新前橋すこやか内科・漢方内科クリニック|内科・漢方内科、外科、補完・代替医療(自由診療)

新前橋すこやか内科・漢方内科クリニック

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健康のこと、日常のことなどを発信しています。

1/3と1/4の診療の印象

2025/1/5
明けましておめでとうございます。

早速ですが、新年2日間の診療をしてみての、最近の状況についてご報告いたします。

まず、インフルエンザの感染力が強いようです。「数十年ぶりにインフルエンザになった」という方が多数おられます。
もちろん、「ワクチン接種したけど感染した」という方も多数おられます。ワクチンはあくまでも感染予防のサポートにすぎません。日頃の生活態度、健康管理、そして漢方薬の予防的服用により流行病から身を守っていただきたいと思います。

さて、抗インフルエンザウイルス薬の流通状況なのですが、タミフル(オセルタミビル)が品薄になりつつあるようです。ゾフルーザは1日1回だけ内服すればよい薬なのですが、耐性が報告されていますので個人的にはオススメしていません。吸入薬としてイナビルがあります。イナビルに関してはこのブログを書いている時点では供給不足の話は聞いていませんので、なんとか入手できるかもしれません。

尚、漢方薬に関しては十分入手できる状況です。抗ウイルス薬よりも漢方薬の方がすみやかに症状を改善するという報告もありますので、個人的にはインフルエンザやコロナのような感染症には漢方薬の使用をオススメしています。

インフルエンザは潜伏期間1~2週間と言われていますが、同居しているご家族が発症した場合にはより短期間での発症もありえます。そろそろインフルエンザB型も出現してきていますので、そういう意味ではインフルエンザの流行も収束し始めていると考えられるかもしれません。

コロナ(COVID-19)も相変わらずですが一時期に比べれば感染している方は少ないようです。
前橋医療センター(休日診療所)では抗コロナウイルス薬としてゾコーバを常備しています…が、薬代だけで15000円くらいするので…個人的には使用するのに躊躇しています。コロナにも漢方薬の使用は有用であると考えていますので、当院を受診された際にはご相談ください。

前橋医療センター(休日診療所)には連日朝から行列ができています。ほとんどが発熱患者様なので、恐ろしい事態になっています。待合室でも椅子が十分に足りなくなっている瞬間があります。診察まで数時間お待ちいただく場合がありますし、診察後も薬のお渡しまでまた数時間かかる場合があります。我々医師、看護師、薬剤師、技師など精一杯それぞれすべき仕事をやっていますが、どうにも手に負えないくらいの状況になっています。

尚、前橋医療センターや休日当番医は、あくまで「応急処置的な対応」をするのが役割です。必ずしもご希望通りの検査や処方対応ができない場合がありますがご容赦ください。

また、咳止め、去痰剤なども全国的に供給不足となっています。当院の院内在庫も底をついたままです。薬局に院外処方箋をお持ちいただき、ご相談くださいますようお願いいたします。

しかしながら、メジコンやカルボシステインなどの薬剤は一般向け製品としてドラッグストアでふつうに販売されています。必要とされる方は恐縮ですがご購入いただくことをオススメいたします。


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「冷え症」の漢方医学的病態と治療

2024/12/8
NHKの番組で「冷え症」の話をしていたのですが…
私の解釈と「ちょっと違うんだよな~」と思うところがあったので書いておくことにします。

冷え症を発症する理由は ①熱産生が少ない、②熱を送り届けられていない の2つです。
(環境が寒いから、というのは体内的問題ではないので割愛します)

①熱産生が少ないのは、消化器があまり丈夫ではない脾虚(ひきょ)と新陳代謝の低下や生命力が弱い腎虚(じんきょ)の要因があります。脾虚と腎虚が共存している場合もあります。この場合には弱いところを補助して熱産生を高める必要があります。

脾虚で冷え症の方の基本的な治療薬は人参湯(にんじんとう)です。漢方専門医くらいしか処方しないのであまり耳にしないかもしれませんね。腎虚で冷え症の方の基本的な治療薬は八味地黄丸(はちみじおうがん)です。こちらはドラッグストアや通販などで盛んに販売されているので、一般の方でもご存知のかたは多いと思います。

NHKの番組では「四逆湯(しぎゃくとう)」という漢方薬の名前が登場したのですが、この漢方薬は厥陰病(けっちんびょう)というかなり衰弱したときに本来使用されていた漢方薬です。四逆湯は保険診療で使用できる漢方薬ではありませんので、ご注意ください。

②熱を送り届けられていない要因としては血行障害を考えるとよいです。血行障害の理由は単純に血液循環が悪い場合と、交感神経が昂っているせいで血管が収縮してしまっている場合があります。

