新前橋すこやか内科・漢方内科クリニック|内科・漢方内科、外科、補完・代替医療(自由診療)

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リウマチかな?と思ったら漢方を

2024/1/28
西洋医学では関節痛をきたす疾患のことをまとめて「リウマチ性疾患」と呼びます。西洋医学的には自己免疫性機序の関与した炎症を病態の中心として考えており、解熱鎮痛剤や免疫調整作用のある薬が使用されています。

ところで、リウマチという言葉は一般の間でも広く浸透しているように思いますが、「リウマチ」という響きは英語っぽくなく、やや聞きなれない不自然な言葉だと思いませんか?

リウマチという言葉の語源は紀元前4世紀に編纂されたヒポクラテスの書物に登場します。「病は体液の異常な流出(ギリシア語でflu、ラテン語でrheu)の結果である」と記述されています。有害な液体が流れでていきついた先で病気が生ずると考えられていました。これは体液理論なわけですが、リウマチという言葉は「病気」という言葉と同じような総称・俗称だったわけです。

その後、16世紀になり「リウマチ」という言葉が現在のリウマチ熱に対する病名として用いられるようになり、あれこれあって関節リウマチとい病名が誕生したようです。

紆余曲折を経たとはいえ、体液の異常から始まった概念が受け継がれてきているわけですので、病気の本質をとらえる感覚として体液(液体)の異常をとらえていたのだろうと思います。つまり浮腫んでいるとか、水っぽい感じをとらえていたのでしょう。

実は東洋医学では関節リウマチの病態を水毒の一種として捉えています。関節が浮腫んで腫れたり、手がこわばったりという症状は局所的な水の集積(水毒)と考えたわけです。

そのため、関節リウマチに使用する代表的な漢方薬として、桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)とか越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)などの薬は水のめぐりを改善する生薬で構成されていますし、膝変形性関節痛によく使用される防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)に至っては水の巡りを改善させることを目的に作られた漢方薬です。

このように古代の医学において洋の東西を問わず人体の病気(とくに関節痛)について、体液(水)の異常であるという共通認識をもっていたことは非常に興味深いと言えます。

水を巡らせて関節痛を治すという発想は西洋医学にはない発想ですし、漢方がさまざまな関節痛に有効な理由でもありますね。

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主婦湿疹も男性の手指汗疱も

2024/1/12
漢方薬には皮膚疾患に有効なものが数多く存在しています。

内臓疾患に比べて、皮膚疾患は目に見えるものですから、昔の人にとってもよく出会う疾病だったのでしょう。
昔は今よりも皮膚症状をともなう感染症の罹患率が高かったですから、漢方薬の研究も進んだのだろうと思います。

インド医学のアーユルヴェーダでは、皮膚症状は体内に蓄積した毒素を体外に排出するための生体反応であると捉えています。
なので皮膚症状を抑え込むのではなくむしろ発疹などを出し切ってしまうことを治療とする場合があるようです。

漢方薬で使用される生薬の中にも、膿を積極的に排出させてしまうことで皮膚疾患を治療するような生薬もありますが、漢方医学的に病態を解釈し、様々な作用をもつ生薬を組み合わせることで皮膚疾患を治療します。

手(手のひらと指)の湿疹としては女性の手湿疹(通称、主婦湿疹)が日常的に出会う頻度の高い皮膚疾患です。
西洋医学的にはステロイド外用剤が使用されるのですが、ステロイドを中止するとまた症状が再燃してしまいますし、長期的に使用すると副作用が生じてしまいます。

そこで、主婦湿疹に漢方薬がよく利用されています。
あくまで私個人の傾向ですが、主婦湿疹(手湿疹)には温清飲(うんせいいん)を使用することが多くあります。
温清飲は黄連解毒湯という漢方薬と四物湯という漢方薬を合体させたものです。黄連解毒湯は漢方における抗炎症剤兼抗生物質です。四物湯は乾燥肌の改善に有効です。温清飲を使用しますと、手指の炎症を抑えつつ、皮膚を保湿するため主婦湿疹が改善します。

