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頭痛に胃薬を②

2020/9/23
こんにちは! 
8月も末となり、朝晩に吹く風はだいぶ秋めいてきましたね。
何よりも日の出が遅く、日の入りが早くなりました。
昼間はアブラゼミの合唱が聴こえますが、日が傾き始めるとヒグラシの寂しげなメロディが響き渡ります。 
1日毎に秋の訪れを楽しむことができる今日この頃です。
 

今回は「頭痛には胃薬を」第2弾です。 
西洋医学的な診療でも漢方的な診療でも
とりあえずこの対応をしておけば無難
というものがあります。
 
前回の話で言えば、頭痛を主訴にいらっしゃった患者さんに対して「呉茱萸湯+五苓散」を処方すればたいていの患者さんの症状緩和をすることができます。(病名処方と怒られてしまいそうですが) 
今回登場した五苓散は体内で余っている余計な水を動かす漢方薬です。わかりやすく言えば浮腫みの薬です。
でもそれだけではありません。胃腸炎にも使うし熱中症にも使うし、そして天候に影響されるような頭痛にも処方します。 
漢方の聖典『傷寒論』には五苓散について「霍乱、頭痛、発熱、身疼痛、熱多く水を飲まんと欲す者は五苓散」と記されており、水を動かすことが頭痛の治療に重要であることがわかりますね。
 

実は「頭痛には胃薬を」第一弾でご紹介した六君子湯も、胃に溜まった水を動かす作用がありました。 
逆に言うと、「水を動かす作用をもった胃薬」は頭痛の治療に応用が利きます。
そしてこのような薬は往々にして「めまい」に処方されることの多い薬でもあります。 
例えば、めまいに対する漢方薬の中で“効かない”として悪名高いのが「半夏白朮天麻湯」です。
漢方マニュアル本には「めまい」の項目で必ず登場するこの漢方薬ですが、実際にめまいの患者さんに処方しても効果を出せないことがしばしば…
その理由は半夏白朮天麻湯が「胃薬である」からです。というか、半夏白朮天麻湯で治せる「めまい」というのは「もともと胃腸が弱くて消化器に水が溜まっている人に生じるめまい」だからなのです。 

漢方薬の使用に際して、このような「もともと〇〇な人」という部分が実はとても重要なのですが、病名漢方やマニュアル漢方ではこの部分が欠落してしまっています。
そのため「漢方は効きが悪い」とか「効く人と効かない人がいる」という誤解を生じてしまっているのです。 
半夏白朮天麻湯もそのような不遇な漢方薬の一つです。
上述したように、半夏白朮天麻湯はもともと胃腸が弱くて水が溜まっているような人に生じためまいや頭痛に対して処方する薬です。
この前提条件を理解していれば応用範囲は広く、高血圧症動脈硬化メニエール病などにも応用されます。 

漢方薬が人体のバランス全体を調整していくことで治療効果を発揮するよう設計された高度な治療薬であることがよくわかりますね。 

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夏の胃腸疲れにご注意を

2020/8/18
まだまだ猛暑日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか?
お盆も過ぎると日の出は遅く、日の入りは早くなってきたことを実感しますね。
特に朝晩の風はヒヤッと感じることもあり、着実に秋が近づいていることがわかります。
旧暦では処暑といって、夏の暑さもピークを超えて過ごしやすくなってくる時期です。
海ではクラゲが発生するようになり、海遊びにも注意が必要です。

猛暑日だからといって冷たいものばかりを飲食していませんか?
冷たいものばかりを摂取していると、胃腸のはたらきが低下して夏バテの原因となります。
胃腸の冷え → 蠕動不良 → 消化不良 → 下痢 → 栄養吸収不良 → 体力低下、易疲労 → 食欲不振
という悪循環にはまってしまうと、秋から冬にかけて体調を崩しやすくなってしまいます。
実は、夏の終わりから秋口にかけて患う風邪のことを夏風邪と本来は言います。
夏の暑い日でも温かいものを食べて胃腸の機能をしっかり保つことが健康の秘訣です♪

冷たい食事であっても、食材を工夫することで体の機能を高めることもできます。
例えばとろろ芋。そばにかけたり、ご飯にかけたり…
つるっとした食感なので少し食欲が落ちたときにも食べやすいですね。
山芋や自然薯などは消化器の機能を高める効果もあるとされます。
昔ながらの生活の知恵を活用して猛暑を乗り切りましょう!

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頭痛に胃薬を

2020/9/23
大雨の梅雨だった7月から、8月になったとたんに真夏日となりました。
気候の急激な変化のせいか、頭痛を主訴に来院される方が増えて参りました。

あちこちの病院で検査・治療を受けてもいっこうに良くならないという方がたくさんいらっしゃいます。
「鎮痛剤をいくら飲んでも痛みが変わらない…」
これでは生活の質(QOL)が大きく損なわれてしまいます。

東洋医学では、西洋医学とは異なる考え方に基づいて体のシステム全体の連動を考えながら診断・治療をおこないます。
時にはそれが西洋医学しか知らない医師からも胡散臭いと思われてしまいます。
今回のお話もそんなケース。

漢方診療をされているお医者さんに
「片頭痛に対する代表的な漢方薬は?」
と尋ねれば、答えは十中八九
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」ではないかと思います。
では、呉茱萸湯は片頭痛のための漢方薬なのでしょうか?

答えは「No」。
呉茱萸湯はどちらかと言えば「胃を温める薬」です。
実は、頭痛に対して鎮痛剤を内服ばかりしていると、漢方的には「内臓の冷え」を起こします。
内臓が冷えて頭痛が生じる」漢方ではそのような病態を想定するのです。
したがって「内臓の冷えから生じる頭痛」に対しては「内臓を温める」という治療が正解となるのです。
西洋医学だけの診療では、この発想と治療をすることはできません。

実際の症例をご紹介します。
子育て世代の女性。以前からの「痛み止めを飲んでも効かない頭痛」を主訴に受診されました。
漢方医学的な問診、診察をいたしまして、「六君子湯(りっくんしとう)」を処方いたしました。
ふつうは「胃がもたれる」「食欲不振」などの症状に対して処方される漢方薬です。
こちらの方は「飲み始めて3日目から頭痛がなくなった。」とのことで奏功いたしまして、
その後も頭痛は生じていないとのことです。
「胃腸の不調 → 気や水の巡りの悪化 → 頭痛」という病態でした。

漢方診療をしていると、人体の深遠さに驚かされることばかりです。
頭痛でお悩みの方、ぜひ漢方もお試しください。

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