日増しに朝晩の気温が下がりつつあります。冷え症の方々には厳しい季節がやってきますね。
寒い季節になると、冷え対策として「ショウガ」を意識的に摂取することが増えるかもしれません。
しかし、東洋医学的観点からすると、ショウガでは冷えを治すことはできません。
どういうことでしょうか?
東洋医学では食物の味や香りだけでなく、身体を温めるのか、冷やすのか、気の巡りへの作用、血行への作用などなど、さまざまな薬理学性質を経験的に理解し、分類しています。
ショウガは温性の食物ではありますが、では、ショウガはどのように身体を温めてくれるのでしょうか?
実はショウガは、身体の中心の熱を体の隅々まで届ける…という作用によって体を温めます。
ここで気を付けなければならないのは、ショウガは「運び屋」に過ぎないということです。
ショウガそのものは熱を産生する食材ではないため、ショウガを食べることで身体は温まりまうが、それは一時的なものにすぎません。
冷え症を治すためにはショウガを食べるだけでは不十分であり、熱を産生するための食材を摂取する必要があるのです。
漢方においては、熱産生のための食材(生薬)の代表といえば朝鮮人参です。
(羊肉などもありますけれども、もっとも一般的なものとしては人参です)
朝鮮人参によって体内で熱を産生します。家の中央にある暖炉や薪ストーブに薪をくべるようなものです。
ショウガは熱を伝えるためのパイプのようなものであり、家の隅々まで熱を届けるための熱伝導設備のようなものです。
附子という生薬もありますけれども、どちらかと言えばガソリンや着火剤のようなものであり一時的にはしっかりと熱を生んで体を温めてくれるのですが、冷え症を本質的に治すということは暖炉や薪ストーブの性能が良くなって常に安定して薪が供給されているような状態ですので、やはり基本は朝鮮人参ということになるでしょう。
だから冷え症を治すためには朝鮮人参と生姜のセットが必要なのです。
とはいえ朝鮮人参は食材として入手しにくいものですので、なにか別の食材で代用するしかありません。
朝鮮人参の薬効成分の主成分としては「ジンセノサイド」というサポニンの一種です。同じサポニンでも種類が違えば当然にその効能や効果も異なるわけですが、それでも同じグループである以上は共通している部分もあるというわけです。
そこでサポニンを多く含む食材としては大豆、ゴボウ、緑茶などがあります。これらが朝鮮人参の完全な代用になるというわけではありませんが、高価な朝鮮人参の代わりとして手に入る安価で日常的な食材としては積極的に取り入れたいものです。