ここまではよくある話です。

今回、70代の男性で手指の汗疱(かんぽう)という皮膚疾患に対して温清飲と防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)を併用してほぼ完治するという経験をしました。

手指汗疱とは、かゆみをともなう1~2㎜の水ぶくれが手のひらや指の側面に生じる慢性的な皮膚の炎症性疾患です。原因は明確にはわかっていませんが、汗をかきやすい人や敏感肌の人に多くみられます。アレルギー反応の関与も指摘されています。

今回の男性は、もともと防己黄耆湯を内服されていました。
防已黄耆湯は汗かきで水太りしやすいひとの体質改善としてよく利用される薬です。黄耆という生薬が皮膚機能を改善することで、水ぶくれを出し切ってしまったり、皮膚組織に治癒を促進します。

当院に受診された時には皮膚の炎症や乾燥肌が目立っていたので、防己黄耆湯に温清飲を併用することにしましたところ、2~3ヵ月で見た目はほぼわからない程度まで回復してしまいました。

これには私も驚きましたが、漢方医学的に病態をきちんと考えて複数の漢方薬を組み合わせることで、相乗効果というか想定以上の効果を得ることができたりすることがあります。


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🎍新年あけましておめでとうございます🎍

2024/1/1
新年あけましておめでとうございます。

旧年中は大変多くのかたにお引き立ていただき、お世話になりました。
医師としても、経営者としても、人間としてもまだまだ未熟ではございますが、今年もまた一日一日を大切に精進していきたいと思います。

私は漢方医としては勉強も経験も偉大な先輩方の足元にも及びません。見立てや選択を誤ることもあります。しかし、数千年もの間受け継がれている人類の英知の結晶である漢方という医療を、皆様により適切にご提供できるよう今年も精一杯、全力を尽くして参ります。

待ち時間を短くすることと患者様のお話をできる限り伺うこと、という相反する目標を達成するために、診療の在り方を日々見直しております。当院は高度な設備のない無床診療所ではございますが、皆様にとって健康上のお悩みをご相談できる最初の場所となり、そして医療難民となることのないよう、受け皿ともなれるように尽力していく所存です。

当院では一昨年前から自由診療においてがん免疫療法のお取り扱いを開始しました。
昨年は大変多くの方に治療をご提供させていただく機会をいただき、昨年一年間の6種複合免疫療法の新規導入数は日本第4位となりました。まことにありがとうございます。
「免疫力と自然治癒力でガンを治す」という理念を大変多くの方にご支持していただいていることに心から感謝申し上げますとともに、皆様のご期待に少しでもお応えできるよう、今年は漢方と統合医療を駆使した治療方法を確立していくための努力を続けて参ります。

当院のスタッフもそれぞれの個性を輝かせて皆様のご来院をお待ち申し上げております。
どうぞ今年も一年、よろしくお願い申し上げますとともに、皆様の健康をご祈念いたします。

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「6割も治った」のか「6割しか治らなかった」のか

2023/12/10
心身相関という言葉があります。
文字通り、意識や心と肉体とは連動しているということです。
これは疾病の発生や経過、そして治癒過程においても言えることです。

例えば気管支喘息や胃潰瘍、過敏性腸症候群などのような心身症は意識や心の状態およびストレスと肉体的症状との関連が強いことはなんとなくおわかりいただけるのではないでしょうか?

