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冬の寒さのお悩みには

2024/11/27
今年は気温が高くなったり下がったりと不安定な日々が続いていますが…
11月も末となりますと冷えに関するさまざまな症状に悩まされる方も多いのではないでしょうか?

本来は患者様お一人お一人に合う適した漢方薬を使用すべきではあるのですが、これからご紹介する症状はたった1つの漢方薬で解決してしまう可能性があります。いずれも冷えに関連して出現する症状としてご理解ください。

まずはこむら返り。
寝ているあいだに脚が冷えてしまって夜明けごろに強烈な痛みとともに目が覚める…なんて経験はありませんか?
こむら返りというと何はともあれ「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」が使用されるのですが、芍薬甘草湯は筋肉の痙攣を一時的に止めるだけの薬なので、常習的なこむら返りには適していません。

しもやけ・レイノー病は冷えによって手足先端の微小な血液循環が悪化することで生じます。
手先や足先が真っ白になるパターンの人と、赤黒くなったり紫になったりする人では使用すべき漢方薬が異なります。今回は真っ白になる人に向いている漢方薬の話です。毎年しもやけになる場合には、シーズンインする頃から内服をはじめます。

頭痛や腰痛も冷えによって誘発される場合があります。
冷えによって生じたり悪化する頭痛や腰痛に対して、ロキソニンやカロナールなどの消炎鎮痛剤を使用してしまうと体温が下がってしまい余計に症状を悪化または長引かせてしまうことになります。そんな痛みには漢方薬がオススメです。

いろいろと症状をご紹介しましたが、これらの症状に対して有効な漢方薬が「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」です。名前が長いので一般の方は絶対に名前を憶えていただけませんが、長ーい名前を分析してみると「当帰四逆湯に呉茱萸と生姜を追加しました」というネーミングになっています。

四逆という言葉が名前に入っている漢方薬はいくつかありますが、これは左右の手足、合計4か所が冷えていることを意味します。
当帰は血行を良くする生薬ですので、当帰四逆湯は血行が悪くて手足が冷える人に適した漢方薬なんだなと、漢方を一定程度勉強した人間にはわかります。そして呉茱萸は「呉茱萸湯」という片頭痛の特効薬がある通り、頭痛に効くような薬だとわかります。生姜は身体を温める生薬だなとすぐにわかります。

したがって、当帰四逆加呉茱萸生姜湯は血行が悪くて手足が冷えて頭痛などを生じる人に向いている薬なんだとわかります。漢方的にはしもやけの特効薬であると説明されることが多く、実際に薬理的にも四肢末梢の微小循環における動脈の血行を改善させることが知られています。

血行を良くする、身体を温める、痛みをとるという効能を持った生薬で組み立てられていますのでこれからの季節にはピッタリの漢方薬です。

そして当帰四逆加呉茱萸生姜湯の構成について上記とは別の見方をすると「桂枝湯」という風邪の漢方薬を基本骨格とした作りが浮かび上がってきます。つまりこれからの季節の風邪予防にもオススメというわけです。

最初に書いた通り、漢方薬は一人一人の体質にもっとも適したものを使うべきではありますが、当帰四逆加呉茱萸生姜湯が合う人はけっこう多いのではないかなと思います。

最後に、当帰四逆加呉茱萸生姜湯はすごーく苦い漢方薬であることをお伝えしておきたいと思います。


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女性のこんな不調をみかけたら

2024/11/7
何か月も不調が続いて…
夜な夜な寝汗をかいて…
体重が徐々に減っていって…
日に日に疲れがたまっていって…
ドキドキして夜、眠れなくなって…

さて、これは自律神経失調症でしょうか?それとも悪性腫瘍?
色々と心配になってしまう状況かもしれませんが…

これらの症状は、頻度が高いのに案外見落とされがちな疾患の症状です。

その疾患は…「バセドウ病(甲状腺機能亢進症)」です

甲状腺は新陳代謝をつかさどるホルモンを分泌している器官です。のどぼとけのすぐ下にあります。

一般論としては、甲状腺機能が低下してくると(甲状腺ホルモンが低下しすぎると)、新陳代謝が低下して冷え・浮腫み・低体温・易疲労感・抑うつなどの症状が生じるようになります。
逆に甲状腺機能が亢進すると(甲状腺ホルモンが増加しすぎると)、新陳代謝が過剰となり高体温・過活動・体重減少・動悸・不眠などの症状を生じるようになります。甲状腺機能亢進症は「元気になりすぎる」疾患なので教科書には「疲れを感じにくくなる」と書いてあったりするのですが、実は代謝が亢進しすぎた結果、後になってから疲れやすくなってしまうことがあります。

甲状腺疾患を有する人は特徴的な顔立ちになるのですが、女性の場合にはやせ型で目が大きく見える(実際には眼球が突出する)ので、いわゆる美人顔に近いものとなります。
喉元が腫れていると甲状腺疾患だと気が付きやすいものの、甲状腺疾患の患者さんの中には、ぱっと見では甲状腺が腫れていない人がけっこういるものです。

甲状腺疾患は若い女性にはけっこう多い疾患です。
血液検査でホルモン値を測定すれば容易に診断を付けることができます(厳密には色々と注意が必要なのですが)。
甲状腺エコーで腫れ具合を確認したり、甲状腺内に腫瘍性病変がないか確認することも重要です。

不定愁訴であるとか、心の病であるとか、自律神経失調症などと決めつけてしまう前に、ぜひ血液検査で確認してみてください。


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