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「飲み込むことがコワい」

2024/6/26
食べ物や飲み物を飲み込む「嚥下」は、半分は意識的に、半分は無意識的に制御されている筋肉運動です。

みなさんも一度はうっかり喉に何かを詰まらせた経験があるかもしれませんが、食べ物が気道に入ってしまうと窒息してしまい命の危機です。
(食べ物が通る食道と、空気が通る気道の入り口は喉のあたりですぐ隣り合っています)

「飲み込む」という行為は意識的、無意識的に限らず1日の中で何度も何度もおこなわれている行為であるため、一度窒息という経験をしてしまうとトラウマになってしまいがちです。

飲み込むことがトラウマになってしまうと、飲み物を飲んだり、食事をすることに強い恐怖心が生まれてしまいます。そうなると毎日生きるために食事をしなければならないことに対して恐怖や葛藤が生まれてしまいます。

というわけでそのような「飲み込むことへの恐怖心」をご相談いただくことがあります。

一般的には精神療法を行ったりするのかもしれませんが、独りで悩みと苦痛を抱えながらなんとか毎日生きているという人もけっこういらっしゃるようです。

トラウマやPTSDには「神田橋処方」と言われる漢方薬の処方パターンが有名なのですが、飲み込みに対する恐怖の場合には半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)という漢方薬をまず最初に使用しています。

半夏厚朴湯は、不安による嚥下困難、のどにいつも何か詰まっているような感覚(ヒステリー球)に対する処方として有名です。つまり半夏厚朴湯は精神的緊張によるのど周囲の筋肉のこわばりを緩めてくれるように作用するのです。

飲み込みに対する恐怖に対して半夏厚朴湯を使用すると、抗不安作用による精神的緊張の緩和と、嚥下に関する筋肉の余計な緊張を緩めてくれるので徐々に飲み込みがスムーズになっていきます。

そうすると飲み込むことに対して徐々に慣れと安心感が生じてきます。なんとか元の生活に戻れるようになっていきます。

もちろん半夏厚朴湯が効かない場合もありますし、半夏厚朴湯だけでは完全には症状が改善しない場合もあります。

その場合には「理気作用」を持つほかの漢方薬と半夏厚朴湯を併用することでなんとか精神的・肉体的緊張を軽減できるようあの手この手を尽くしていくことになります。


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