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健康のこと、日常のことなどを発信しています。

腸内フローラ(腸内細菌叢)をご存知ですか?

2021/1/23
近年、体の表面や体内に生息している細菌たち(常在菌)が人間の健康に大きな影響を与えていることがわかりつつあります。 
人間のからだは、小さな小さな細胞たちが役割分担と協力をすることでひとつの大きな「人間」という存在を作り上げることで成り立っています。その数は30兆とも60兆とも言われていますが、腸内細菌の数はその10倍(400兆!)以上と言われています。

高度に複雑な人体を作っている人間の細胞の「遺伝子」の数は「2万数千個」であることが判明しています。
この「2万数千」という数は多いと思われるでしょうか?
驚くべきことに、そのあたりに生えている雑草やネズミなどの小動物とほとんど同じか場合によっては少ない数なのです。

人間は、決して多いとは言い切れない数の「遺伝子」とその産物である「タンパク質」をうまく活用することで非常に高度な生命現象をコントロールしているのですが、人間は腸内細菌のはたらきも自分の生命現象のために活用していることがわかってきました。

腸内細菌が産生するビタミンというものもありますし、人間には消化が難しい食べ物を腸内細菌によって処理してもらう、ということもあります。 
ほかの見かたをすれば人間の10倍も多く存在する腸内細菌のもつ「遺伝子」も利用していると考えることもできます。外部発注と表現するとわかりやすいでしょうか?
腸内細菌にとっては、自分たちの生存に必要なエサを人間が供給してくれて、しかも比較的安定した住居(腸内)を提供してくれているのでギブアンドテイクとも言えますね。 

さて、そんな腸内細菌のことを「草むら」とか「お花畑」という意味合いを込めて「フローラ(叢)」と呼ばれています。
この発想はおそらく実験室で各種の腸内細菌を分離・培養しているシャーレ(小皿)にできた細菌によるコロニー(集合体)がまるで色とりどりの花畑のように見えることに由来しているのではないかと個人的には思っています。

そして「腸内フローラ」と人間の健康とのあいだに非常に深い関係があることが近年の研究で徐々にわかってきており、さまざまな分野で研究が進んでいます。
がん、糖尿病、脂肪肝、炎症性腸疾患さらには自閉症や発達障害などなど、研究はまだはじまったばかりではありますが腸内細菌との関連は明らかになってきているのです。

腸内細菌叢は生まれたときに母親からもらうものや生育環境の中で少しずつその人なりのバランスが形成されていきます。
ご存知のとおり食生活がもっとも重要ですが、いろいろな細菌とふれあって育つことも重要です。
そのため、腸内細菌叢を鍛えるのであれば、子供には野山を走り回らせておくのが良い方法であると言えるでしょう。
これはあながちバカにできない話で、製薬会社が新しい抗生物質を開発するために人間があまり立ち入っていない山奥の土を持って帰って研究したりしているのですから、自然に触れて育つことは腸内フローラだけでなく肌に住んでいる常在菌叢の発達にもとても有効だと思われます。

いろいろな細菌が体内に入ってきて、そこで腸内細菌たちと熾烈な生存競争が繰り広げられていくなかでその人の腸内フローラが形成されていくのです。
そのため、最近の風潮のようにやたらめったらなんでも除菌してしまうのは考えものです。

生活空間の除菌商品にはどれも「99%除菌」と書いてあります。
なぜ「100%」ではないのでしょうか?
それは、100%除菌するような危険な薬剤は生活空間では使いにくいからです。そして大きな問題があります。
99%の菌が除菌されたら、残った1%の菌はどうなるでしょうか?

当然、繁殖します。そしてその1%の菌には通常の除菌商品は効かないので、やればやるほど増え続けることになります。
この1%の菌が実は危険な病原性をもつ細菌の仲間であることはあまり知られていません。
そう考えると「なにごともバランス」という自然界の法則に逆らってはいけないのだとわかりますね。

さて、腸内細菌叢の健康状態をしることができる検査が「腸内フローラ検査」です。
ご自分の腸内細菌の種類、バランスを知ることができ、健康に有利な腸内細菌叢をつくりあげるための食事のアドバイスもわかります。
検査のさいには、当院から検査キットをお渡しいたします。
大腸がん検診の検便と同じように「ご自宅で」「ご自身で」便の採取をしていただき、検査機関へ郵送していただきます。1ヵ月ほど後に検査結果が郵送で送られてきます。 
今はまだ自費診療の検査ですが、いつか保険診療になってくれるといいですね!

