新前橋すこやか内科・漢方内科クリニック|内科・漢方内科、外科、補完・代替医療(自由診療)

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健康のこと、日常のことなどを発信しています。

漢方で免疫力を高めたい

2020/10/6
「漢方で免疫力を高めたい」

そうおっしゃって漢方外来を受診されるかたは数多くいらっしゃいます。
特にガン治療と漢方治療を並行してされているかたに多い印象ですが、
昨今の新型コロナ騒ぎがあってからは感染症に対する免疫力を高めることを目的として受診されるかたも増えてきた印象です。

漢方薬のなかには、西洋医学には存在しないジャンルの薬があります。
補剤(ほざい)」と呼ばれるものです。
このグループの漢方薬は、かんたんに言えば「元気がでる」漢方薬です。
だからといって覚醒剤のような危険や薬物ではありません。人体の落ち込んだ機能を底上げするようにはたらく薬です。
補剤の存在は、漢方が西洋医学よりも優れている部分であると考えられます。

代表的な補剤は「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」と「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」です。
専門的な知識がないかたであれば、どちらもだいたい同じような薬だと思っていただいてかまいません。
ガン治療の領域では、手術後の体力低下や化学療法の副作用軽減などの目的でこれらの補剤が使用されています。

人参養栄湯は、最近では高齢者の老衰・虚弱状態、いわゆるフレイルに対しても使用されるようになりました。
もう一つ、同じような目的で使用されることが多い漢方薬に「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」があります。市販されているのでご存知のかたもいらっしゃるかもしれませんね。
こちらは元気がなくて食欲が落ち込んでいるときに使用する漢方薬ですが、上の2剤と同じような場面で使用されることもあります。

さて「免疫力」という話に戻りますと、これら十全大補湯、人参養栄湯、補中益気湯は弱っている人を下支えしてなんとか頑張ってもらおうという薬です。
胃腸が弱かったり、虚弱体質だったり、疲れ果てている人が、これらの漢方薬であるていど体の機能が取り戻せれば…免疫系もまた正常化していくことが期待されます。
実際、世の中には病気でもなんでもない(つもり)はずなのに、血液検査をしてみると白血球の数が基準値よりも少ないという方がいらっしゃいます。白血球は細菌やウイルスを退治する防衛軍だと思っていただくとイメージしやすいかと思います。
この状態は、西洋医学だと何もできないのですが、漢方であればこのようなかたに対して補中益気湯を処方することがあります。
もちろんそれで万事解決ということにはなりませんが、一定程度の押上げ効果はあるため白血球数(特にリンパ球数)が少ない方に対してはウイルス性感染症に対する自己防衛策として一つの選択肢になると思います。

漢方薬が作られたのは今から2000年以上も昔なわけですから、血液検査など当然ありません。
したがって、疲労感であるとか胃腸の弱さなどの具体的な体の症状を目標に考案されてきました。
肉体的に弱っている状況を改善するために創薬された漢方が、現代的にみてみると白血球数の増加や感染症への抵抗性を高めてくれるという目に見えない効果まで発揮するのですから、人体の仕組みの壮大さに感嘆するとともに、各生薬の効能を見出し、そして複数の生薬を組み合わせて一定の方向性をもった効果のある漢方薬を創薬した先人達の偉大なる頭脳と努力に、日々感服いたしております。

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第3回 すこやかセミナー「夏から秋へ、養生生活」

2020/10/3
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9月のすこやかセミナーは「夏から秋へ養生生活」ということで、 
夏から秋へと季節の変わり目に体調を崩さないよう気をつけるべき点についてお話いたしました。

この時期の過ごし方は冬の体調にまで影響をおよぼす重要な問題です。
漢方の古典においても、この時期に適切な過ごし方をしないと冬になって下痢をするようになると記載されています。

朝晩に少し肌寒い空気がまざり始め、冷たいものの飲食を重ねてきた胃腸の疲れも現れやすくなります。 
この時期に疲れがなかなか取れないのが本来の「夏バテ」です。 
夏の過酷な環境、胃腸に負担のかかる飲食によって体が疲弊してしまった状態なのですね。
 
ですので、この時期には体を労わり、十分な休養を与えつつもこれから来る秋そして冬という寒い季節へと体をシフトチェンジしていかねばなりません。

季節の変わり目に体調を崩しやすいという話は多くのかたが共感できることではないでしょうか?
夏から秋への移行期の過ごし方として重要なことは、「だんだん寒くなる」ことへの対応と「だんだん乾燥する」ことへの対応です。
こう書いてしまえば「なんだそんな当たり前のことか」と思われるかもしれませんが、油断大敵です。
当たり前のことが当たり前に大切なのです。

現代社会では冷暖房完備の環境が当たり前になってしまいました。ご自宅が全館空調の方もだいぶ増えてきたのではないでしょうか?
全館空調の室内では一年を通して25℃前後の環境が保たれるため、四季の変化に肉体が適応することが次第に苦手になっていってしまうのではないかと危惧しています。
夏場には冷房で身体が冷えてしまう方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、冷え切った体で外出して猛暑にさらされて…
それでは否が応でも体はバテてしまいます。
そして朝晩は冷え、昼間はまだ暑い…やはりどこまでも身体には負担がかかってしまいます。 

快適な生活空間はとてもとてもありがたいものですが、身体が本来もっている適応能力や調節能力を失ってしまったら元も子もありませんね。
人間は自然にうまく適応しながら、そして自然の恩恵を受けながら生き延びてきました。
その歴史から得られたさまざまな教訓が文化や伝統、あるいは生活の知恵として伝わっていました。「おばあちゃんの知恵袋」とはまさにその一例です。

夏には夏の、秋には秋のただしい過ごし方をして病気を寄せつけない身体つくりをしていきたいものですね。

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のどが詰まる感じがする!いつもなにか挟まってる!

