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意外な漢方薬で便秘が治る

2024/5/25
漢方薬には多種多様な薬効成分が含まれているので
西洋医学的な薬のように単一の効果だけではなく、さまざまな効能・効果を発揮します。

近年では古典的な使用方法以外のさまざまな臨床場面で応用され始めており、漢方薬の新たな可能性が日々発掘されています。
特に、精神的不調から来る自律神経のバランス失調、そしてその結果の身体的症状を改善させてくれる効果は、まさしく漢方医学の理念の一つである「心身一如(しんしんいちにょ)」そのものであると言えます。

今回はある高齢女性のケースをご紹介してみたいと思います。
当院を受診されたある女性は、ご家族の介護を数年間した後にお看取りされ、その後から介護中のことを後悔したり、もっとこうすればよかったとクヨクヨ考えるようになったり、何事にも意欲がなくなり眠れなくなってしまいました。

いわゆる燃え尽き症候群とかグリーフの比較的重くない状況であろうと考えられる状態です。
漢方医学的には気虚・気鬱の病態を考えました。
そこで、落ち込んだ気分をスッキリさせて軽やかにしてくれるような効果を発揮する「香蘇散(こうそさん)」という漢方薬を使用しました。

この漢方薬がよく効き徐々に気分が晴れやかになっていったのですが、
こちらが想定していなかった効果について患者さんからお話していただきました。

香蘇散を飲み始めたところ、今までなんとなく出が悪かったお通じがスッキリ出るようになり、気分が良くなって体調もどんどん良くなって行ったとのことでした。

香蘇散を使用して便通が改善したというお話は初めて聞きましたが、なぜ効いたのか漢方医学的に考えてみますと、気のめぐりがお腹で停滞すると腸の動きが悪くなって腸内ガスが溜まったり、腹部膨満感が生じたりします。
香蘇散は気を動かす力(理気作用)がそれほど強い漢方薬ではありませんが、軽い抑うつ気分の時などには良く効いてくれる印象があります。保険適用上は風邪で気分がスッキリしない時に使用されるので、一般向けの解説書には「単なる風邪薬」と書いてあるかもしれませんが、やはり漢方薬なのでさまざまな作用・効果を持っています。

私自身、気を付けないといけないと日々中医しているのですが、「この漢方薬はこういう漢方薬」という固定観念を持ってしまっていると漢方薬の可能性を自ら閉じてしまうことになります。

漢方薬の真の効果や作用が解明されるにはまだまだ時間が必要だろうと思います。


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大建中湯はクローン病の腸閉塞に効く?

2024/5/6
大建中湯(だいけんちゅうとう)という漢方薬は、ツムラの保険用製剤の中でもっとも出荷数が多い漢方薬だそうです。

大建中湯はお腹を温めることで腸管の蠕動運動を正常化させ、腹満感や下痢・便秘を治します。お腹が冷えている人向きの薬なのですが、お腹が冷えていれば下痢でも便秘でも効いてしまうのが面白いところです。

この大建中湯が効きやすい人は「腹筋が薄くて痩せており、腸管のムクムクとした蠕動が見える」と言います。どこの先生がそう思ったのかは存じ上げないのですが、腸閉塞(イレウス)になった患者さんのお腹を見て「これはまさに大建中湯が効く腹証とピッタリ一致している!」と思ったのでしょう、腸閉塞の人に大建中湯を飲んでもらったところよく効いたようです。

実際、臨床研究が実施されており、クローン病における腸閉塞に対する大建中湯の効果が調査されました。
この研究では、平均年齢33.4歳のクローン病の男性または女性を対象として、腸閉塞と診断された時点で大建中湯を投与し治療効果を確認したものです。大建中湯投与群では腸閉塞解除までの時間が有意に短縮したという結果が得られたため、腸閉塞に対して大建中湯が効くという認識が広まりました。なので漢方にあまり詳しくない外科や内科の先生でも、腸閉塞というと大建中湯を処方するようになりました。

ただ、大建中湯はお腹が冷えている人向きなので、お腹が冷えていないイレウスの人に使用してもあまり効果的ではないように思います。それにお腹が冷えていない人が大建中湯を飲むと、辛く感じて仕方ないかもしれません。腸閉塞=大建中湯という短絡的な認識に基づく使い方はやめておいた方がいいと思われます。