腸内フローラを短期間で劇的に変化させる方法は今のところありません。
日々の食生活やプレバイオティクス、プロバイオティクスなどの方法で6か月~1年かけて少しずつ変化させていくことになります。
便秘や下痢、お腹が張る、オナラが多いなどの消化器症状がある場合には整腸剤なども利用できると思います。
当院では自由診療外来において食事療法・食事指導もおこなっておりますので、ぜひ併せてご活用ください。


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更年期の治療とむずむず脚症候群の話

2021/1/21
むずむず脚症候群は、じっとしたときや横になった際に下肢を中心にさまざまな不快な症状が生じる原因不明の疾病です。
英語ではrestless syndrome(休みのない脚、絶え間ない脚)というわかりやすい名前がついています。
名前の通り「むずむず」するほかに「チクチク」した痛みや火照る感じ、虫が這うような不快感などなど症状の表現は多彩ですが、共通することはとにかく不快な症状が続いて止めることができないということです。また、そのせいで不眠症になってしまうこともあります。

現時点で明確な原因がわかっておらず、発症のきっかけも人それぞれです。
治療方法として確立されたものはありませんが、脳内の神経伝達物質を調整する薬の効果が確認されています。しかし、こういった薬はパーキンソン症候群やてんかんなどに使用される薬であり、副作用もあるため管理の難しさが難点です。

漢方で治療する場合には病名や診断に囚われずに、患者さんお一人お一人の諸症状と診察所見(これらをまとめて「証(しょう)」と言います)に基づいて治療薬を決めます。
私の過去の治療経験をレポートいたします。
ある女性がホットフラッシュ(急に生じるのぼせ)と疲れやすさなどの更年期症状で受診されました。数年前から体のあちこちが筋肉痛のように痛くなり、精査したものの原因を特定できなかったとのことです。

漢方的な診察をいたしまして、もともとの体質として血虚と水滞(肉体的な消耗や不足と水分分布のかたより)があり、更年期のため瘀血(微小な血行循環のわるさ)があると考えました。
市販薬のような構成になってしまいましたが「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」と「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」という漢方薬を併用して治療を開始いたしました。当初は「むずむず脚症候群の治療は更年期症状がコントロールできるようになったら考えよう」と思っていました。

2週間後に再診でいらっしゃったときには更年期症状に若干の改善が認められました。それとともに「この2週間、むずむず脚症候群の症状は起きていない」とお話されておりました。

これだけでは半信半疑だったのですが、さらに1ヵ月後に来院された際には脚がつることもなく、むずむず脚症候群の症状を感じることもなくなったとのことでした。更年期症状についても、冷えを感じることもなくなり、ホットフラッシュも軽減され、発汗やのぼせにより生活に支障がでることもなくなっていました。

もともとの体質や更年期症状の治療だけに集中していたのですが、むずむず脚症候群についても治療開始当初から改善を認めました。
これは予想外のことでしたのでとても驚きました。血虚や瘀血は肉体的な物質の不足や、微小な血行循環の問題であると考えらえています。今回ご紹介したケースの場合では当帰芍薬散と桂枝茯苓丸のどちらがむずむず脚症候群に対して効果があったのかはわかりません。もしかしたら両方でうまく働いてくれて効果が出たのかもしれません。

考察すべき点は、むずむず脚症候群が漢方でいうところの「血(けつ)」の関与している病態の可能性がある(そういうむずむず脚症候群がある)ということだろうと思います。
血虚(けっきょの関与が強ければ「こむら返りしやすい」とか乾燥肌、爪がわれやすい、目の疲れ、顔色などの血色がわるい、不安感、髪が抜けやすいなどの症状がポイントです。
瘀血(おけつであればクマができやすい、シミが多い、肩こり、舌の裏の静脈が怒張している、クモの巣のような血管拡張がある、痔などの症状がポイントです。  
また、水滞(すいたい)の場合には浮腫みやすい、低気圧がくると体調が崩れる、手足が常に湿っている、舌が全体的に白っぽくて腫れぼったいなどの症状がポイントです。

こういうところから病態の解明ができるととても面白いですね。

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五十肩、頚肩腕症候群、上腕神経痛、肩や首のこり・痛み、腕の痛みに思わぬ効果を発揮する二朮湯

2021/1/12
肩こりや首の痛み、五十肩で腕が上がらない…などの症状もまた西洋医学的な治療が効果を発揮しにくい症状ではないでしょうか。
最近ではパソコンを使った仕事や長時間のスマートフォン操作が原因の肩こりも増えているようです。

