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寒くなってくると出番が増える漢方薬たち

2023/10/31
漢方医学には「陰陽」という概念が存在します。
この世界のすべてを陰と陽の2つのグループに分けて考えるわけです。

「陰」のグループに分類されるものは冷たい、暗い、小さくなる、潤い、静か、柔らかい、月、女性などなどの性質です。
「陽」のグループに分類されるものは温かい、明るい、大きくなる、乾いている、動的、硬い、太陽、男性などなどの性質です。

こうして世界を二元性で解釈することで疾病や健康を理解・解決していたわけです。
そして、季節も陰陽で考えるわけです。日本には四季があるわけですけれども、なんとなくお分かりになるかもしれませんが「陽」の季節は夏です。そして「陰」の季節は冬です。では「春と秋は?」となるわけですが春秋は移行期間ということです。

秋は、夏から冬へと、暑い季節から寒い季節へと切り替わるわけで、陰気が強まり、陽気が衰える季節と考えます。これを踏まえた過ごし方をしないと秋冬に体調を崩しやすくなってしまいます。対策としてはわかりやすく、冷えないようにすればいいのです。

漢方で考えますと、体を温める漢方薬を使用していくことになります。
身体を温める薬は西洋薬には存在しない(と思われます)ので、こういうところが漢方薬が西洋医学よりも優れている点です。

身体を温める漢方薬は無数にあるわけですが、代表的なものをいくつかご紹介しますと

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
…しもやけの薬として有名です。動脈の血行を良くすることで、冷えによる腹痛や頭痛を改善します。

麻黄湯(まおうとう)
…コロナやインフルエンザなどの感染症の初期に悪寒、戦慄、関節痛などの症状が強い場合に使用されます。実際に臨床では使用する出番があまりないんです。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
…麻黄湯よりも使用する機会が多いように思います。もともと虚弱で冷え症な人が風邪をひいたりインフルエンザになった際に、たいして熱も出ず、なんとなく怠くて動く気にならない、そんなときに使用します。ご高齢者に使用することが多いです。のどがチクチク痛い風邪にも良く効くので、虚弱とか高齢者とか関係なく使用される場合もあります。

真武湯(しんぶとう)
…当ブログでもたびたび登場する真武湯。漢方的には腎が衰えて新陳代謝が低下している人のさまざまな症状に有効です。真武湯をうまく使えるようになると脱漢方初心者という印象です。

また、旬の食材を食べることで体調を季節に合わせて調整しやすくなります。秋に旬の食材と言えば、イモ・栗・かぼちゃでしょう。これらの食材には、体を温める作用があります。もちろん温かい料理として摂取したいものです。行楽地ではソフトクリームやパフェなどの冷たいスイーツが盛んに売られているのですが…漢方医としてはちょっと心配なのです。

自然に逆らわず、自然の恵みを享受しながら生活すれば、おのずと季節に適応した体作りができるというものです。

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大が小を兼ね…ない

2023/10/6
漢方薬の名前はとてもユニークです。
使用している生薬の頭文字を並べたものもあれば、竜や虎などの文字を使用したもの、効能や効果を意味するものなど、多種多様です。それも漢方薬の魅力かもしれませんね。

同じような効能の漢方薬は、共通する名前を持っています。家族の苗字が同じであるのと似ています(もうじきそんな時代ではなくなるのかもしれませんが)。

そんな漢方家族の中で、腹痛を改善する目的の漢方薬に「建中湯」の名前がつく漢方薬があります。
そんな建中湯ファミリーの中で、大活躍している漢方薬が「小建中湯」と「大建中湯」です。

名前だけ見ていると
小建中湯=弱い(マイルド)、大建中湯=強い(ストロング)かのような印象を持ってしまうかもしれませんが…
この2つの漢方薬はまったく別物です。

小建中湯は桂枝湯という、インフルエンザや風邪の薬として有名な漢方薬がベースになっています。芍薬という生薬を増量することで筋肉の異常な緊張を緩め、腸管の異常な動きを緩和して痛みをとります。さらに膠飴という米から作った飴が入っているのですが、これが栄養補給と精神安定を兼ねています。

小建中湯は、もともとお腹が弱くて腹痛・下痢になりやすい人に向いている漢方薬です。不思議なもので、お腹が弱くて栄養不足気味だと人間というものは神経過敏になりストレスに弱くなってしまいます。こういうところに膠飴が効いてきてストレス緩和効果を発揮するので、小建中湯はお腹の弱いお子さんの不登校に頻用されています。本当に不思議なのですが、学校に行けるようになるんです。

一方、大建中湯は人参湯という朝鮮人参を軸として胃の冷えによる症状を改善する漢方薬から派生したような漢方薬です。大建中湯には蜀椒という山椒の一種が含まれているのですが、ピリッと辛い山椒のように末梢神経を痺れさせるような作用があります。蜀椒を摂取すると、大腸の神経がしびれて腸が一瞬麻痺したようになります。「そんなもの飲んで大丈夫なのか?」と思うかもしれませんが、大建中湯はお腹が冷えてしまって腸管が痙攣するような動きになってしまい、お腹が張って痛みがある人に使う漢方薬です。蜀椒で腸管の痙攣を止めて、張りや痛みを取るというわけです。

大建中湯には乾燥させて効力を高めた「乾姜」という強力な生姜が含まれています。乾姜はお腹を強力に温めると同時に血行を改善します。冷えて痙攣した腸管の動きを蜀椒で止めて、乾姜で温めて血行を改善すると、腸管が正常な動きを取り戻します。

こうして大建中湯は冷え切って張り、腹痛、下痢・便秘などの症状に対してとても良く効くのですが、この効能を応用してお腹の手術後の腸閉塞の症状緩和に対して標準的な治療として使われています。

と、いうわけで小建中湯と大建中湯は似て非なる漢方薬なのです。
大が小を兼ねないんですね。


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