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夏バテはもう始まっています

2026/6/30
~本格的な暑さに負けない体づくりを漢方の視点から~

梅雨が明けると、いよいよ本格的な夏が始まります。

「まだ夏バテには早い」と思われるかもしれませんが、実は7月は、体力を大きく消耗し始める時期です。

近年は気温35℃を超える猛暑日も珍しくなく、室内外の温度差や冷房の影響などにより、自律神経は想像以上に酷使されています。

その結果、

「朝から体が重い」
「食欲が落ちてきた」
「夜ぐっすり眠れない」
「めまいや立ちくらみがある」
「胃腸の調子がすぐれない」

といった症状が現れることがあります。
こうした不調は、単なる疲れではなく、「夏を乗り切る準備が十分にできていない」という体からのサインかもしれません。

☀️現代医学から見た夏バテ

夏は大量の汗をかくことで、水分や電解質が失われます。また、暑さに対応するため心臓や血管、自律神経は休みなく働き続けます。
さらに、冷房による冷え、冷たい飲食の摂りすぎ、睡眠不足、紫外線による疲労などが重なることで、全身の回復力が低下してしまいます。
熱中症になるほどではなくても、「何となく調子が悪い」という状態が続く方は少なくありません。

🌿漢方では「暑邪」と「気虚」に注目します

漢方医学では、夏の暑さは「暑邪(しょじゃ)」という季節特有の外邪と考えます。
暑邪は汗を多くかかせるため、体の水分だけでなく、「気(生命エネルギー)」も消耗させるとされています。

そのため夏には、

「疲れやすい」
「息切れする」
「食欲がない」
「集中力が続かない」

といった「気虚(ききょ)」の症状が現れやすくなります。

また、冷たい飲食が増えることで胃腸の働きが弱くなり、余分な水分が体内に停滞して、むくみや頭重感、下痢などを引き起こすこともあります。

💊夏によく用いられる漢方薬

症状や体質によって処方は異なりますが、夏場には次のような漢方薬が用いられることがあります。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
…疲れやすい、食欲がない、夏になると体力が落ちる方に。微熱や寝汗が処方のポイントです。

清暑益気湯(せいしょえっきとう)
…暑さによる疲労や発汗後の倦怠感、食欲低下に用いられる代表的な処方です。脱水気味になっている点、朝に下痢を生じやすい点がポイントです。

五苓散(ごれいさん)
…水分代謝の乱れによる頭痛、めまい、むくみ、気象病などに。暑気あたりや熱中症による脱水対策としても薬に立ちます。

六君子湯(りっくんしとう)
…胃腸が弱く、夏になると食欲が低下する方に用いられます。食事をし始めるとすぐにお腹いっぱいになってしまう、胃もたれ、消化不良などの症状がポイントです。

漢方薬は「夏だからこの薬」というものではなく、その方の体質や症状に合わせて選択することが大切です。

🍉今日からできる夏の養生

夏を元気に過ごすためには、日々の生活も大切です。

✅のどが渇く前にこまめに水分を補給する
✅冷たい飲み物の飲み過ぎに注意する
✅良質なたんぱく質を毎食摂る
✅朝食を抜かない
✅軽い運動で汗をかく習慣をつくる
✅夜更かしを避け、睡眠時間を確保する

暑い季節だからこそ、「胃腸をいたわること」が体力維持の第一歩になります。

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梅雨入りの準備はお済ですか?

2026/6/5
~だるさ・頭痛・むくみは「湿気」が原因かもしれません~

6月が近づくと、雨の日が増え、湿度の高い季節がやってきます。

この時期になると、

朝から体が重い
頭がすっきりしない
むくみやすい
めまいがする
胃腸の調子が悪い
やる気が出ない

といった不調を訴える方が増えてきます。

病院で検査をしても異常が見つからないことも多く、「年齢のせいでしょう」「疲れでしょう」と言われてしまうこともあります。しかし漢方医学では、このような梅雨時期の不調には明確な理由があると考えています。