また、癌や認知症のような疾患でも意識の持ち方、疾病への向き合い方がその経過に大きく影響を与えることはよく知られています。
文字通り「病は気から」ということになるわけです。

漢方診療をしていると、スッキリきれいサッパリ病気が治ってしまう場合と、一部は良くなったけどこっちの症状はまだ残っている…などの場合に出くわします。

きれいサッパリ治りきらないのは患者さんには残念なことではありますが、心身症や機能性疾患の場合には残っている症状よりも改善した部分に意識を向けられるようになると苦痛を軽減することができます。

実は今回のお話は「耳鳴り」を想定しながら思いついた内容をまとめたものです。

耳鳴りは西洋医学では治すことが基本的に不可能と言われています。もちろん、脳腫瘍による二次的な症状や、治療可能な内耳疾患が原因の場合にはきちんと治すことができるものの、MRIなどの精密検査をしても原因がない場合の耳鳴りは耳鼻科の先生たちも匙を投げてしまう場合が多々あります。

「うまく付き合っていきましょう」

と言われるわけです。
まあ確かにその通りなのです。薬を飲んだら簡単に治ってしまうようなものなら誰も苦労しないのです。
だからどうしてもこの厄介な症状との付き合い方を身につけていくしかないのです。
そういうわけで、「まだ耳鳴りがしている」と考えるよりは「昨日よりはマシかな?」「今はあまり気にならないな?」という意識の持って行き方をしていただく必要があるのかなと思います。

ちなみに耳鼻科や脳神経外科、神経内科などで治らない耳鳴りの患者さんは漢方外来に集まります。
「うつ病だから精神科に行けと言われた」と言って憤慨して当院を受診される患者さんもいらっしゃいます。

漢方薬は機能性の異常には有効な場合が多いのですが、耳鳴りについては保険診療(エキス剤)の範疇ではなかなか厳しい戦いとなります。
保険診療外の漢方薬のレシピなどでは耳鳴りを主目標としたものもありますし、煎じ薬であればより強い効果が期待できる場合もあります。

とはいえ、現代人にとって都合のよりエキス剤でも耳鳴りが著明に改善することはあります。

一般論としては耳鳴りは「腎」の衰えであることが多いので腎をケアできる処方(六味丸や八味地黄丸など)の適用を考えます。
ストレスがらみの症状の場合もあるので、ストレス対策や自律神経の乱れに有効な漢方薬の適否の面からも考えます。

あとは温めるとよいのか、血流を改善する必要があるのか、水の偏りが生じているのか、などなどを考えて治療にあたっています。
もっと名人の先生ならあっさり治してしまうのかもしれません。

とはいえ、私が頭をひねって悩んでいる間には、どうかうまい付き合い方を見つけて時間稼ぎをしていただけるとありがたいものです。


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眉毛が生えた!

2023/11/23
薄毛の悩みは男性も女性も同じ…
男性よりも女性の方が悩みは深刻かもしれませんね。

実は漢方薬は女性の薄毛治療に有効なものがいくつかあります。もちろんエキス剤では「確実に生えます」とは保証できないものの、時に目覚ましい効果を発揮することがあります。

今回は女性の患者様から、ある漢方薬を使用したところ「眉毛が生えた!」とのご報告をいただきました。
偶然にも患者様のご友人のかたも同じ漢方薬で眉毛が生えたんだそうです!

「眉毛が栄えた!」ではありません。「生えた」のです。実際に。

その漢方薬とは、当帰芍薬散という漢方薬。
女性の三大漢方薬の1つです。

血虚と水滞の体質のかたに向いている処方薬であり、冷え症でめまいや立ちくらみをしやすく、貧血気味で、生理痛や月経不順にお悩みであるような人に向いているとされます。流産体質の女性にも妊娠安胎薬として使用されます。

この当帰芍薬散で眉毛が生えたというのですから面白いものです。
この漢方薬に巷で話題の発毛成分が入っているなどではありません。
体質が改善されて、いろいろなバランスが整ったことで身体のほうが必要だと判断して眉毛を生やしたのでしょう。

当帰芍薬散は研究が進められている漢方薬の1つです。
近年では認知症の症状改善やコロナ後遺症対策としても応用されつつあります。

漢方薬は2000年ほど前から存在していますが、現代になって漢方薬がもつさまざまな潜在効果が1つずつ明らかになってきており、興味が尽きないですね。


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