新前橋すこやか内科・漢方内科クリニック|内科・漢方内科、外科、補完・代替医療(自由診療)

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切り傷に瞬間接着剤を使用してはいけません!

包丁やカッターナイフなどで指を切ってしまったときに
瞬間接着剤で傷を接着してしまう若い方がいらっしゃるようです。

確かに、指の切り傷は圧迫してもいつまでもジワジワ出血したりするので、
心配になるのはわかりますし、くっつけてしまえば治ってしまうだろうという発想も理解できるのですが…
でも決してそのような対応はしないでください。

傷と傷のすきまを接着剤で埋めてしまうと、確かに出血は止められるかもしれないし傷はくっついてしまうかもしれませんが、接着剤の成分に対して異物反応が生じてしまい、必ず強い炎症が生じることになります。
つまり、一時的に出血は止まるかもしれないけれど、赤く腫れてすごく痛くなると思います。

手の指を切ってしまった時は、辛抱強く2時間でも3時間でも圧迫しておけば必ず止血できます。(自分でもわかっていても不安になるくらい出血しますけれど)
出血を止めるために指に輪ゴムやヒモを巻いて締め付けてしまう人もいますが、それもお止めください。血行不良になって指が腐ってしまう(壊死)場合があります。
とにかく落ち着いて圧迫し続けてください。

出血が止まり、それほど深く大きい傷ではない場合には「傷パワ〇パッド」のような医療用傷被覆材を貼っておくことで治すことができます。傷用のバンソウコウも性能の良い市販品がたくさん売られるようになりました。
しかしある程度深い傷の場合には、縫合して傷を接着させてしまった方が早く・きれいに治りますので、医療機関を受診してください(もちろん当院でも創処置は承ります)。

さてここまで「傷には接着剤を使うな!」と書いてきたのですが
実は医療の世界には傷用接着剤が存在します。やはりみんな考えることは同じなのですね。
ただし、この接着剤は指のケガなどに使用できるものではありません。

食道穿孔(しょくどうせんこう)という、人間が食べ物や飲み物を摂取して口・喉から胃までの通過経路「食道」に穴が開いてしまったときの治療用に使用するのです。
食道穿孔は命に関わるとても危険な状況なのですが、その治療は食道をほぼ全摘出する大がかりな手術が必要になってしまいます。
しかし、一部の軽症の患者さんの場合には手術をせずとも治療可能な場合があることがわかってくるようになりました。
そしてこのような一部の食道穿孔の場合に、食道に空いた穴を専用の接着剤でふさいでしまう治療が有効であるとの報告がされるようになってきました。

医療用接着剤の発明は消化器外科医にとっても、消化器内科医にとっても画期的で非常にありがたいことです。

しかし、みなさんが手の指を刃物で切ってしまったときなどには、絶対に瞬間接着剤で傷をくっつけてしまおうなどと考えないようにしてください。


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