方薬の1つです。
近年では認知症の症状改善やコロナ後遺症対策としても応用されつつあります。

漢方薬は2000年ほど前から存在していますが、現代になって漢方薬がもつさまざまな潜在効果が1つずつ明らかになってきており、興味が尽きないですね。


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がん悪液質には六君子湯を!

2023/11/10
進行がんや再発がんが徐々に体中に広がっていくと、がん組織が正常な細胞を分解したり、栄養を奪い取ったりして、気が付かないうちに体重が減っていってしまったり、筋肉がみるみる痩せ細っていってしまったり、怠くて何もする気がなくなったりしてしまいます。

この状態を「悪液質(カヘキシー)」と言います。
悪液質(カヘキシー)という言葉はもっと古くからある言葉なのですが、最近ではもっぱらガンによる悪液質を意味しています。

がんによる悪液質は、がん組織によって人体が消化・吸収されているような状態であり、この状態が進んでいくとどんな治療をしてももはやガンを治すことができない事態に陥ってしまいます。

医学界ではこの悪液質をどう食い止めるかがホットな話題なのですが、そんな悪液質に対する世界で唯一の薬がエドルミズ錠(一般名:アナモレリン塩酸塩)です。

エドルミズ錠はグレリンというホルモンのような作用をする薬です。グレリンの受容体の活性化を介して成長ホルモンの分泌を促進することで食欲を高めます。成長ホルモンが分泌されると、筋タンパクの合成も促進されるため、体重・筋肉量の増加も期待できるのです。

気になる適応は現時点では非小細胞肺癌、胃癌、膵癌、大腸癌などの一部のがんによる悪液質に限定されていますが、今後適応は拡大していくことになるでしょう。

注意点はいろいろとあり、空腹時に内服しなければならないこと、併用禁忌の薬がいろいろあること、血糖値が上昇しやすいこと、肝機能が悪いと使用できないことなどなど使用に際しては注意が必要です。

1錠246円強なのですが、1日1錠の内服ですので、抗癌剤などと比べれば圧倒的に安価な薬と言えます。

エドルミズ錠はガンを治す薬ではありません。
しかし、悪液質の状態を改善したり進行速度を遅らせることでQOLの改善や生存期間の延長が期待されます。根治的治療ではなくともできれば使用したいものですね。

最初に書いたように、エドルミズ錠は世界で初めての悪液質治療薬なのですが…
エドルミズ(アナモレリン)と同じく、グレリンの分泌を促進して食欲を高めるという漢方薬がすでにはるか昔から存在しています。

それが「六君子湯(りっくんしとう)」という漢方薬です。

六君子湯は機能性ディスペプシアや慢性胃炎などの胃の不調による諸症状によく効くので広く使用されている漢方薬です。胃の不調があったら、とりあえず処方されることの多い漢方薬なのですが、六君子湯は以前からよく研究されており、グレリンの分泌促進、成長ホルモンの分泌促進作用があることが以前から知られていました。

つまり、六君子湯はがん悪液質の治療薬としてはるか昔の賢人たちによって意図せず開発されていた漢方薬なのです。
漢方薬なので、エキス剤の場合には1日に複数回内服しなければなりませんし、煎じ薬を作るのはとてもめんどくさいかもしれません。
しかしエドルミズ錠のように併用禁忌の薬があるわけでもなく、副作用も少なく、しかも特定のがんによる悪液質にしか使えないという制限もありません。

六君子湯は胃の動きを改善し、吐き気や胃の膨満感を解消し、食欲を高めるばかりでなく、元気を湧き起こす「補気剤」です。
漢方専門医として手前味噌なことを言ってしまうかもしれませんが、なぜ日本でがん悪液質の食欲不振に対してエドルミズ錠よりも前に六君子湯が広く活用されていなかったのか、不思議でなりません。

体力の消耗やエネルギーの枯渇を補う薬(補剤)は漢方にしかない、漢方の得意分野です。
がん治療にはもっと漢方薬が活用されてもよいのではないかと思う今日この頃です。


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