新前橋すこやか内科・漢方内科クリニック|内科・漢方内科、外科、補完・代替医療(自由診療)

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健康のこと、日常のことなどを発信しています。

頭のてっぺんだけ汗をかく!?

2021/10/27
頭のてっぺんだけ汗をかく…

そんな特異体質のようなものがあるのかと思いきや、実はそういう方、けっこういらっしゃいます。
しかも案外多くの人は頭のてっぺんだけ汗をかいているのに気が付いていなかったりします。

そしてそんなときに使用する漢方薬も存在しています。

茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)と言います。

この漢方薬は体内に熱がこもっていて、しかも水も溜まっているような状態に使用します。
具体的には黄疸や肝硬変に使用することで有名です。黄疸の治療薬なのです。その他にもじんましんや口内炎、ネフローゼなどにも使用する場合があります。これらすべて、体に熱がこもっているという状況なのです。

茵蔯蒿湯が適している状態は、口が苦かったりねばねばしていたり、口の渇きがあります。身体に熱がこもっていますし、吐き気や食欲低下もあったり、油っこいものの臭いをかいだだけでも気分が悪くなったりします。
そんな人に使用する漢方薬です。
今から2000年くらい前にもこのようなひとがいて、お悩みだったのでしょうね…
油っこいものを食べたりする機会が多かった王宮のエライひとだったのかもしれません。

さて、「傷寒論(しょうかんろん)」という漢方の古典にはこのように記載されています。
「頭に汗出で、身に汗無く、小便利せず、渇して水漿を飲み、瘀熱、裏にありて見に黄を発する」「身黄み、橘子の色のごとく、小便利せず、腹微満する」

というわけで身体が黄色くなっている=黄疸の状態であり、尿があまり出ない状態です。
頭には汗をかくのに、身体には汗をかいていないとわざわざ書いてありますね。

必ずしも肝硬変や黄疸ではなくても、頭にだけ汗をかいていて体に熱がこもっているような方であれば茵蔯蒿湯を試してみる価値はあるかもしれません。

頭のてっぺんだけ汗をかくことも不思議ですし、そこをピンポイントで治療する薬があることもまた不思議ですね。

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理解されにくい手足の「ほてり」のお悩み

2021/10/11
手や足が異様に熱をもって不快な感じがする…
「ほてり」は見た目でわかりにくく、他人からはなかなか理解してもらえないつらい症状のひとつです。
冷えるのも問題ですが、かと言って熱をもってしまうことも問題です。

漢字では「火照り」と書くことからも、火で炙られているかのような不快さが伝わってきますね。

「ほてり」は何をするにしても気になってしまうのですが、特に夜になって寝ようとすると手や足の熱さが気になって眠れなくなってしまいます。不眠症として受診される方の中にも、不眠の原因がほてりである方が一定数いらっしゃいます。

「ほてり」の悩みはご本人にとっては深刻ですが、「ほてり」を感じていない人からは理解を得にくい症状であり、人知れず悩んでいるかたも多いのではないかと思います。

東洋医学では手足のほてりの原因となる熱そのものが増えている病態や、熱を調節する力の不足と捉えることが多いようです。

手や足のほてりに対する代表的な漢方薬が三物黄芩湯(さんもつおうごんとう)です。
これは熱を制御する力の不足をカバーする薬です。
この漢方薬の説明を探してみると、陰とか津液(しんえき)という言葉が登場すると思うのですが、これらの言葉は中国医学と日本の漢方ではやや意味するところと使いかたに違いがあるのでそれを知らずに読んでいると混乱を招くかもしれません。

さて、三物黄芩湯はその名の通り地黄(じおう)・黄芩(おうごん)・苦参(くじん)の3つの生薬でできています。
すべて体の熱を冷ます効果の生薬です。

もともとは産褥熱に対して使われていた漢方薬ですが、現在では体にこもった熱や潤い不足で生じる皮膚のかゆみや更年期症状、自律神経の不調、不眠症などにも使用されます。

トリコモナス膣炎や白癬菌による陰部のかゆみにも使用されるようです。
手足の「ほてり」という症状を見ていてはまったく思いつかない応用の仕方ですね。

その他に手足のほてりに使用する漢方薬に温経湯(うんけいとう)という漢方薬があります。
「経を温める」という字なわけですが、経とは気や血(けつ)の通り道のことです。
手足がほてるのに血流を温めてはまったくの逆効果だろう、と思われるかもしれません。
漢方薬の解説書には、温経湯は唇が乾き手足がほてるひとの月経困難や更年期症状、湿疹やしもやけ、頭痛や腰痛に使用すると記載されています。

温経湯は漢方薬の勉強にとても役立つ漢方薬のひとつです。
気を巡らせるために温める生薬のグループ、血を巡らせるために補充する生薬のグループ、痛みをとる生薬、そして潤いをもたせるグループの生薬で構成されています。
それぞれの生薬が協同して作用することで体内のバランスを調整しながら効果を発揮しています。
この点は西洋薬をあれこれ組み合わせて使用することとは全くの別次元の薬理作用が現れており、西洋薬よりも漢方薬が優れている側面であるように思います。

長い年月をかけて先人たちが試行錯誤を続けてくれた結果として温経湯という一つの形に到達したのだと思います。
伝統を受け継いでいくことや先人たちの知恵や経験を大切にすることで現代の私たちがより漢方および人体の仕組みや健康と病気について理解しやすくなるのです。

本当にありがたいことです。


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慢性的な頭痛がたった2週間で治ってしまった!

