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作用と副作用について

2021/8/24
「漢方薬は副作用がないんでしょう?」
漢方診療をしているとこのようなご質問をしばしば受けます。

漢方薬といえど、人体になんらかの作用を起こす薬理物質が含まれているのですから、好ましくない作用としての副作用は当然、起きる可能性があります。そうです。副作用というのは、起こるはずのない異常な事態ではなく、薬の作用機序から考えて当然起こりうる効果のうち、使用者にとって不都合な作用のことを言うのです。

ここで、薬の作用と副作用について一般の方が(一部の医療従事者も)誤解している点をお話してみようと思います。

ある薬(化学物質X)が人体に投与されると、なんらかの反応を起こすとします。
例えば血圧が下がるとか、痛みが鎮まるとか、よく眠れるとか。

物質Xが血圧を下げる効果を持っている理由は、人体が血圧を上昇させる複数の生化学的・生理反応的な経路のどこかに影響を持っているからです。一部の反応を進めるとか抑えるとか。

自動車にアクセルとブレーキがあるように、人体もアクセルとブレーキが備わっており、ほぼ全自動でバランスをとってくれています。その性質のことをホメオスタシス(恒常性)と言います。
アクセルとブレーキが自律神経、全自動運転機能がホメオスタシスですね。

さて、物質Xが人体の中で何らかの反応を起こすと、アクセルが強く踏み込まれて、結果として車が加速するとします。

そうすると車は急加速したりするわけで、車内に乗っている人は急加速の反動でヘッドレストに頭をぶつけてしまうかもしれません。手にジュースを持っていたらこぼしてしまうかも。アイスクリームを舐めていたら顔にべしゃっとぶつけてしまうかもしれませんね。

そんなわけでアクセルを急に踏むと車内でいろいろなトラブルが起きるわけですが、これが副作用なわけです。
全自動運転システム(ホメオスタシス)のほうは急加速を検知して、車体を制御するためにブレーキを作動させるわけです。
まぁ…いろいろなことが起きるというわけですね。

薬の作用と副作用も同じような関係です。

ある化学物質Xが持っている、期待される効果が「作用」と名付けられ、物質Xが持っている余計な効果(不都合な効果)が「副作用」と名付けられているのです。

でも人体にとってみてはどれもこれも起こるべくして起こっている現象なわけです。

薬の作用、副作用とはこのような話なわけで、期待される効果が不都合な効果にくらべて損得勘定で得が多いと考える場合にその薬が利用されているというわけです。

だから作用と副作用は一体なのだということです。
副作用は生じて当然。副作用が生じないのなら作用も生じないということになるわけで、それは薬としては何の役にもたたないということですね。

「クスリはリスク」とはよく言ったもので、医療行為には何らかの不都合な面(副作用とか後遺症とか合併症とか)があるわけですが、そのデメリットを超えるメリットがあるから正当化されるのです(死を免れるとか、日常生活の質を大幅に改善するとか)。

外科医が最初に肝に銘じることとして「手術という人傷つける行為が犯罪にならないのは、それが医療行為としてデメリットよりもメリットが大きく上回るから容認されるのだ」という教えがあります。
全くその通りなわけです。だから外科医という立場からは、むやみやたらに身体を傷つける行為をファッションや文化として受け入れることには抵抗を感じてしまいます。

話を本題に戻しましょう。
漢方薬に副作用がないのかと言えば当然あるわけです。
有名なものが偽アルドステロン症(低カリウム血症、高血圧、浮腫、脱力)や間質性肺炎、肝機能障害ですがこれらは甘草や柴胡、黄ゴンなどの生薬が起こしやすいことも知られています。

漢方薬が西洋薬と比べて副作用が少ないとイメージされる理由は、西洋薬が基本的に単一化学物質であるのに対して、漢方薬は複数の生薬を組み合わせてできあがっているという点にあります。