血液循環はさまざまな原因で悪化します。運動不足や糖尿病・脂質異常症などでいわゆる「血液がドロドロ」なため、あるいは動脈硬化の結果や、低血圧なども血液循環の低下を生じます。漢方的には「瘀血(おけつ)」という病態です。瘀血の基本的な治療薬は桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。当院の処方数トップ3に常にランクインする漢方薬であり、非常に応用の利く漢方薬です。

瘀血の治療薬は多種多様なので、患者様お一人お一人の病状に合わせて選択しています。

交感神経が昂ることでも血管が収縮してしまい血流が悪くなります。ストレスに過敏な方は、常日頃からそれとなく緊張が続いており、しかもそれを自覚していないため血管が収縮しがちです。「手が冷たい人は心が温かい人」がこのタイプです。こういった方には、交感神経を多少鎮める漢方薬で治療をします。安直には四逆散(しぎゃくさん)という漢方薬を使用するのですが、ストレスの感受性、神経の昂り具合も人それぞれなので患者様お一人お一人に合わせて選択しています。

冷え症の基本的な病態と漢方薬による治療についてご説明いたしました。NHKの番組のようにツボやお灸という手段でも冷え症は改善できますし、よもぎ蒸しも広まってきました。昔から冷え症は人類の悩みの種だったようです。


ところで、先日アイドルかつ女優の中山美穂さんが急逝されました。
風呂場で倒れていたとのことですが徐々に詳細が明らかになりつつあります。
亡くなられていた状況を考えると、メディアが言うヒートショックではなさそうです。
入浴中の事故死としてはとても不自然な姿勢で亡くなられていたようです。
滑って転んでもそういう姿勢にはなりませんし、外傷の有無は直ちに確認されますので「無傷」とは報道されません。

お美しい方でしたが、剖検(司法解剖?)されるのでしょうか?
とても深く悲しい出来事でしたね…
ご冥福をお祈りいたします。


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冬の寒さのお悩みには

2024/11/27
今年は気温が高くなったり下がったりと不安定な日々が続いていますが…
11月も末となりますと冷えに関するさまざまな症状に悩まされる方も多いのではないでしょうか?

本来は患者様お一人お一人に合う適した漢方薬を使用すべきではあるのですが、これからご紹介する症状はたった1つの漢方薬で解決してしまう可能性があります。いずれも冷えに関連して出現する症状としてご理解ください。

まずはこむら返り。
寝ているあいだに脚が冷えてしまって夜明けごろに強烈な痛みとともに目が覚める…なんて経験はありませんか?
こむら返りというと何はともあれ「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」が使用されるのですが、芍薬甘草湯は筋肉の痙攣を一時的に止めるだけの薬なので、常習的なこむら返りには適していません。

しもやけ・レイノー病は冷えによって手足先端の微小な血液循環が悪化することで生じます。
手先や足先が真っ白になるパターンの人と、赤黒くなったり紫になったりする人では使用すべき漢方薬が異なります。今回は真っ白になる人に向いている漢方薬の話です。毎年しもやけになる場合には、シーズンインする頃から内服をはじめます。

頭痛や腰痛も冷えによって誘発される場合があります。
冷えによって生じたり悪化する頭痛や腰痛に対して、ロキソニンやカロナールなどの消炎鎮痛剤を使用してしまうと体温が下がってしまい余計に症状を悪化または長引かせてしまうことになります。そんな痛みには漢方薬がオススメです。

いろいろと症状をご紹介しましたが、これらの症状に対して有効な漢方薬が「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」です。名前が長いので一般の方は絶対に名前を憶えていただけませんが、長ーい名前を分析してみると「当帰四逆湯に呉茱萸と生姜を追加しました」というネーミングになっています。

四逆という言葉が名前に入っている漢方薬はいくつかありますが、これは左右の手足、合計4か所が冷えていることを意味します。
当帰は血行を良くする生薬ですので、当帰四逆湯は血行が悪くて手足が冷える人に適した漢方薬なんだなと、漢方を一定程度勉強した人間にはわかります。そして呉茱萸は「呉茱萸湯」という片頭痛の特効薬がある通り、頭痛に効くような薬だとわかります。生姜は身体を温める生薬だなとすぐにわかります。

したがって、当帰四逆加呉茱萸生姜湯は血行が悪くて手足が冷えて頭痛などを生じる人に向いている薬なんだとわかります。漢方的にはしもやけの特効薬であると説明されることが多く、実際に薬理的にも四肢末梢の微小循環における動脈の血行を改善させることが知られています。

血行を良くする、身体を温める、痛みをとるという効能を持った生薬で組み立てられていますのでこれからの季節にはピッタリの漢方薬です。

そして当帰四逆加呉茱萸生姜湯の構成について上記とは別の見方をすると「桂枝湯」という風邪の漢方薬を基本骨格とした作りが浮かび上がってきます。つまりこれからの季節の風邪予防にもオススメというわけです。

