寝ていて夜中に脚が攣るのは…
2024/8/28ツムラの68番!
と言えば、漢方薬の名前は覚えていない人でも知っている“こむら返り”の薬ですね。
ツムラの68番は芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)という漢方薬です。
芍薬と甘草という2種類の生薬で作られています。非常に即効性のある漢方薬なので、こむら返りが起きたらすぐに内服するとたちどころに症状が治まります。
芍薬甘草湯はこむら返りに限定された薬ではなく、横紋筋であれ平滑筋であれ、筋肉の異常な収縮を鎮める漢方薬です。
例えば胃痙攣にも使用しますし、しゃっくりに効く場合もあります。使い方を理解すればとても有能な漢方薬です。
そのため、漢方専門医でなくとも臨床的にはとてもよく使用されています。
さて、芍薬甘草湯は確かにこむら返りに効くのですが、発作が起きた時に使用する薬ですので、そもそもこむら返りが起こらないようにする予防的な効果は持っていません。毎日毎晩のようにこむら返りを起こしては芍薬甘草湯を内服する…という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方は是非とも「なぜ夜中に脚が攣ってしまうのか?」という問いに向き合っていただきたいと思います。
実は、常習的なこむら返りに対する根治的治療として、駆瘀血剤に分類される漢方薬が使用されます。桂枝茯苓丸とか通導散とか。
つまり、こむら返りの多くに瘀血という末梢血流障害という病態が関与していることが推察されます。
瘀血に対処するだけでこむら返りを抑制できる場合もありますが、個人的な経験ではさらにもう一工夫することが多いです。
特殊なことをするわけではなく、体を温める作用がある漢方薬を使用するのです。
夜中のこむら返りは、1日負荷がかかった腓腹筋の血流とリンパ流が停滞し、さらに気温の低下(あるいは冷房による冷え)によって末梢循環障害に拍車がかかることで筋肉が凝りやすくなってしまっているのではないかと感じています。
漢方薬としては当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)という漢方薬を個人的には多用しています。
この漢方薬は”しもやけ”や冷えによる頭痛、腰痛、腹痛などの疼痛に対して使用する漢方薬ですが、要するに身体を温めつつ末梢血液循環を改善してくれる漢方薬です。漢方の作用を理解すれば応用の幅も広がるというわけです。
また、最近では夜に装着するストッキングも市販されているようなのでそういったものを使用するのも良いかもしれません。
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