上述の臨床試験での注目点は、クローン病という炎症性腸疾患による腸閉塞であったという点です。
手術後の癒着ではなく炎症による癒着や狭窄に対して大建中湯が効果があった、ということは大建中湯に含まれる生薬には抗炎症作用があったりするのかもしれません。

そういうことを考えて薬理学的な研究が進んでいくと、もっと漢方薬の使い方が広がるかもしれませんね。

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”春うつ”には香蘇散

2024/4/10
春うららか、桜満開な今日この頃ですが
よくよく考えると春というのはけっこう過酷な季節です。
花々が咲き誇り、蝶が舞い、鳥はさえずりますが…皆、熾烈な生存競争を繰り広げている真っ最中です。

春が苦手な人も多くいらっしゃいます。
冬から春に切り替わるこの時期は、周期的に天候が変わります。
晴れたと思えば雨が降り、暖かくなってきたと思ったら春一番という強風が吹き荒れる…
気温の上がり下がりと気圧の変動が目まぐるしいのが春の特徴です。

コロコロと変化する環境には自律神経が揺さぶられてしまいます。
これでは「気」の流れを制御することで「気」を消耗してしまいます。
春は卒業や退職、異動や転居など社会生活上も変化をしてしまうタイミングであるため、ますます精神的にも消耗してしまいます。

そうこうしているうちになんだか眠れなくなり、食欲がなくなり、何をするにも意欲がなくなり…気が付いたら抑うつ状態になっているのが「春うつ」と呼ばれる状態です。

医学的にも、3月後半から4月前半にかけて周期的に抑うつ状態を発症することに対して「季節性うつ病」とか「周期的抑うつ」という病名があります。

「春うつ」にならないように、ぜひ予防策を講じておきたいものです。
まず規則正しい生活リズムを維持することが大切です。子供や学生であれば春休みの季節なので、つい生活リズムが乱れてしまいがちです。大人では歓送迎会でついつい夜更かししてしまいがちです。しかし、自律神経のバランスをキープするために、早寝早起きの生活リズムをできる限りキープすることが大切です。

食事ももちろん大事です。というか、春の行楽で甘いものばかり食べないように気を付けましょう。
春はイチゴや桜の風味の、色鮮やかなスイーツがたくさん登場します。スイーツばかり食べていると高血糖→インスリンの大量分泌→低血糖→コルチゾールやアドレナリンを分泌して血糖を回復させようとする…という負担を体にかけ、これによって自律神経を必要以上に揺さぶってしまうことになります。春のお出かけで暴飲暴食とならないように気を付けることも大切です。

「春うつ」に有効な漢方薬はあるのでしょうか?

私の個人的オススメは「香蘇散(こうそさん)」という漢方薬です。
香蘇散は紫蘇の葉を生薬として使用しています。紫蘇にはサッパリとした風味がありますが、気の流れをスムーズにしてくれる効果もあり、気分もサッパリスッキリする効果があります。

そのため、春うつで沈んでしまった気分をスッキリ前向きにしてくれることが多々あります。
頭重感やめまい感、胃腸の不調なども整えてくれる効果がありますので、春の自律神経の不調によく効いてくれます。

ぜひお試しください。


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SLEの症状に五苓散

2024/3/20
SLEは指定難病の一つであり、日本語名は「全身性エリテマトーデス」と言います。
英語ではsystemic lupus erythematosusであり、臨床では頭文字をとってSLEと略しています。SLEは特徴的な赤い発疹(紅斑)、発熱、全身倦怠感、関節炎、腎臓・肺・中枢神経などの内臓症状など全身のさまざまな臓器に多彩な症状を引き起こします。

原因は今のところ不明ですが自己免疫疾患の一種であり、全身に炎症が生じます。日本全国に約6~10万人程の患者さんがいると考えられています。有色人種に多い傾向ですが、日本では地域差はありません。男女比は1:9で圧倒的に女性に多い疾患です。月経中に症状が出現しやすいとされています。特に20-40歳代の女性に多いとされています。

紫外線、ウイルス感染、外傷、妊娠・出産、ある種の薬剤により悪化することが知られています。上述の通り、SLEでは自己免疫異常により全身的な炎症が起こり、これが内臓異常や血管障害が加わります。教科書的には、蝶形紅斑という特徴的な顔の発疹が有名なのですが、症状の軽重はひとそれぞれです。ループス腎炎、神経精神症状、心病変、肺病変、消化器病変、血液異常などは生命に関わる重要な障害になることがあります。