最初に書いた通り、漢方薬は一人一人の体質にもっとも適したものを使うべきではありますが、当帰四逆加呉茱萸生姜湯が合う人はけっこう多いのではないかなと思います。

最後に、当帰四逆加呉茱萸生姜湯はすごーく苦い漢方薬であることをお伝えしておきたいと思います。


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女性のこんな不調をみかけたら

2024/11/7
何か月も不調が続いて…
夜な夜な寝汗をかいて…
体重が徐々に減っていって…
日に日に疲れがたまっていって…
ドキドキして夜、眠れなくなって…

さて、これは自律神経失調症でしょうか?それとも悪性腫瘍?
色々と心配になってしまう状況かもしれませんが…

これらの症状は、頻度が高いのに案外見落とされがちな疾患の症状です。

その疾患は…「バセドウ病(甲状腺機能亢進症)」です

甲状腺は新陳代謝をつかさどるホルモンを分泌している器官です。のどぼとけのすぐ下にあります。

一般論としては、甲状腺機能が低下してくると(甲状腺ホルモンが低下しすぎると)、新陳代謝が低下して冷え・浮腫み・低体温・易疲労感・抑うつなどの症状が生じるようになります。
逆に甲状腺機能が亢進すると(甲状腺ホルモンが増加しすぎると)、新陳代謝が過剰となり高体温・過活動・体重減少・動悸・不眠などの症状を生じるようになります。甲状腺機能亢進症は「元気になりすぎる」疾患なので教科書には「疲れを感じにくくなる」と書いてあったりするのですが、実は代謝が亢進しすぎた結果、後になってから疲れやすくなってしまうことがあります。

甲状腺疾患を有する人は特徴的な顔立ちになるのですが、女性の場合にはやせ型で目が大きく見える(実際には眼球が突出する)ので、いわゆる美人顔に近いものとなります。
喉元が腫れていると甲状腺疾患だと気が付きやすいものの、甲状腺疾患の患者さんの中には、ぱっと見では甲状腺が腫れていない人がけっこういるものです。

甲状腺疾患は若い女性にはけっこう多い疾患です。
血液検査でホルモン値を測定すれば容易に診断を付けることができます(厳密には色々と注意が必要なのですが)。
甲状腺エコーで腫れ具合を確認したり、甲状腺内に腫瘍性病変がないか確認することも重要です。

不定愁訴であるとか、心の病であるとか、自律神経失調症などと決めつけてしまう前に、ぜひ血液検査で確認してみてください。


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ベーチェット病に漢方

2024/10/9
指定難病の一つである「ベーチェット病」は
口内炎や陰部潰瘍が多発するとても厄介な難病です。

基本的には、自分の免疫システムが関与する全身の慢性的な炎症が病態なのですが、なぜ・どうしてベーチェット病が発症し、どうすれば根本的に治るのかは現在もまだ研究が続けられています。

眼にも症状が出現することがあり、最悪の場合は失明に至ります。
眼の前側の部分の炎症は虹彩毛様体炎、眼の後側の部分の炎症は網膜脈絡膜炎という形で症状が現れます。

皮膚の炎症を生じる場合もあり、結節性紅斑という皮膚病によく似た皮疹や、ニキビが多発したりします。

罹患されている方は日本で約2万人ていどであり、決して頻度の多い疾患ではないのですが、ビジュアル的にとても特徴的なので皮膚科や膠原病科の教科書や授業では必ず勉強することになります。

さて、温清飲(うんせいいん)という漢方薬がありまして、この漢方薬は黄連解毒湯(おうれんげどくとう)四物湯(しもつとう)を合体させた漢方薬なのですが、温清飲が効きやすい人というのは「口内炎や陰部潰瘍を繰り返し発症する人」なのです。まさしくベーチェット病!ということになるわけですが、実際に臨床研究でもベーチェット病に対する温清飲の有効性が確認されています。

ちなみに黄連解毒湯は抗炎症・抗菌作用に特化した漢方薬です。四物湯は身体の材料の補給のような漢方薬で、乾燥肌で色つやの悪い人や貧血、冷え症、しもやけになりやすい人に適した漢方薬です。この2つを合体させるとベーチェット病に効くのですから不思議ですね。

ベーチェット病はシルクロード周辺地域に発症者が多いことが知られています。最初に報告されたのは1930年代でした。トルコのベーチェット先生が報告したので「ベーチェット病」というわけです。

しかし、どうやらヒポクラテスの書物のなかにもベーチェット病らしき疾患についての記載があるようなのでかなり大昔から存在する疾患なのかもしれないです。大昔の中国でも、当然ベーチェット病の人はいたのでしょうし、当時の医師たちが苦心して治療法を開発した…それが温清飲なのかもしれませんね。

ベーチェット病は真の病態も根本的な治療法も確立されていない難病ですが、漢方医学的視点から研究していくともしかしたら新たな病態や画期的な治療法がみつかるかもしれません。まぁそういうことを妄想したりして我々医師は研究に打ち込んでみたりするのです。


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