多くの場合には整体やマッサージに通ったり、毎日シップを貼りつづけたり、鍼灸院で治療を受けているかたもいらっしゃるかもしれませんね。
肩こりや五十肩などの症状に使用する漢方薬の代表は「葛根湯(かっこんとう)」です。葛根湯というと風邪薬のイメージが定着しているため、意外に思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、葛根湯には僧帽筋(首すじから背中にかけての大きい筋肉)の血行を良くして温め、水の巡りを改善する効果がありますので、肩こりや首こりにも効果があります。
風邪薬やインフルエンザの治療として使う場合にも、首すじがこっている感じというのが処方のポイントになります。また、かつては髄膜炎の治療にも使用されたようです。

肩こりを通り過ぎて五十肩にまでなると葛根湯に独活(どっかつ)という生薬を加えた「独活葛根湯(どっかつかっこんとう)」という漢方薬の方が効果はありますが、こちらは保険診療で処方できるエキス剤はありませんので、OTC(ドラッグストアで売っているエキス剤)や煎じ薬で対応するしかありません。
ちなみに独活とは「ウド」のことですので、日常の食生活に取りいれることができるかもしれませんね。 

五十肩(四十肩)は英語でfrozen shoulderと表現されます。
肩が凍りついたかのようにカチコチになってしまったという表現は直感的でわかりやすい表現ではないでしょうか?
肩こりに対して効果がある漢方薬は他にもたくさんあるのですが「それなりに効いたけどスッキリ良くならない」という経験もしばしばあります。「仕方ないのかしらね」と言われてしまうのは情けないというか申し訳ないなと思ってしまうのですけれども、あれこれ使ってみてどうもしっくり来ないときに思わぬ効果を発揮してくれるのが「二朮湯(にじゅつとう)」という漢方薬です。 

この漢方薬は12種類の生薬から構成されている複雑な漢方薬なのですが、狙いとしては「体に溜まってこびりついた水を取り除く」という目的をもって作られています。しかも上半身の水分がターゲットとなっています。どちらかと言えば胃腸が弱く、筋肉にも締まりがない人のほうが適しています。

私自身いままで二朮湯を処方することは少なかったのですが、当院に通院されているある60代の女性の肩こりに処方してみたところとても効いたため私の中での評価が一気に高くなりました。実はその方はもうすでに他院の漢方治療で複数の漢方薬を処方済みだったため(あまり効果がなかった)、消去法で残っていた選択肢のなかから選んだのでしたが、思わぬ効果を見せてくれました。

肩こりや五十肩、それに頚肩腕症候群や上腕神経痛などは骨格的な問題や筋肉の問題、血行や水分代謝、神経的な問題などさまざまな要因が複雑にからんでいる状況です。
12種類もの生薬から作られている二朮湯が処方として確立するまでには、多くの漢方医が試行錯誤をつづけて全体のバランスをうまく改善するように努力してきたことがうかがえます。


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冷えて痛む関節痛や神経痛、筋肉痛、肩こり、関節リウマチ、帯状疱疹、小児麻痺、脳出血後遺症、半身不随

2021/1/8
厳しい寒さが続いている今日この頃です。
日ごろから関節痛や神経痛でお悩みの方にとって、この時期の寒さ、冷えは症状をいっそう悪化させる辛いものです。

冷えて悪化する関節痛や神経痛、筋肉痛に対して、漢方では温めて治療します。
慢性的な痛みの場合には水の巡りの悪さも関与していることが多いため、温めることと水のめぐりを改善することを同時におこなって治療をします。
西洋医学的な痛み止めが「消炎解熱鎮痛剤」であり、からだを冷やすように作用することとは正反対ですね。

さて、そんなときの漢方の痛み止めの基本的なものが「桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)」です。
これは「衆方の祖」とも言われる漢方薬の基本にして根源のような漢方薬である「桂枝湯(けいしとう)」に生薬を足して温めるパワーと水のめぐりをよくするパワーを強化したものです。桂枝湯はカゼやインフルエンザなど急性熱性疾患の基本的な治療薬です。
さらに水の巡りがわるくて局所的にむくんでいる場合などには、生薬を足して水分代謝を強化した「桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)」という薬を使用します。 

桂枝加朮附湯であれ桂枝加苓朮附湯であれ、使用する症状は「冷えて痛む」です。たとえば筋肉痛でもよいですし、肩こりでもよいのです。
関節リウマチと診断されて、指の関節などの炎症(赤くはれて痛むとき)は治まったけれども冷えると痛みがある場合などにも処方します。
そのほか、臨床的には帯状疱疹後の神経痛などにも対症療法的に使用します。 もちろん、インフルエンザなどで発熱があってやや悪寒があり、少し汗ばんでいて体のふしぶしが痛いような場合にも使用することができます。
先人達の記録によりますと、脳出血後遺症の半身麻痺であるとか、小児麻痺、脊髄腫瘍による半身不随などにも使用されていたようです。

