新前橋すこやか内科・漢方内科クリニック|内科・漢方内科、外科、補完・代替医療(自由診療)

新前橋すこやか内科・漢方内科クリニック

「階段がつらくなった」のは歳のせい?

「最近、階段を上ると息が切れるようになった」
「駅まで歩くと、以前より疲れる」
「坂道では家族についていけなくなった」
50代、60代、70代と年齢を重ねれば、
「まあ、歳だから仕方ないかな」
と思ってしまいがちです。

でも、その息切れ。
本当にすべて「歳のせい」なのでしょうか?
今回は、漢方内科・総合内科の立場から「息切れ」について考えてみましょう。

■息切れは「病名」ではなく身体からのサイン

私たちは運動すると、筋肉へより多くの酸素を届けなければなりません。
そこで肺から酸素を取り込み、心臓が血液を全身へ送り出します。
つまり歩いたり階段を上ったりするためには、肺・心臓・血液・筋肉 がチームとして働く必要があります。
どこか一つに問題が起きても、「以前より息が切れる」「疲れやすい」という症状として現れることがあります。
ですから息切れの原因は一つではありません。

■「心臓」が原因の息切れ

特に見逃したくない病気の一つが、心不全です。
心不全というと、「心臓が止まりそうな重病」というイメージを持つかもしれません。
しかし慢性心不全は、もっと静かに始まることがあります。

たとえば、
✓ 階段で息切れする
✓ 長く歩けなくなった
✓ 最近疲れやすい
✓ 夕方に足がむくむ
✓ 夜、横になると息苦しい
✓ 数日で体重が増えた
などです。

心臓の働きが低下すると、身体が必要とする血液を十分送り出せなくなったり、肺や身体に水分がたまりやすくなったりします。
その結果として「息切れ」「疲労」「むくみ」が現れることがあります。
現在の心不全診療では、症状だけでなく心電図、胸部X線、BNP・NT-proBNP、心エコーなどを組み合わせて評価します。

■「肺」が原因の息切れ

もう一つ忘れてはいけないのが、COPD(慢性閉塞性肺疾患)です。
特に、「昔タバコを吸っていた」という方は注意してください。
COPDでは気管支や肺胞に慢性的な障害が起こり、空気をうまく吐き出しにくくなります。
ところが初期には、「呼吸が苦しくて仕方がない」というほどの症状が出ないこともあります。

最初に気づくのは、「坂道で息が切れる」程度かもしれません。
すると本人は、「運動不足だから」「太ったから」「歳だから」と考えてしまいます。

しかし、いつの間にか階段を避け、エレベーターを使うようになり、歩く距離が短くなっていることがあります。
身体の方が、無意識に息切れを避ける生活へ変わってしまうのです。

■漢方では「息切れ」をどう考える?

漢方医学では、「息切れ」という症状だけを見て、一つの漢方薬を決めるわけではありません。
疲れやすく、声に力がなく、食欲も落ちている。こうした状態では「気虚」という視点から考えることがあります。

一方で、「息苦しい」「足がむくむ」「身体が重い」といった症状では「水」の偏りを考えることがあります。
また、「冷える」「動悸がする」「元気が出ない」など、別の所見が組み合わされることもあります。

つまり漢方では、「なぜこの人は息切れしているのか」を身体全体から考えます。

■心不全に使われてきた漢方もあります

その一つが、木防已湯(もくぼういとう)です。

古典では『金匱要略』に登場する処方で、現代では心疾患などに伴う呼吸困難や浮腫を考える際に用いられることがあります。
実際、日本では標準治療を受けている重症心不全患者に木防已湯を追加した小規模な臨床研究も報告されています。
ただし、ここは非常に大切です。
「心不全は漢方で治せばよい」という意味ではありません。
心不全には、生命予後や入院リスクを改善することが確認された標準治療があります。
漢方薬は、それらの治療を置き換えるものではなく、患者さんの症状や体質によって補助的に検討するものです。

■まず「歳のせい」にしないこと

こんな変化はありませんか?

✓ 去年より階段がつらい
✓ 同年代の人より歩くのが遅くなった
✓ スーパーを一周すると疲れる
✓ 坂道では途中で休みたくなる
✓ 足がむくむようになった
✓ 咳や痰が長く続いている
✓ 昔タバコを吸っていた
✓ 最近、妙に疲れやすい

一つ一つは小さな変化です。
しかし、その背景に心不全、COPD、貧血、不整脈などが隠れていることがあります。

年齢とともに体力が低下すること自体は自然なことです。
だからこそ、加齢による変化と病気による変化を区別することが大切です。

当院では、息切れや疲労感について、血圧や酸素飽和度、血液検査、心電図、呼吸機能など必要な検査を組み合わせながら原因を考えていきます。そして心臓や肺の病気が見つかった場合には、まず医学的に必要な標準治療を行います。

そのうえで、「治療はしているけれど疲れやすい」「食欲がなく体力が落ちている」「冷えやむくみも気になる」といった患者さんでは、漢方医学の視点が役立つこともあります。

「もう歳だから」
その一言で終わらせる前に、
去年の自分と比べて、何か変わっていないか。
一度、身体の声に耳を傾けてみてください。

いつの日も こころ楽しく すこやかに 

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