梅雨は「湿邪(しつじゃ)」の季節

漢方医学では、梅雨のように湿度が高い環境は「湿邪(しつじゃ)」という外邪を生み出すと考えます。

湿邪の特徴は、「重い」「停滞する」「下にたまる」「巡りを悪くする」ことです。

たとえば雨の日に洗濯物が乾きにくいように、体の中でも余分な水分が滞りやすくなります。
その結果、頭重感、むくみ、胃もたれ、下痢、関節痛、強い倦怠感などが現れるのです。
漢方ではこれを「水滞(すいたい)」や「水毒(すいどく)」と呼びます。

梅雨の不調は単なる疲れではなく、水分代謝の乱れが関係していることがあります。
特に次のような方は注意が必要です。

✓ 雨の日に頭痛が起きる

✓ 天気が悪いと体調が悪化する

✓ 足や顔がむくみやすい

✓ めまいやふらつきがある

✓ 胃腸が弱い

✓ 水分をよく飲むのに尿量が少ない

✓ 舌に歯型がつきやすい

このような方は、漢方的には「水」の処理能力が低下している可能性があります。

梅雨によく用いられる漢方薬
🌿五苓散(ごれいさん)

梅雨の代表的な漢方薬です。体内の余分な水分の偏りを調整し、頭痛、めまい、むくみ、二日酔い、気象病などに用いられます。

「水を抜く」のではなく、「水の流れを整える」というのが特徴です。

🌿苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

五苓散とよく似た生薬構成の漢方薬です。気の巡りを整えつつ水の巡りを調整するため、立ちくらみ、めまい、動悸、ふわふわする感じがある方によく用いられます。雨の日になると調子が悪いという方に適することがあります。

🌿半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

胃腸虚弱の方の水滞症状に使用される漢方薬です。めまい、頭重感、耳鳴り、慢性的な疲労感を伴うタイプに用いられます。高齢者の梅雨時の不調にもよくみられるパターンです。

🌿補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

梅雨時になると極端に疲れやすい方には、「気虚(エネルギー不足)」が背景にあることがあります。そのような場合には補中益気湯が役立つことがあります。


梅雨を元気に過ごすための養生法

漢方では薬だけでなく、日々の養生も重要です。

①冷たい飲食を控える:冷たい飲み物やアイスは胃腸を弱らせ、水分代謝を悪化させます。

②軽く汗をかく:散歩やストレッチなどの軽い運動は、水分代謝を助けます。

③湿気をためない:除湿や換気を心がけ、室内環境を整えましょう。

④十分な睡眠をとる:自律神経を整えることが、梅雨時の体調管理につながります。


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「年を取ったから」痩せにくくなったのではありません

2026/5/24
「最近むくみやすい」
「疲れが抜けにくい」
「昔より太りやすくなった」

こうしたときによく耳にするのが、「新陳代謝が落ちた」という言葉です。
では実際に、“新陳代謝を高める”ことはできるのでしょうか?

現代医学では、新陳代謝とは主に
・エネルギー消費
・細胞の入れ替わり
・血流や水分循環
・自律神経やホルモン調節

など、体を維持するための総合的な働きを指します。

漢方医学ではこれを、「気・血・水の巡り」に変換して理解します。

つまり、新陳代謝を整えるとは、単に「汗をかく」ことではなく、
全身がスムーズに巡る状態を作ることなのです。

では、代謝が落ちる原因とは?

新陳代謝の低下は、年齢だけが原因ではありません。
実は現代人は、日常生活の中で“代謝を下げる習慣”を繰り返していることが少なくありません。

例えば、

✅運動不足
✅睡眠不足
✅冷たい物の常習的な飲食
✅さまざまなストレス
✅長時間の座位
✅過度な糖質摂取
✅慢性的な疲労

など、現代社会で暮らしていたら誰もが直面する問題ばかりです。
これらは、自律神経や血流、水分代謝を乱し、「巡りの悪い体」を作っていきます。

まず重要なのは“筋肉”💪

基礎代謝の大部分は筋肉で消費されます。
そのため、ダイエットで無理に食事制限をして筋肉を減らしてしまうと、かえって代謝は低下します。
間違った方法では、ダイエットを頑張れば頑張るほど痩せにくくなっていってしまうのです。

おすすめは、

✅軽いスクワット
✅階段を使う
✅少し早歩きする
✅朝に体を動かす

など、“続けられる運動”です。
特に下半身の筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれ、血流改善にも関わります。

