「漢方で免疫力を高めたい」そうおっしゃって漢方外来を受診されるかたは数多くいらっしゃいます。特にガン治療と漢方治療を並行してされているかたに多い印象ですが、昨今の新型コロナ騒ぎがあってからは感染症に対する免疫力を高めることを目的として受診されるかたも増えてきた印象です。漢方薬のなかには、西洋医学には存在しないジャンルの薬があります。「補剤(ほざい)」と呼ばれるものです。このグループの漢方薬は、かんたんに言えば「元気がでる」漢方薬です。だからといって覚醒剤のような危険や薬物ではありません。人体の落ち込んだ機能を底上げするようにはたらく薬です。補剤の存在は、漢方が西洋医学よりも優れている部分であると考えられます。代表的な補剤は「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」と「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」です。専門的な知識がないかたであれば、どちらもだいたい同じような薬だと思っていただいてかまいません。ガン治療の領域では、手術後の体力低下や化学療法の副作用軽減などの目的でこれらの補剤が使用されています。人参養栄湯は、最近では高齢者の老衰・虚弱状態、いわゆるフレイルに対しても使用されるようになりました。もう一つ、同じような目的で使用されることが多い漢方薬に「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」があります。市販されているのでご存知のかたもいらっしゃるかもしれませんね。こちらは元気がなくて食欲が落ち込んでいるときに使用する漢方薬ですが、上の2剤と同じような場面で使用されることもあります。さて「免疫力」という話に戻りますと、これら十全大補湯、人参養栄湯、補中益気湯は弱っている人を下支えしてなんとか頑張ってもらおうという薬です。胃腸が弱かったり、虚弱体質だったり、疲れ果てている人が、これらの漢方薬であるていど体の機能が取り戻せれば…免疫系もまた正常化していくことが期待されます。実際、世の中には病気でもなんでもない(つもり)はずなのに、血液検査をしてみると白血球の数が基準値よりも少ないという方がいらっしゃいます。白血球は細菌やウイルスを退治する防衛軍だと思っていただくとイメージしやすいかと思います。この状態は、西洋医学だと何もできないのですが、漢方であればこのようなかたに対して補中益気湯を処方することがあります。もちろんそれで万事解決ということにはなりませんが、一定程度の押上げ効果はあるため白血球数(特にリンパ球数)が少ない方に対してはウイルス性感染症に対する自己防衛策として一つの選択肢になると思います。漢方薬が作られたのは今から2000年以上も昔なわけですから、血液検査など当然ありません。したがって、疲労感であるとか胃腸の弱さなどの具体的な体の症状を目標に考案されてきました。肉体的に弱っている状況を改善するために創薬された漢方が、現代的にみてみると白血球数の増加や感染症への抵抗性を高めてくれるという目に見えない効果まで発揮するのですから、人体の仕組みの壮大さに感嘆するとともに、各生薬の効能を見出し、そして複数の生薬を組み合わせて一定の方向性をもった効果のある漢方薬を創薬した先人達の偉大なる頭脳と努力に、日々感服いたしております。いつの日も こころ楽しく すこやかに ⇩⇩⇩こちらもチェック♪⇩⇩⇩【新前橋すこやか内科・漢方内科クリニックSNS】 Instagram ▶ sukoyakanaika / sukoyaka_harusan / sukoyakastaff Twitter ▶ @SukoyakaNaika Facebook ▶ 新前橋すこやか内科・漢方内科クリニック LINE ▶ sukoyakaclinic または https://line.me/ti/p/7m5HhKojPR 👉LINEから受診予約やお問い合わせができます♪
昨今の新型コロナ騒ぎがあってからは感染症に対する免疫力を高めることを目的として受診されるかたも増えてきた印象です。