漢方薬は生薬の組み合わせによって、期待される効果は大きく、不都合な効果は小さく抑えることを狙って作成されています。その結果、西洋薬と比べると副作用が軽減されているのです。

2000年を超える先人の知恵と努力と創意工夫の結果ですね。

最後に、不都合な効果のはずの副作用が、実は非常に有益な(好都合な)作用だった例を一つ。

それはAGA(壮年性脱毛症)に使用されるフィナステリドです。
フィナステリドは前立腺肥大症の治療薬として見いだされ、開発されました。そして前立腺肥大症の臨床に使用が始まると、次々と不思議な副作用が報告されたのです。

それは「髪の毛が生えてきた!」という副作用でした。

「ハゲの特効薬を作れたらノーベル賞」と何十年も前から言われている医学界で、フィナステリドの副作用はまさしく多くの人に希望を与えた作用でした。そしてフィナステリドの副作用は、AGAに対する好ましい作用(効果・効能)となったのです。


そういえば、「不都合な真実の不都合な真実」という面白い映画がむかしありました。


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母乳が出ない!

2021/8/16
産後のお悩みの一つ「母乳が出ない」。

今でこそ粉ミルクや液状ミルクがありますが、江戸時代や戦後の物資がない時代などには母乳が出なければ赤ちゃんを育てることができなかったわけで、非常に重大な問題だったわけです。

母乳が出るためには栄養が十分に摂れていることも大切です。
ただ、分泌できるはずなのに分泌できない。
出てくるはずのものが出てこないというときに漢方を使用することもあります。

これが意外な漢方なのですが、漢方医学をよく理解されている先生であれば知っている…というか、よく理解されている先生が使い始めたのだろうと思います。

その意外な漢方薬は「葛根湯(かっこんとう)」です。
だれもが「カゼには葛根湯」というくらい知っているのに、
「母乳が出なければ葛根湯」ということは知らないものです。

葛根湯には「排膿を促す作用」があります。
この作用を応用し、溜まっている母乳の分泌を促すのです。
さらにこの利用法を応用し、乳腺炎に使用することもあります。

とにかく、溜まっているもの(膿や分泌物)を出してしまうことで問題が解決するようなときに葛根湯を使用するようです。

葛根湯を応用した漢方薬に葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)という漢方薬があります。こちらは副鼻腔炎の治療に使用されますが、やはり溜まった鼻汁を葛根湯の力で排出させようと狙ったものであると考えられます。

漢方薬はときに想定外の効果を発揮してくれますね。

ちなみに母乳分泌で有名な食品といえば、玄米やタンポポコーヒーです。

また、昔は「乳母(うば)」という方法もありました。
母乳が出るご近所の奥様に授乳をお願いしたのです。
日本が物質的に貧しい時代の名残というべきか、やむを得ない風習であったというべきか、表現はむずかしいところですがきっともっともっと古い時代から行われていたことではないかと思います。

乳母というシステムは免疫という点では非常にメリットの大きい手段だったと思います。
免疫にとって重要なのは「多種多様」であることです。
色々なものに接することが免疫をブラッシュアップしていき、アレルギー疾患や自己免疫疾患を起こさず、そして感染症に対して抵抗力を高めることができます。

乳母の方から母乳をもらうことが一般的な集団では、それぞれの家族が保有する常在菌や免疫グロブリンなどが相互に受け渡され、交流していたと予想されます。
まさしく免疫力を集団で鍛えていたのであり、本当の意味での集団免疫です。

昔は集落や町内からの人の出入りというものもそれほどありませんでしたから、自分を育ててくれた乳母さんに大人になってから会うとなんとも気恥ずかしいというか頭が上がらないというか複雑な感情を覚えたものです。

現代では乳母などというと、もらう側であれあげる側であれどちらにも嫌がられてしまうのでしょうか。他人の母乳というと嫌悪感を抱く人が多いようです。
物質的に豊かになるとはこういうことなのでしょうか。

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