🍵胃腸を冷やさないことも大切

漢方では、胃腸(脾胃)は“気を作る工場”と考えます。
冷たい飲み物や食べすぎは、この働きを弱めてしまいます。

そのため、夏でもオススメの食材は

✅常温〜温かい飲み物
✅発酵食品
✅味噌汁

そして、よく噛むことと、夜遅い食事を避けることが大切です。
特に朝の温かい汁物は、体を内側から起こしてくれます。

🌙「睡眠」が代謝を左右する

睡眠不足になると、食欲ホルモンの乱れ、血糖調節異常、自律神経の乱れが起こりやすくなります。
「夜更かしすると太りやすい」のは、単なる気のせいではありません。
筋肉を維持するための成長ホルモンの分泌も低下してしまいます。

漢方でも、夜は“陰を養う時間”とされ、睡眠不足は巡りを乱す原因と考えられています。
漢方では基礎代謝の低下として、気虚=エネルギー不足、水滞=水分代謝低下、瘀血=血流障害などの病態が背景にあることが少なくありません。

新陳代謝の低下に対して漢方薬を使用する場合には、患者様毎に漢方医学的な分析をして体質のバランスを整える漢方薬を使用します。

しかし、「新陳代謝の低下」という保険適応を有する漢方薬はありませんので、該当する疾病に対して漢方薬を処方し、ついでに新陳代謝の改善を試みるということになります。

⚠“代謝低下”の背景に病気が隠れていることも
基礎代謝の低下を感じたら、器質的疾病を鑑別することが必要です。例えば

・甲状腺機能低下症
・貧血
・睡眠障害
・更年期障害
・糖代謝異常

などが関与している場合もあります。
「年齢だから」で済ませず、一度体を見直してみることも大切です。

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ゴールデンウィーク明けに疲れないための漢方養生

2026/4/26
ゴールデンウィークは、旅行・帰省・外食・夜更かしなど、普段とは生活リズムが大きく変わる時期です。
「休んだはずなのに、連休明けの方が疲れている」なんて経験はないでしょうか?

漢方では、体調不良は単なる疲労ではなく、気(エネルギー)・血(栄養循環)・水(水分代謝)の乱れとして捉えます。
つまり連休中は、楽しさの一方で、気づかないうちに消耗が進みやすい時期でもあります。

今年のゴールデンウィークは、ただ休むだけでなく、回復できる休み方を意識してみましょう。

-ゴールデンウィークに起こりやすい3つの乱れ-
① 気の消耗(活動しすぎ・移動疲れ)

長距離移動、人混み、予定の詰め込みは、想像以上に気を消耗します(神経が磨り減ります)。
症状としては、「朝からだるい」「やる気が出ない」「食後に眠い」「連休後半から疲れが抜けない」といった形で現れます。

こうしたタイプには 補中益気湯(ほちゅうえっきとう) が用いられることがあります。
補中益気湯は、消化器のはたらきを高めて、元気の生産を増やし、疲れを軽減する漢方薬です。

② 水の停滞(むくみ・頭重感)

連休のお出かけや外食、BBQなどせいで塩分過多、アルコール、車移動の増加により水分代謝が乱れやすくなります。
症状としては、「顔や足のむくみ」「頭が重い」「胃がすっきりしない」「天気で体調が左右される」などの形で現れます。

このようなタイプには 五苓散(ごれいさん) などが選択されることがあります。
五苓散は応用幅の広い漢方薬です。体内の水分バランス(偏りや不足)を是正してくれます。そのため、熱中症対策や脱水症対策、二日酔い、気象病対策などとしても利用できます。

先ほど登場した補中益気湯と、五苓散の中間的な漢方薬もあります。
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)は、胃腸のはたらきを高める人参・陳皮・茯苓、元気を引き出す黄耆、そして水の巡りを改善する蒼朮・茯苓などの生薬が組み込まれた漢方薬です。

元来は胃腸虚弱な方の頭痛、眩暈などの症状緩和に使用されますが、GWの疲弊対策として利用する手もあります。


③ 肝の高ぶり(自律神経の乱れ)