2021/9/8
あまり喜ばしいことではないですが、「コロナうつ」という言葉もだいぶ一般化してきたように思います。 
世間の風潮としても、思うように外出できないため、運動不足にもなるしストレスも溜まる… 
長引く自粛生活は少しずつ心身をむしばんでいきます。 

当院を受診される方のお話を伺っていると「コロナが始まってから…」と話される方が多くいらっしゃいます。 
新型コロナウイルスは確かに私たちの生活に大きな変化をもたらしました。
もしかしたら今感じている心身の不調は「コロナうつ」の一部なのかもしれません。  

漢方においては、ストレスが溜まると気のめぐりが悪くなってしまい
気鬱(きうつ)」や「気滞(きたい)」という状態を招くと考えます。 
漢方では人体を気がめぐっていると考えます。まるで電化製品の中を電気が流れているようなイメージです。 
「気鬱(きうつ)」「気滞(きたい)」ではその「気」のめぐりが、どこか一点に留まってしまうのですね。
 
「気滞」の症状として有名なものが
喉がつまる感じがする」「飲み込みづらい」「喉になにか引っかかっている感じがする」というものです。 
これらの症状をみたら何も考えずに 「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」を処方したくなってしまいます。
半夏厚朴湯は気滞治療の代表的な処方薬です。

チャクラの話をすると、のどのところは第5チャクラの位置で、コミュニケーションに関するチャクラなんだそうです。チャクラも漢方における「気」と似たようなものですから、のどの症状は第5チャクラの不調であり、おそらく「言いたいことも言えずにガマンしているストレス」が喉の症状として現れてくるのではないかと思います。
以前、ある患者さんにこの話をしたところ、その場で少し考えて「あっ!」という顔をしたと思ったら「そっか!わかりました。もう大丈夫です!」と言って帰っていかれた方がいました。何か思い当たる節があり、それがわかって解決できたそうです。
 
また、気滞の状態にさらにストレスがかかっている状況や胸腹部に炎症が生じているような状況で、肋骨周りが固くなっている場合があります。 
このような場合には小柴胡湯(しょうさいことう)半夏厚朴湯を合わせた柴朴湯(さいぼくとう)という漢方薬を処方したりします。
小柴胡湯が肋骨まわりの炎症を治めてくれます。 

「喉になにか引っかかっている」ことを漢方の古典では「梅核気(ばいかくき)」と表現しています。梅干しのタネが喉に引っかかってしまっているという表現なのですね。 
西洋医学的な分析によると、精神的な要因でのどの周囲の筋肉が硬直気味になってしまうことを「何かはさまっている」という風に自覚するようです。
東洋医学のある有名な先生の書籍には、半夏厚朴湯は「硬い印象のひと」に向いているという記述がありました。なるほど、心も喉も硬くなってしまうタイプのひとがいらっしゃるんでしょうね。

当院にいらっしゃった方の中で、印象的な梅核気の症状を訴えた方は「ビタミン剤を飲むときだけ喉にひっかかって上手く飲み込めない」と話しておられました。
とても興味深い症状ですね。もちろん(?)半夏厚朴湯を処方し、その症状は改善されました。

ある本を読んでいたときに「梅核気は香蘇散(こうそさん)で治す」ということが書いてあって驚いたことがあります。
香蘇散はカゼで気うつになっているときに使うのが典型的です。軽いうつ症状にも効果があります。
しかし、梅核気といえば半夏厚朴湯という認識だったので、この時はとても驚きました。
香蘇散を使う状況はどちらかと言えばみぞおちが気持ち悪いことが多いのです。
しかし、香蘇散も半夏厚朴湯も気うつ(気滞)の治療薬ですから、のどの症状ばかりでなく全身的なことを考えて適切に使いたいものです。

古典を読んでいると、漢方医学が作られていった時代や社会、文化的背景を知ることができます。 
2000年も前に、身近な植物や鉱物を上手く組み合わせることで心身のバランスを治療してきた漢方医学…。 
気血水(きけつすい)理論や陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)などの理論や思想的背景が正しいかどうかは別として、完成度がとても高い医学体系であると思います。 

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第2回 すこやかセミナー「体の生理に合わせた食生活」

2020/9/24
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8月に開催した第2回目の「すこやかセミナー」では
体の生理に合わせた食生活」をテーマとしました。