これらの漢方薬は、桂枝湯から始まって目的と症状に合わせて少しずつ生薬を足していくなかで現代では一つの確立したレシピとして活用されているのです。
このような点からも、漢方は応用が効いて汎用性が高い医療であることがよくわかります。漢方治療の本領を発揮するにはひとりひとりに合わせて生薬の調整ができる煎じ薬が最終的にはベストということになります。しかし、時間に追われて忙しい現代人には毎日漢方薬を煎じているわけにもいきませんし、医療者側としても大量の生薬を適切に管理し、毎回調合するのも大変ですのでエキス剤という便利な形状に頼ることになります。 

今回ご紹介した桂枝加朮附湯、桂枝加苓朮附湯には体を温めるための生薬として「附子(ぶし)」というものが入っています。
古典芸能などでは毒薬のことを「ぶす」と言いますし、世間には「毒島(ぶすじま)」という苗字の方もいらっしゃいますが、附子とはトリカブトを加熱して無毒化した生薬です。トリカブトがキケンな毒薬であったことは昔の人々も知っていたわけで、無毒化処理をしたとはいえ「毒」というのと同じ発音の「附子」を生薬として使用していた点は、よくよく考えるとちょっとこわいですね。

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【冷え症】腰から下が冷えていたい、重い【腰痛・坐骨神経痛】

2021/1/4
「腰痛」は誰もが一度は経験する悩みのひとつではないでしょうか。 
ぎっくり腰から圧迫骨折による腰痛まで、腰の痛みの原因は千差万別です。西洋医学的には鎮痛剤、コルセットなどの装具、リハビリテーションが治療の選択肢となりますが「レントゲンでは異常がない」ために漫然と鎮痛剤が処方されたり、いつまでも痛みが解決されずにいたり…ということもしばしば経験します。

東洋医学では、痛みの原因は「何らかの理由で経絡の気がきちんと巡らないこと」と考えます。
その大きな原因の一つは「冷え」です。そのためお風呂や温泉で温めたり、お灸で温めたりする治療が腰痛には効果的です。
逆に、貼ると気持ちいいからと言って冷たい湿布を四六時中貼っているといつまで経っても腰痛は良くならないでしょう。

冷えにより悪化する腰から下の痛みによく使用される漢方薬に「苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)」があります。
腰痛だけではなく、脚の痛みや坐骨神経痛にもよく使用されます。
「名は体を表す」ということで名前から構成生薬がわかります。茯苓、乾姜、白朮、甘草の4種類の生薬からできています。(こういった漢方薬はしばしば登場すると思いますが、漢方薬の名称の違いは、その漢方薬が誕生した時代の違いだと思っておいていただければいいと思います。)
この漢方薬は冷えを温め、水の巡りを改善させることを目的としています。処方する際に重視するポイントは「腰から下の冷え」です。冷えて水がたまってしまって経絡の気の巡りが悪くなってしまうのですね。 

腰痛や神経痛のほかにも冷えによる諸症状に対して効果があります。たとえば頻尿や夜尿症(おねしょ)などです。
さらに応用として、足腰が冷えやすい環境(職場や学校など)にいるにも関わらずトイレに行くことを我慢してしまうために膀胱炎を繰り返してしまうような方に対して予防的につかうこともあります。

この漢方薬が登場する古典「金匱要略(きんきようりゃく)」の条文はとても印象的です。
「腰中冷え、水中に坐すが如し(腰から下だけ冷水に浸かっているように冷える)」とか「腹重きこと五千銭を帯ぶるが如き(腰に大量の銭をぶらさげているように重い)」ということで、腰から下がとにかく冷えていて重だるいという状態をわかりやすく表現しています。

漢方の聖典である「傷寒論」や「金匱要略」などの古典は漢文ですので堅苦しい文体で読みにくいことも多々ありますが、こうして随所に「わかりやすく教えよう」というセンスやユーモアが光るところに単なる医学書を超えた存在感があります。

漢方は医者の観察力や感覚、直感などフル動員することで成長していくことができる医療です。西洋医学的に数値を測定して診断基準に照らして診断や治療をするものではありません。
だからこそ難解であり胡散臭いとさえ思われてしまうわけですが、その難解な部分、個人差が大きくでてしまう感覚的な部分を後世までわかりやすく伝えようという先達の心意気がありがたいと同時に人間としての懐の深さを感じさせます。

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