新前橋すこやか内科・漢方内科クリニック|内科・漢方内科、外科、補完・代替医療(自由診療)

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ベーチェット病に漢方

指定難病の一つである「ベーチェット病」は
口内炎や陰部潰瘍が多発するとても厄介な難病です。

基本的には、自分の免疫システムが関与する全身の慢性的な炎症が病態なのですが、なぜ・どうしてベーチェット病が発症し、どうすれば根本的に治るのかは現在もまだ研究が続けられています。

眼にも症状が出現することがあり、最悪の場合は失明に至ります。
眼の前側の部分の炎症は虹彩毛様体炎、眼の後側の部分の炎症は網膜脈絡膜炎という形で症状が現れます。

皮膚の炎症を生じる場合もあり、結節性紅斑という皮膚病によく似た皮疹や、ニキビが多発したりします。

罹患されている方は日本で約2万人ていどであり、決して頻度の多い疾患ではないのですが、ビジュアル的にとても特徴的なので皮膚科や膠原病科の教科書や授業では必ず勉強することになります。

さて、温清飲(うんせいいん)という漢方薬がありまして、この漢方薬は黄連解毒湯(おうれんげどくとう)四物湯(しもつとう)を合体させた漢方薬なのですが、温清飲が効きやすい人というのは「口内炎や陰部潰瘍を繰り返し発症する人」なのです。まさしくベーチェット病!ということになるわけですが、実際に臨床研究でもベーチェット病に対する温清飲の有効性が確認されています。

ちなみに黄連解毒湯は抗炎症・抗菌作用に特化した漢方薬です。四物湯は身体の材料の補給のような漢方薬で、乾燥肌で色つやの悪い人や貧血、冷え症、しもやけになりやすい人に適した漢方薬です。この2つを合体させるとベーチェット病に効くのですから不思議ですね。

ベーチェット病はシルクロード周辺地域に発症者が多いことが知られています。最初に報告されたのは1930年代でした。トルコのベーチェット先生が報告したので「ベーチェット病」というわけです。

しかし、どうやらヒポクラテスの書物のなかにもベーチェット病らしき疾患についての記載があるようなのでかなり大昔から存在する疾患なのかもしれないです。大昔の中国でも、当然ベーチェット病の人はいたのでしょうし、当時の医師たちが苦心して治療法を開発した…それが温清飲なのかもしれませんね。

ベーチェット病は真の病態も根本的な治療法も確立されていない難病ですが、漢方医学的視点から研究していくともしかしたら新たな病態や画期的な治療法がみつかるかもしれません。まぁそういうことを妄想したりして我々医師は研究に打ち込んでみたりするのです。


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