2021/9/27
漢方治療というと、ゆっくり効いてきて、長期間服用しないといけない、というイメージが強いかもしれません。

確かに、体質改善目的や慢性疾患の治療の場合にはそれなりの時間がかかるものですが、時にはあまりにもすぐに薬が効いて慢性的な症状が治まってしまうことがあります。

当院にお越しいただいた40代の女性は、慢性的な頭痛が釣藤散(ちょうとうさん)を2週間内服しただけでほとんど消えてしまいました。
煎じ薬よりも効果がよわいとされるエキス剤ですが、ドンピシャで体質に合うとこんなにも短期間で症状が消失してしまうこともあるのですね。

釣藤散の効能書きを見てみると「慢性的に続く頭痛で中年以降、または高血圧の傾向のあるもの」とあります。
文字通りに受け止めると中年で高血圧で頭痛なら効きそうな印象ですが、なんとも漠然とした印象を受けます。

釣藤散をもう少し詳しく分析していくと、釣藤散の原型になっているのは六君子湯(りっくんしとう)という漢方薬であることがわかります。

六君子湯は胃が弱っており、胃のあたりに水が溜まりがちな状態の食欲不振などに効く漢方薬です。機能性胃腸症であるとか食欲不振、胃もたれなどの症状によく使用されている漢方薬です。
したがって、釣藤散もどちらかといえば胃が弱っているような方に向いていることになります。もう少し詳しく書くと胃が弱っていて、相対的に交感神経が優位になっておりイライラしやすく、場合によってはかんしゃく持ちのような状態です。

髙山宏世先生の「漢方常用処方解説」を読んでみると、釣藤散の診断のポイントには①午前中は体調が悪い、②イライラやのぼせ、③腹部軟・心下痞・肩こり、と書いてあります。

釣藤散が効きやすい頭痛には早朝に起こりやすい頭痛が多く、午前中は調子が出ないというところがわかりやすいポイントでしょうか。

また、同書には「元気だが気むずかしく頑固な老人などにこの証が多い」とも書いてあります。
なんだか一気にイメージが悪くなってしまいますが、要するにストレスがありイライラしやすい状態なのです。

ストレスも「肚(はら)」で受けて止めて消化するものですので、胃腸が弱っているとイライラしやすくなるのでしょうか。

これまでにも「頭痛には胃薬」という視点での治療例について何度か記事にしてきました。釣藤散もまた胃薬の要素をもった頭痛薬であると言えます。

頭痛の西洋医学的な病態解明や治療方法の開発にも、ぜひ「胃の不調」という視点を取り入れていただきたいですね。


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便秘をなおすと血糖値が下がる

2021/9/17
「こんなに簡単に治せる『生活習慣病』」シリーズです。

生活習慣病はその名のとおり生活習慣がその発症や治療経過に大きな影響を与えます。
このシリーズでは西洋医学的な標準的治療ではない方法により、大きな治療効果を挙げることに成功した事例についてご紹介していきたいと思います。

記念すべき第一症例目は60代の糖尿病の男性のお話です。

こちらの方はすでに標準的な治療を受けておりました。
糖尿病合併症は発症しておらず、血糖値の平均値であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は7.5%前後でしたが、時間経過とともに西洋薬が徐々に増えていくなかで漢方治療を希望し当院を受診されました。

当院では今までの治療を継続しつつ、漢方医学的治療をおこなうこととなりました。

問診をしていくなかで判明したもう一つのお悩みは便秘症でした。
ウサギのようなコロコロした硬い便とのことでした。
酸化マグネシウムが処方されていましたが十分な効果がなく、市販の浣腸薬も使用されていました。

さて、漢方医学的な診察を進めると「血虚(けっきょ)」という状態が目立ちました。
血虚とは栄養の不足であるとか、肉体的な材料の不足や消耗を反映した状態です。
単純に加齢によっても生じますが、出血性疾患などが原因になる場合もあります。

高齢者の血虚によるコロコロ便型の便秘症では「潤腸湯(じゅんちょうとう)」という漢方薬をよく使用します。

こちらの方は当初は半信半疑でしたが潤腸湯を内服することでほぼ毎日快便となりました。

西洋薬を減らしたいというご希望もあったため、食生活の改善や適切な運動習慣も始めていただきました(無理のない範囲で)。
すると体重がメキメキ減り、治療開始から8カ月間で5kgの体重減量に成功し、20代の頃の体重に戻ったとのことでした。
確かに見た目もだいぶシュッとしたように感じます。