1日3食、規則正しく食べることが良い!
と一般的には言われていますが、
人間の体は1日の中でさまざまな生理活動をしています。
実は、時間帯によって主な働きも変わります。

食事のとり方によっては、体への負担が大きくなり、
効率的な生理活動を妨げることになりかねません。
例えば夜中に暴飲暴食すれば体に悪影響が出ることは簡単にわかりますよね。

1日のうち、午前中は主に「排泄」の時間です。
朝からスッキリ出せることは、健康の指標の一つと言っても過言ではありません。
ところが、朝ごはんをお腹いっぱい食べてしまうと排泄活動が妨げられてしまいます。

そこで、大人の場合には朝食は最低限の水分と栄養を摂取するだけにして
消化器官に負担をかけないことが大切になってきます。 
午前中から肉体労働をするわけではないのなら、朝食は豆乳やスムージーでも十分なのです。 

その分、昼食の分量は少し多めにしてたっぷりと栄養を摂ることが大切です。 
正午から午後8時頃までが消化・吸収を主におこなう時間帯なのです。 
そして夕食はなるべく早めに、そしてあまり量を食べないこともポイントです。

 

午後8時から夜中にかけては、組織の修復や成長のめの材料を作り出す「同化」の時間帯です。
1日のうちで自然治癒現象が最も活発に行われているのもこの時間帯ではないでしょうか? 
夜ご飯をガッツリ食べてしまうと、いつまでも「消化」をしなければならず、
大切な「同化」を十分に行うことができません。
いわば残業をさせられているようなものなのです。 

ですから、夕食を早い時間に、消化の良いものを、少なめに食べてしまい 
あとはゆっくりとリラックスして休息の時間を過ごすことが重要です。

 

もちろん、夜更かしせずに早い時間に就寝することも忘れてはなりません。 

午後10時から午前2時の間に成長ホルモンの分泌が盛んになるため、 
その時間帯にすでに熟睡できていれば効率よく体の自己修復や成長活動をおこなうことができます。

 

まとめると、朝は最低限の水分と栄養を摂取して、お昼にしっかり栄養を摂りましょう。 
夕飯も早い時間に済ませてゆっくりと夜を過ごすことが大切です。 


今までの食事内容そのものを大きく変更しなくても、 
食事を摂る時間や量のバランスを変えるだけでも

体の調子が良くなっていることを実感でき、
わずかながら減量ができると思いますよ。 


イベントではその他に消化器官に負担をかけない食べ合わせの話や、
くだものの正しい食べ方についてお話させていただきました。

 

今回の内容は基本的かつ大切な内容なので、今後も繰り返していく予定です。 
セミナーやイベントに関する情報は、ホームページやSNSで随時発信しています。
また、お電話やメール、ラインでもお問い合わせ可能です。

すこやかセミナーは毎月一回、土曜日の午後に開催している
入門的なセミナーです。
健康のために自分で何か取り組みたいけれど、何をしていいかわからないという方
ぜひ遊びにきてみてください。

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漢方なぞなぞ

2020/9/23
子供のころに「なぞなぞ」ってやりましたよね。 
クイズと違って、知っているか知らないかの問題ではなく
想像力をはたらかせなければ答えがわからないのでとても良い遊びだったと思います。 

誰もが知っている なぞなぞ と言えば
「下は大火事、上は洪水。これな~んだ?」ではないでしょうか? 
答えは「お風呂」ということで、この なぞなぞ が出来た時代背景にも思いを馳せることができますね。 

ではここで問題です。 

上は大火事、下は洪水。これな~んだ?」 

さぁ、いかがでしょうか? 
もちろん漢方の問題です。 

なかなかの良問を思いついたと思ったのですが
この問題の答えを考えていたら、どうも複数の正解がありそうです。 
個人的にイメージしていたのは
上半身はのぼせて、下半身には水が溜まって浮腫んでいる状態でした。 
下半身に水が溜まるのだから、当然下半身は冷えているということです。
 

と、いうことで漢方の証で言う「上熱下寒(じょうねつげかん)」をイメージしていました。 
血のめぐりが悪いときの症状「冷えのぼせ」のことでもありますね。
これに水が溜まっている状態ですので正解は「桂枝茯苓丸加ヨクイニン(けいしぶくりょうがんかよくいにん)」ということにしようと思っていましたが…
 
例えば、急性疾患に使用する際の五苓散(ごれいさん)越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)なども正解になりそうですね。 

「漢方なぞなぞ」で大切なのは問題に合致しそうな証(しょう)をイメージすることだと思います。 
漢方では「あの病気にもこの病気にもこの漢方薬」ということがしばしばあります。
というのも2000年前に生まれた漢方にとって、現代医学的な病気の診断などできませんでした。
ですので、漢方では「この人はなんの病気なのか?」という視点ではなく
「この人はどの漢方薬が効くだろうか?」という視点で診療をおこないます。
これを「証(しょう)をみる」と言います。
漢方では「治し方」を診断しているのですね。
想像力を鍛えることは漢方診療の実力もきっと高めてくれるはずです。 
そして漢方薬を覚えるのにも役に立つのではないでしょうか? 

そういう本でも書こうかな? 

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