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なにをやっても治らなかった湿疹

2024/7/18
漢方薬は時として予期しない効果を発揮することがあります。

東洋医学では体の組織すべてが連動していると考えていますし、肉体と精神も別々のものではなく一体のものであると考えています。
そのため、心身のある問題を解決することで想定外の部分までも治ってしまうことがあるのです。

更年期障害によるホットフラッシュやイライラをご相談いただいたある女性の方がいらっしゃいました。漢方医学的には瘀血という血の巡りが悪い状態(微小血液循環不良)であり、足の冷えや顔の火照り、のぼせなどの症状を認めました。

イライラしやすい状態は交感神経が興奮している状態であり、自律神経失調状態の一種ですが、東洋医学的には肝気鬱結と考えることが多い状況です。

こういった更年期の典型的な症状に対して、加味逍遙散(かみしょうようさん)という漢方薬が頻用されます。加味逍遙散は、ストレス緩和の柴胡や、血流を改善する当帰、牡丹皮などの生薬に加えて、抗炎症あるいは熱を冷ます作用のある山梔子という生薬を含んでいます。

今回ご相談いただいた患者さんも、加味逍遙散を内服してホットフラッシュ症状がだいぶ治まりましたが、ホットフラッシュが改善したことよりも頭皮の湿疹が治ったことに感謝されました。

診察のときには伺っていなかったのですが、もう何年間も頭皮にできた湿疹でお悩みだったそうです。あちこちの皮膚科に通院してあれこれ治療しても治らずに諦めていたのだとか…。そんな湿疹が、漢方薬を内服してひと月ほどですっかり治ってしまったので、驚きとともに感謝してくださいました。

今回の頭部の慢性湿疹ですが、瘀血という病態のため下半身は冷えて上半身には熱がこもることで生じていたと考えられます。

加味逍遙散に含まれる当帰や牡丹皮によって微小血液循環が改善したことで身体全体としての血液循環の改善とともに熱の循環も改善しました。そして山梔子には抗炎症作用がありますので、こちらも湿疹に効いたというわけです。

東洋医学では、皮疹はなんらかの毒素や有害物質を皮膚を通して体外に排出するための反応であると考えます。

今回の患者さんの場合には、頭部に溜まっていた熱と血液中の有害物質を加味逍遙散で頭部以外の場所(おそらく便)から排出できるようになったため湿疹が軽快したと考えられます。

漢方医学を学んでいると、常にマクロな視点を持ち続けることの重要性を痛感します。


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開院4周年の御礼

2024/7/3
おかげさまをもちまして、本日2024年7月3日にて当院は開院4周年を迎えました。
これもひとえに当院をご贔屓いただいている近隣の皆様、遠方からわざわざお越しくださる皆様のおかげでございます。
毎度毎度同じようなことを書いているかもしれませんが、私の力不足故にご迷惑やご不便をおかけすることも多々あるかと思いますが何卒ご容赦頂ければ幸いでございます。特に駐車場不足については私共も開院以来ずーーーーっと頭を悩ませているものの、決定的な解決策がない状況でございます。
あれもやらなければ、これもやらなければ、と思いつつ日々の診療に追われてしまい手を付けるべきところに手が回っていない毎日を過ごしております。今後、日本は人口がどんどん減ってゆきますし、医療や福祉介護の制度もどんどん変わっていくことになると思われます。
漢方医学はさまざまな国や地域の時代の荒波を潜り抜け、有名無名を問わず多くの漢方医の知恵と創意工夫と熱意が受け継がれてきた人類の宝です。「元気になりたい」「長生きしたい」という患者様の切実な思いと、「元気にしたい」「一人でも多く救いたい」という漢方医のドラマが「傷寒論」や「金匱要略」といった古典の凝縮されています。日本漢方にも負けず劣らずの古典や名著がたくさんあります。
漢方を学び、漢方を用いることは、アジアの広い地域における数えきれないほど多くの人々の喜怒哀楽や幸不幸から恩恵を受け取っていることであり、ご先祖様やご先祖ではない方々のおかげ様の医療であるとしみじみ感じます。そして当院を訪れてくださった皆様の診療ひとつひとつが、私たちの子孫や遠い未来の人類にとっての福音となるよう、明日からの診療も心を込めて大切におこなっていきたいと改めて認識した4周年となりました。
今後ともご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

新前橋すこやか内科・漢方内科クリニック 院長 本城裕章
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