ダイエットとともに血糖値もHbA1c 6.4%まで改善し、血糖降下剤を一つずつ減らすことができています。

こちら方は自分でも努力をされており、通勤には自転車を使うようにし、日常的に水泳や太極拳など体を動かすようにされておりました。

しかし、潤腸湯を内服するようになって今まで停滞していた状態から徐々に検査結果の改善を確認できるようになりました。健康には気を付けているものの、特別厳しい食事制限はしていません。

宿便は万病の元という言葉もありますが、毎日しっかり排便があるようになり、蓄積していた老廃物の処理が進んだり、腸内フローラにも変化が生じ、代謝状態が変化したのだろうと思います。排便がいかに健康にとって重要か再認識させられるケースでした。

最近では美容業界を中心に、宿便が健康に悪影響を及ぼすことがさかんに指摘されています。「宿便はがし」などと言って便通をよくすることで美容やダイエット効果があることが宣伝されていますが、こういった事例に出会うとあながち誇大な宣伝でもないのかもしれないと感じます。

まさに排便はデトックスであり、老廃物が体から出ていくことで滞っていた新陳代謝が活発となり、自然治癒力によって健康を取り戻そうとしていることがわかります。

糖尿病や高血圧に対する標準的な治療で行き詰っているかたには、ぜひ生活習慣の改善のお供に漢方薬もお試しいただきたいと思います。


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赤ちゃんが母乳を飲んでくれない!

2021/9/10
子育てには苦労がつきものです。

赤ちゃんにとって栄養源は母乳だけですので、健康で丈夫に育ってくれるためには母乳をしっかり飲んでくれることが必要です。
人工ミルクはあくまで母乳の代用品であり、赤ちゃんの体調や成長に合わせて最適な成分バランスに母乳が調整される母子の精妙なコミュニケーション、生命の神秘さには遠く及びません。
現代の科学技術なんてそんなものです。

しかし、哺乳する力が弱いために十分に母乳をすって飲むことができない赤ちゃんもいます。そのような場合には鼻が閉じてしまっている鼻閉状態であることが原因であることが多いようです。

鼻が閉じてしまって母乳を吸引する力が弱い赤ちゃん対する漢方薬というものも、実はあります。

それもまた意外な漢方薬で、麻黄湯(まおうとう)という漢方薬です。

一般の方でも麻黄湯といえばインフルエンザと直結するくらい、麻黄湯は使用するイメージが固まっている漢方薬です。
インフルエンザのような感染症に対して使用する場合、麻黄湯は悪寒が強く、発熱して、体のふしぶしが痛み、発汗はなく、喘鳴などがして呼吸が苦しいときに使用します。

これは主に急性疾患に対する使用目標ですが、麻黄のエフェドリンによる気道拡張作用を応用して赤ちゃんの気道を広げることで鼻閉を治し、哺乳する力を高めることができるのです。

赤ちゃんにエフェドリンなんて危険極まりない!
という印象を抱かれるかもしれませんが、赤ちゃんや小さいお子さんは生命力が旺盛ですのでエフェドリンくらいなんてことないし、むしろ非常によく反応して治癒機転が働いてくれるのです。

この麻黄湯の使いかたですが、母親の指先を濡らして麻黄湯の粉末をつけ、赤ちゃんのほほの内側に塗ってから授乳を始めるのだそうです。

ちなみに高齢者になってくると麻黄剤への反応が悪くなりがちです。
そのためご高齢者の風邪やインフルエンザでは麻黄が主役の薬ではなく、ウィークポイントを補ったり抗病力をサポートするような生薬構成になっていきます。
年齢によって感染症に対する治療戦略が変わってくるのですね。アタリマエといえばアタリマエですが…。

さて、エフェドリン云々という薬理学的な話などまったくなかった時代に、赤ちゃんの鼻閉による哺乳困難に対する麻黄湯の有効性を発見したのですから、漢方の先人たちの知恵の偉大さには感服するほかありませんね。

むかし、漢方薬は当然ながら各地から生薬を買い集めてきて煎じて使用していました。
気候と風土が変われば当然、手に入る生薬も変わるわけです。だから漢方薬はとても高価なものでした。
そんな貴重で高価なものを利用できるのは、古代中国で言えば皇帝などの支配者層の人々が中心です。

ここから先は個人的な想像なのですが

古代中国の宮廷に仕える漢方医にとって、皇帝の子供が生まれたらなんとしても生かさなければならないわけです。あろうことか医療ミスで赤ちゃんが死んでしまったら自分もきっと処刑されたことでしょう。

赤ちゃんが母乳を飲んでくれないなどということになったらそりゃあもう大騒ぎだったはずです。
そこで何人もの宮廷医が集まって知恵を出し合って赤ちゃんが母乳を飲んでくれるようにあれこれ工夫したのだと思います。

もしかしたら、非常に賢い優秀な医師がして、「麻黄湯を使えばよい」と最初から正解を引き当てていたかもしれません。

でももしかしたら、あれをやってもダメ、これをやってもダメ、明日には処刑される…くらいに追い込まれた医師がヤケクソで麻黄湯を赤ちゃんに与えたら結果的にうまくいった…のかもしれませんね。

そういうストーリーを想像することも漢方の勉強の楽しさのひとつです。

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