連休中の夜更かし、スマホ、予定過多は、春に高ぶりやすい「肝」をさらに刺激します。
症状としては、「イライラする」「寝つきが悪い」「眠っても浅い」「胃腸の調子が乱れる」などの形で現れます。

こうしたタイプには 加味逍遙散(かみしょうようさん) 抑肝散(よくかんさん) が用いられることがあります。
加味逍遙散は神経の昂ぶり(興奮)を鎮めつつ血流を改善します。ですが抑肝散の方が手軽に使いやすいかもしれません。


ワンランク上のGW養生法

GWの連休疲れや五月病を回避するには、“予定を減らす”より、“回復する予定”を入れる方が重要です。
多くの方が見落としがちなのは、休みの日ほど刺激が増えているという点です。そこでおすすめなのが、予定表に以下を入れることです。

<回復する予定>
✅朝30分だけ散歩
✅昼食後に15分の仮眠
✅スマホを手放してぼーっとする時間
✅ぬるめの入浴20分
✅夕食を腹八分目にする日を作る

これだけで、自律神経の負担は大きく変わります。

連休中の食養生とは?

旅行先や外食続きでは、飲みすぎ食べ過ぎで「楽しいけれど胃腸は疲れている」ことがよくあります。
おすすめは、①朝食を軽めにする日を作る、②冷たい飲み物を控える、③発酵食品(味噌汁・納豆・ぬか漬け)を取り入れる、④食べすぎた翌日は和食中心に戻すなどの対策です。

胃腸(脾胃)が整うと、全身の気も整いやすくなります。
連休明けの不調は“気のせい”ではありません。

大型連休後には、「朝起きられない」「めまい・頭痛」「食欲不振」「不安感」「仕事モードに戻れない」といったご相談が毎年増えます。
これは単なる甘えではなく、自律神経と気血水の乱れとして説明できることが少なくありません。
思う存分遊んで、きちんと回復させるメリハリが重要です。そのお供に漢方薬をご利用ください。


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花粉症にゾレア大活躍なんですが…

2026/3/23
今年は例年よりもスギ花粉症の症状が強く出る傾向にあるようです
「十数年ぶりに花粉症になった!」という患者様が当院にもたくさんいらっしゃいます

こんなわけですので、これまでならフェキソフェナジンやエピナスチンなどの抗ヒスタミン剤あるいはロイコトリエン拮抗薬でなんとか症状を抑えてやりすごしていた患者様の中には、今年はもうお手上げでどうにもならないという方もいらっしゃいます。

標準的な治療では症状を抑えきれない重度の花粉症の場合には、
「ゾレア」という注射薬を使用して治療することができます。

ゾレアは、体内のアレルギー反応の引き金となる「IgE(アイジーイー)抗体」に直接結合し、無力化する薬です。
 抗ヒスタミン剤などの薬が「放出されてしまったアレルギー物質(ヒスタミンなど)の働きを抑える」のに対し、ゾレアは「そもそもヒスタミンを放出させない」という根本的なアプローチです。
アレルギー反応の上流をブロックする薬ですので、抗ヒスタミン剤やロイコトリエン拮抗薬では改善が得られなかった患者様でも効果が期待できます。

ところで、「重症な花粉症」とはどういう花粉症でしょうか?
ゾレアの使用基準に「1日に11回以上くしゃみや鼻水といった症状がある」という項目があります。
一体、誰が1日のくしゃみの回数を律儀に数えているのかとことん不明ですが、標準的な治療をしても社会生活・日常生活に大きな支障が生じていれば重症と考えて良いでしょう。

ゾレアを使用する前に、血液中のIgEの総量を検査する必要があるのと、スギ花粉特異的IgEを検査してクラス3以上であることが必要条件となります。

ゾレアは2~4週間に1回の皮下注射ですが、花粉症の治療としては非常に高額な治療です。
ワンシーズンに数回注射すると高額医療費制度を利用できる場合があるので、領収書などは必ず保管しておいてください。

当院でもゾレアを使用される患者様が増えています。
一方、ゾレアは供給がやや不安定な薬でもあります。
もう3月も下旬ですので、そろそろゾレアの出番は減ってくるはずですが、ご利用希望の方はお早目にご連絡ください。


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