猛暑でパニック
2023/9/13パニック発作とは、動悸、息苦しさ、手足のふるえなどの症状とともに「死んでしまうかもしれない」と思うほどの極めて強い不安・恐怖が突然現れて短時間で治まる発作のことです。
パニック発作そのものは短時間で自然に治まるものの、繰り返し発作が生じることで、将来の発作に対して過度の不安を覚えるようになったり、発作を引き起こす可能性のある状況を回避するため日常生活や社会生活が障害されてしまう場合があります。
パニック発作と似た症状を生じる疾患に「広場恐怖症」というものがあります。
広場恐怖症という名の通り、広い公園やオープンスペース、野外コンサートなどの巨大な空間が怖くて仕方がない…というわけではなく、広場恐怖症の本質は「逃げられないと思い込んだ特定の場所や状況を恐れることに特徴付けられる不安障害」です。
広場恐怖症が初めて発症した時にはパニック発作との区別が難しいかもしれません。
そんなときには精神科に相談していただくとよいと思います。
さて、今回はこの8月に当院を受診された患者様の事例をご紹介してみたいと思います。
最初の方は、車の運転中にパニック発作と思われる症状が初めて出現しました。車の運転が苦手…というわけではなく、運転していて日差しが強くて暑くてだんだん苦しくなって…という発症の仕方でした。
車の中、車を運転中というのは「すぐには逃げられない閉じ込められた状況」です。そういう意味ではこちらの患者様は広場恐怖症を発症されたのかもしれません。しかし、電車やバスでは症状がなく、込み合ったショッピングセンターなどでも特に問題がない…
果たして広場恐怖症なのでしょうか?パニック発作なのでしょうか?
次の方も、車の運転中に暑くて不快に感じているうちにパニック発作のような症状が出現しました。もともと車の運転は「緊張してしまい苦手」であり、パニック発作出現後は車の運転ができなくなってしまいました。
しばらく車の運転を控えた後、リハビリ的に車の運転を再開しました。家の近くでは大丈夫なのですが、少し離れた場所まで行くと不安と息苦しさが生じてしまい、コンビニの駐車場などで休憩を取らざるを得ない状態となってしまいました。
こちらの方は自宅から離れたことで症状が再燃しているので、自宅という安全な場所から離れてすぐに逃げられない状況になると症状が生じるようです。広場恐怖症のような印象です。
正確な診断については精神科の先生に確認していただきたいと思いますが、今回ご紹介したお二人の方は「車の中で暑くて」というのが発症のトリガーでした。
今まで何の問題もなく生活できていたのに、強烈な猛暑によってこんな形で心身の不調がもたらされてしまったのです。
猛暑おそるべしですね。
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