治療は主に副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤が使用されます。その他にも生物学的製剤なども近年では利用されています。SLEでは体中に血栓を作りやすい抗リン脂質抗体症候群を合併する場合があり、その場合にはアスピリンやワルファリンなどの抗凝固剤や抗血小板剤で血栓の予防治療をおこないます。

さて、SLEの諸症状に対して漢方薬も昔からよく利用されてきました。今回は当院で治療をされたある女性の症例をご紹介いたします。
その40代の女性はステロイドを少量使用しておりSLEはおおむねコントロールできている状態でした。しかし、顔を中心とした全身のむくみを密かに気にされておりました。

実はこの患者さんは、SLEの治療ではなく、胃の不調を訴えて受診された際に、SLEのせいで浮腫みが強いということも教えていただきました。そこで使用したのが胃苓湯(いれいとう)という漢方薬です。

胃苓湯は平胃散という漢方薬と五苓散という漢方薬が合体したものです。平胃散は胃の不調による消化不良症状などに効能があります。五苓散は体内の水の偏りを是正する漢方薬であり、とても応用性の高い漢方薬です。

さて、今回の患者さんは胃苓湯を内服することで胃腸の調子が改善するとともにSLEによる浮腫みも解消しました。そしてしばらくして内服を終了され、通院することもなくなったのですが…しばらくしてから別の症状で受診されました。

今回の症状は、SLEによる浮腫みの再燃と、小柴胡湯という漢方薬を使用すべき諸症状でしたので、小柴胡湯と五苓散が合体した柴苓湯(さいれいとう)という漢方薬を使用しました(小柴胡湯についてはまた別の機会に解説します)。柴苓湯は膠原病や自己免疫性疾患、よくわからない難病などで利用されることの多い漢方薬という個人的な印象があります。小柴胡湯という漢方薬を使用しているのですが、小柴胡湯はステロイドの減薬サポート治療の中心的な漢方薬です。

さて、そんな柴苓湯を使用することで、今回も浮腫みはスッキリ解消し、諸症状もすっかり良くなっていきました。
今回の患者さんの例ではSLEによる浮腫という症状に対して五苓散という漢方薬がよく効きました。しかし、最初に使用した胃苓湯のように、患者さんのもともとの体質の弱点をケアする治療を組み合わせたこともSLEの症状を軽快させた一因だという手ごたえがあります。

標準的医学ではどうしても対症療法中心になってしまいます。しかし、漢方治療による体質改善によってSLEのような難病でも症状を軽減させることができます。難病に対する標準治療に行き詰った方は、漢方薬もお試しになってみてはいかがでしょうか?


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過活動膀胱に有効な漢方薬もあります

2024/3/2
急に強い尿意に襲われ、ガマンすることができずトイレに行ったものの、実際にはあまり尿が出ない…
それなのにまだ尿意や違和感が続いてしまう…

このような症状はもしかしたら過活動膀胱かもしれません。
さまざまな理由が関与していると言われますが、ストレスや自律神経の乱れが原因とされることも多く(西洋医学的に明確な異常を発見できず)、あれこれ薬を飲んでもなかなかスッキリしないことの多い疾患です。

日本では1000万人ほどの患者がいると言われています。実に10人に1人です。
正確な診断のためには泌尿器科を受診し、超音波検査などで膀胱の動きなどを客観的に評価する必要があります。
一般的な治療として抗コリン薬、β3刺激薬、ボツリヌストキシン注射などがありますが、無効な場合には漢方薬が使用されます。

当院を受診された60代女性。
泌尿器科へ通院中で、非神経因性過活動膀胱と診断されており、β3刺激薬を内服中でした。しかし、日中もトイレの回数が多く尿意を我慢できないため生活には大きな支障となっていました。

β3刺激薬が効いていないようなので内服を中止し、漢方医学的に診察した結果、八味地黄丸を処方しました。
さて、1年ほど内服された後、トイレ行く回数は減り、以前よりも排尿について気にならなくなっている、我慢できるようになっているとのことで治療効果を認めました。

八味地黄丸は膀胱や泌尿器系に関連したさまざまな症状に有効であり広く応用されている漢方薬です。胃に負担がかかりうる生薬構成なので、胃腸虚弱なかたにはあまりオススメできませんが、食後に内服するなどの工夫をすることで少量で継続利用できる場合もあります。
通信販売でもよく売られているのですが、本当にご自身に適しているか否かは漢方専門医にご相談いただければと思います。
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